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「勇者です」


 と、俺は言った。

 中空に目を凝らし、見えないはずの女神さまを、精悍な眼差しで見つめた。


 おかしな話だけど、その時既に、俺はその気になっていた。

 女神さまにそう言われただけなのに、勇者としての自覚が芽生えていたのだ。


 ――ふふふ。頼もしいですね。


 女神さまが微笑んだ気がした。


 ――それでは、これはささやかなプレゼントです。


 声と同時に、目の前に剣と小さな布袋が現れた。


 ――さあ、行くのです。勇者よ。


 それきり、声はしなくなった。


 俺は剣と袋を持ち上げた。

 剣は銅で出来ていた。

 簡素だが、とても重くて頑丈そうだった。

 袋には銀貨が数枚、入っていた。

 正直、もう少しサービスしてよと思ったが、まあ仕方ない。

 少し頼りない装備だけど、とりあえず出発しよう。


「とは言っても、これからどうしたものか」


 誰に言うでもなく呟いた。


「あなたが勇者ね!」


 すると、背後から声がした。

 振り向くと、手のひらほどの大きさの人間がいた。

 背中にトンボみたいな羽が生えていて、キラキラした粉を振りまきながら飛んでいる。

 妖精だ。


「あ、あの、君は?」


 俺が問うと、彼女は笑顔で言った。


「私は女神さまから遣わされた妖精のリン! あなたを案内するように言われてるの!」


 胸を張り、何故か自慢げだ。

 

「そ、そうなんだ。そいつは助かる」


 俺は答えた。

 

「あなた、お名前は?」

「俺は田中」

「タナカ? 変な名前」


 妖精――リンはケラケラと笑った。

 うるさい、と俺は返した。


「前の俺の世界じゃめちゃくちゃスタンダードだったんだっての」

「ま、名前なんてなんでもいいよ。それよりあなた、本物の勇者様なんでしょ?」


 リンは急に真面目な顔つきになり、確認するように聞いてきた。

 俺は――


 A 勇者だよ。 と、真面目に返した。


 B 魔王だよ。 と、冗談を言った。




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― 新着の感想 ―
 またやるの?  多分ここはAが正解。  なのでBを選んで5で。
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