ジョアンナへの想い6
最終話です。
ダットンのお話は皆様が想像されていたお話になりましたか?
可能なら、想像外の話であってほしいです。
セラフィー伯爵家から帰ってきた父親は私に怒鳴り散らし 「カリーナを夜会実習でずっとエスコートしていたということはどういうことなんだ?」
「それは、カリーナが人見知りで・・・」
「カリーナよりジョアンナを優先しなければならないと教えたはずだ」
「はい・・・」
「学園でほとんど口も聞いたことがないというのは本当か?」
「はい。父上と母上のようにしております」
「なんだと?」
「子供の頃に婚約や結婚が解らなくて、家庭教師に聞いた所、父上や母上のようになるよう言われました」
「お前は馬鹿かっ!」
それから暫くすると王宮から手紙が届いた。
そこにはセラフィー伯爵家からの申立で婚約破棄が認められたことが記載されていた。
父はカンカンに怒り「お前などに侯爵家は渡さんっ!」と一方的に書類を制作し、弟に爵位を譲る事が決まってしまった。
翌日学校でジョアンナと何度も話そうとしたがそのスキがなく仕方なくジョアンナの家へと向かった。
ジョアンナの家に行くと「なにしにきたのか?」と不思議がられ、伯爵に会わせてもらうにも時間がかかった。
やっと会えたと思ったら、約束のある来客が来たので席を外すと言われ、話もないのでどうぞお帰りをと言われたが、ジョアンナとも話さないとならないし、ここで帰ることは出来なかった。
30分も待たされただろうか?
やっと伯爵が現れたと思ったらサイファーも一緒でその後にジョアンナが付いてきていた。
なぜサイファーが一緒にいるんだ?
ジョアンナと2人で話がしたいと言っても誰にも相手にされず、婚約破棄など望んでいなかったと言ったら、それは知らなかったと言われる始末。
何を話しても王家の許可が出ているので覆らないことを何度も言われ、それでも諦めきれずにいたら、サイファーとジョアンナが見つめ合って蕩けるような顔をジョアンナがしていた。
そんな顔、私に見せたことがないのに!
2人は立ち上がり、サイファーのエスコートで部屋を立ち去ってしまった。
私はセラフィー伯爵に何度も何度も「ジョアンナとやり直したい」と言ったが「ジョアンナが望んではいないのでお受け出来かねます」と何度も何度も断られた。
1時間程も平行線の話をしていて疲れてしまった私は帰るほか、道は残されていなかった。
帰ってきた私を見たカリーナは大層喜んで「これで私達の邪魔をするものは無くなったわね」と言った時、私は激怒した。
初めて人に手を上げた。
「お前のように身持ちの悪い女を誰が相手にすると言うんだっ!!二度と私の前に現れるなっ!!」と言うと「また服を脱ぎましょうか?」と言った。
こいつは馬鹿なのか?いや、かなり馬鹿だとは知っていた。
私の手を取り小さな膨らみに触れさせようとする。
「気持ち悪いことをするなっー!帰れっ!二度と私に近づくな」と言い捨て部屋から追い出した。
学園に行くとカリーナが纏わり付くが今までのようにはさせられない。でないとカリーナと婚約させられてしまう。
それだけは絶対に嫌だ。
身持ちの悪い女と一緒になると生まれた子供が自分の子かわからなくなると母親が言っていた。
社交デビューの少し前、サイファーとジョアンナの婚約発表がなされた。
最近仲良くしていたのは知っていたけど本当にサイファーのものになってしまうなんて。
私はこの先どうすれば良いのだろうか?
それからジョアンナは活動的に動いていた。
今までのジョアンナを全否定するような噂など無かったかの如く公爵夫人になることを周囲に態度で表していた。
社交デビューの日、サイファーと差し色の交換をした衣装に身を包み2人笑い合っていた。
あれだけのものを用意すると云うことは2年生が始まった頃にはサイファーとジョアンナの婚約話は出ていたと云うことなのではないか?
2人は、この会場中の誰よりも幸せそうだった。
私は何を間違えたのだろう?
全て順調にいっていたと思っていたのに。
何ならちょっとした脅しにこちらから婚約破棄を切り出してもいいと思っていたくらいなのに。
結局捨てられたのは私だ。
カリーナがねちっこく私に絡みつく。
本当に鬱陶しい。
殺してしまったほうが良いのだろうか?
これ以上付きまとわれたら我慢も限界が来てしまう。
そんな日が来ないことを祈るばかりだ。
ジョアンナ、君の顔が屈辱にまみれていた頃が懐かしいよ。
愛しているのは君だけなんだ。
戻ってきておくれよ・・・。
Fin
いかがでしたでしょうか?
お付き合いいただきありがとうございました。
嫌な気分になられたら申し訳ありません。