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プロローグ

二作目です。

今回は主人公が抱えるものの色が変化していくお話。

悩みとか悲しみも人生の色の一つになって、主人公が前を向いていきます。

エピローグではまだ想像ができにくいかと思いますが、徐々に進めていくのでお付き合い頂ければ嬉しいです。


 空を見上げれば雲ひとつない水彩絵の具で描いたような薄い青一面が広がっている。果てしなく続く青のその先もずっと青空なのだろうか。ぼんやり見上げていると、真っ白な飛行機雲がその青をすうっと分けていく。その白い線を目で追っていると、僕の膝の後ろをツンツンと突かれて下を向く。

 空を見ていたので少し目がチカチカして瞬きしながら見る先に、愛犬の(がく)が左の前脚でカリ、カリ、と突いていた。


「ごめんごめん、行こっか」


散歩の途中足を止めたので岳が早く歩こうと催促したのだ。僕はふふっと目を細め微笑むと岳も僕を見上げ舌をだらんと出しながら笑っているように見えた。

 六月に入ったばかりだというのに、今日の午前七時半は(がく)には少し暑く感じるだろうか。

清々しい青い空を背に歩みを速めた。僕の心はあの日から、そんな青空とは程遠く、いつも少し曇り空だ。(もや)っと雲のかかった空。

父が居なくなって僕の心は晴れないでいる。正式に言うと、それが僕のせいだと気付いた時あの日から。


 ハァハァと岳が息をして僕の少し前を歩いている。岳はゴールデンレトリバーという犬種で、文字通り黄金に似た小麦色のような少し長い毛を(まと)っている。フサフサした揺れる尻尾は今年七歳になるシニア犬には思えないほど優雅で堂々として見える。ここだけの話、そんな落ち着きのある岳は一歳を過ぎた頃、やんちゃで手に負えないというある老夫婦から譲り受けた。僕の最初の愛犬が旅立ち落ち込んでいた頃に、犬種の特徴もよく理解せず大型犬を飼った老夫婦が困り果てていると母が聞いてきたのだ。僕とは何故か気が合った。岳は僕の指示にはよく反応して、最初の日から良き相棒になった。


 だから今は一緒に空を見上げる友だち。大切な僕の友達のひとりだ。



読んでいただきありがとうございました。

これから始まるので、引き続きよろしくお願いいたします。

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