10話
9月8日、文学フリマ大阪12に出店します。
サークル名…未完系。
ブース…うー23
疲れた。今日はとにかく疲れた。
子の同級生のお母さんの中に、とにかく疲れる人がいる。
悪い人、というわけでないし、意地悪をしてくるわけでもない。ただ何か、圧倒されるパワーのある人なのだ。一緒にいるとその人の存在感に圧倒され、自分を見失いそうになる。外ではまだ朗らかに笑えるが、家に帰るとどっと疲れが押し寄せてくる。
マダム・レースなら。あの人の前でも自分を保ち、いつもの微笑みを浮かべることができるのだろうか。
強風に揺れる柳のように、川に流される笹船のように、翻弄されているように見えて自分を見失わずに悠然と立っていられるのだろうか。
私も、そう、なれるのだろうか。
心の中でマダム・レースに問いかけてみると、マダム・レースはいつになくまじめな顔で言った。
「合わないと思う環境からは、距離をとるという選択も必要です。貴女は貴女が最も輝ける場所に、自分を置くための努力を怠ってはなりません。何故なら、それは貴女にしかできないことなのですから」
私は呆気にとられたが、その言葉をしっかりと胸に刻む。
会わずにいられるなら、その人には会わないようにしよう。これまでは「断ったら気を悪くされるかな」と思っていた誘いも断ろう。相手は悪くないかもしれないが、私だって悪くはないだろう。ただ、縁がなかっただけなのだろう。縁がない相手と無理につながろうとしたところで、いいことがあるとは思えない。
あの人にとってママ達との集まりが「自分の輝ける場所」であるのなら、 ーー 事実、彼女はそこでとても生き生きとして見える ―― 彼女は自分で自分の「置くべき場所」を作り上げた、尊敬に値する人物なのだろう。
私も彼女のように、自らが輝ける場所を探さなければなるまい。そしてそれはきっと、彼女の傍では無いのだ。
とりあえず心を落ち着かせようと、編みかけの毛糸をダイニング・テーブルにセットして、紅茶を入れるために立ち上がった。
読んでいただいてありがとうございます。
★★★★★やいいねをポチってもらえるとモチベーションが上がります。
どうぞよろしくお願い致します。