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日高円佳

 某所。一人の女性が日報を眺めながらオフィスで佇んでいた。


 オーダーメイドのブランドスーツ、胸元にワンポイントのスカーフ、これもブランド物のようで実に洒脱な装いだった。


 纏う空気はやり手キャリアウーマン……


 ダンジョン配信者の第一人者と呼ばれ日本で初めて最下層に到達。現在はダンジョンの研究者として知らぬ者はいない有名人、「日高円佳」である。



「ふふふ」



 円佳は上機嫌だった。


 あまりにも上機嫌なのものだから、一周回って秘書が怪訝な顔するほど。気味悪すぎて不機嫌の方がマシといった雰囲気ですらある。



「あの、主任、何かいいことあったんですか?」



 不気味そうに尋ねる秘書に対し「あぁ失敬」と円佳は謝罪し、報告書を見せてくる。



「報告書ですか? 浅い層にキメラが出現した形跡アリ、誰かが討伐した模様……」

「そっちも気になるけど次の報告だね。どうもその日、航空記念公園ダンジョンにて、ちょっとした揉め事あったらしいんだ」

「ああ、ハルルさん絡みですか? あの人気者の」

「ハルル某は知らないけれどもさ」

「ふむふむ、盾だけを装備した奇妙な男の大立ち回り……これですか?」



 これが面白くて上機嫌だったのかと目で問う秘書。


 円佳は笑いながらこめかみに指を当てていた。



「いや、実はその盾男、古い友人でね……冒険者に復帰しないかと散々打診したんだが」

「はぁ」

「ダンジョンの「禍」からは逃れられないようだね。海斗」



 クツクツ笑う上司を奇妙に思う秘書は問う。



「あまり他人に興味のない主任がそこまで言うなんて、この人相当強いんですか?」

「人聞き悪いなぁ、ダンジョンフリークなのは否めないけども……うん、そうだね」



 円佳は立ち上がり、一面、ガラス張りの窓から外を眺め、こう呟いた。



「彼、私よりも強いよ」

「え?」



 冗談ともつかない円佳の顔がガラスに映り、秘書は思わず息をのんだ。



「さて、彼が他の機関に横取りされる前に、私も動かねばならないか」



 そう呟く円佳。

 それは悪戯を思いついた少女のような稚気溢れる表情だったという。





※次回は12/15 18:00に更新予定です


 ブクマ・評価などをいただけますととっても嬉しいです。励みになります。


 皆様に少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。 


 また、他の投稿作品も読んでいただけると幸いです。



 この作品の他にも多数エッセイや



・追放されし老学園長の若返り再教育譚 ~元学園長ですが一生徒として自分が創立した魔法学園に入学します~


・売れない作家の俺がダンジョンで顔も知らない女編集長を助けた結果


・「俺ごとやれ!」魔王と共に封印された騎士ですが、1000年経つ頃にはすっかり仲良くなりまして今では最高の相棒です


 という作品も投稿しております。


 興味がございましたらぜひ!


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