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メドゥーサ(食品工場勤務)

メドゥーサ。

食品工場勤務、飲食物石化資格四級。


神話の時代はよかったなぁと思いながらベルトコンベアに流れてくる食品を延々と石化保存する日々を過ごしている。


夜勤明けの目に太陽光がしみて、頭上のヘビたちがうなだれた。

夜勤は給料がいいけどしんどい。


ふと見ると、まだ朝早いというのに近所のスーパーはもう開店している。

みんながんばっているんだな。


惣菜コーナーで半額弁当を探したけど今日はなかった。

朝一でもたまに残っていることがあるのだけど、いつもあるとは限らない。


疲労した身体を引きずって缶ビールを買い物カゴにいれる。

何かつまみもと缶詰コーナーに向かうと石化保存済の缶詰を見つけて不思議とほっとした。


うちの会社の製品だ。


誰がやったかわからないけど、これはいい石化だな。

なんて思う。


かつては怪物と恐れられたメドゥーサも今では社会の役に立っているのだ。


買っていくか。

お惣菜より割高だけど。




神話時代のことを考える。

美男美女を石化して眺め、討伐隊を返り討ちにし、勇者と一騎打ちする日々。


充実していた。でも本当にあれがわたしの幸福だったのだろうか。

他者を石化して眺めるわたしは社会との関わりを望んでいたのではないか。


電話がかかってきた。


「メドゥーサさん、明日シフト出られる?」

「もちろん手当はでるよ! あっ、無理なら全然いいんだけどね! 」


なんて電話口の工場長が言う。


わたしは快諾する。

最近は念話を使う機会もない、携帯電話で十分だから。


時は流れ社会と交わり、わたしは特別さを失った。

最近はそれも悪くないと思う。


レジ打ちをしているエルフに会釈して会計を済ませたら、家に帰って酒盛りにしょう。


恐れられず、脅かされない。

平凡な日々をわたしは愛している。

オムニバス形式で不定期に書くつもりなので、ブクマしてもらえるとうれしいです。

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