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「魔王です」
と、俺は言った。
なんとなく、女神さまを揶揄いたくなったのだ。
ほら、俺ってクラスでもそういうキャラじゃん?
この真面目そうな彼女を笑わせたい。
咄嗟に、そんな風に思ったわけだ。
――…………。
しかし。
女神さまは全然笑わなかった。
めちゃくちゃ滑った。
俺は気まずさを感じながら、
「な、なーんちゃって。すいません。あの、もちろん、そんなことは全然なくて、魔王ってのは完全にジョーク――ぶぼっ!」
突然、俺の内腑で何かが破裂した。
そして同時に喉から強烈に生臭い液体がせり上がってきて、俺は口から大量の血液を吐き出した。
次の瞬間、両手両足が吹き飛んだ。
それから中宙に浮かばされ、物凄い勢いで地面に叩きつけられた。
何度も何度も、執拗に、念入りに、容赦なくぶつけられた。
全身の骨が砕かれ、芋虫状態になって地面に寝転がると、今度は雨雲が立ち込めてきて、そこから巨大な稲妻が落ちてきて、全身を貫いた。
「うぎゃあああああ!」
荒野に俺の断末魔が響き渡った。
――あっぶな。まーた間違っちゃった。しかもこいつ、魔王だったわ。やっば。ガチやばだったわ。さ、次次。
薄れゆく意識の中。
女神さまの声が聞こえた。
Game Over