ジョアンナへの想い5
本当に少しずつ勘違いして生きています。
その歪みが成長と共に大きくなっていきます。
ある日の授業を境にサイファー・フェルベイトがジョアンナとシシリーの周りをウロウロするようになった。
だがジョアンナは身持ちが固く、絶対に触れさせたりエスコートさせたりはしなかった。
友人としての節度ある距離を保っていた。
さすが私のジョアンナだと感心した。
彼女こそが私の婚約者であると大声で言いたかった。
それでも気分が悪いことにはかわりなかった。カリーナの友人達にそれとなく「身持ちが悪いんじゃないか?」とか「簡単な女」とか言っておいた。
その声はジョアンナに届いたようで嫌そうな顔をしていた。
3年になったらジョアンナに婚約破棄しようと言ってみるのはどうだろうか?
すがりついてくるのだろうか、それとも毅然とした態度で接してくるのだろうか?
婚約破棄など、自分達の勝手で出来ることはない。
子供のちょっとした喧嘩だ。とてもいい考えのように思えた。
カリーナの友人がサイファーになにか言われてガタガタと震えていた。
相手は公爵様だからな。あいつら何を言ったのやら。
気のせいかもしれないが、ジョアンナの友人のシシリーが学校を休んだ頃からジョアンナとサイファーの距離が縮まったような気がした。
ジョアンナに限ってありえないと思っていた。
ある日、ジョアンナの父セラフィー伯爵が来た。
父と1時間程、話して帰っていった。
その後すぐ父に呼び出され、ジョアンナとの仲をまた聞かれた。
「16歳らしく節度を守った程よい距離でお付き合いしている。結婚するのが楽しみだ」と言った。
「ジョアンナが婚約解消を言い出したそうだが?」
「そんな事はありえません!」
「カリーナとの方が仲が良いと聞いたが?」
「それは幼馴染ですし、兄妹みたいなものですから」
「問題はないのだな?」
「私はそう思っております」
サイファー・フェルベイトの話はしない方がいい気がしたので口にはしなかった。
翌日、なんとかジョアンナと2人きりになろうとしたが、誰かがずっと側にいて話すタイミングがなかった。
仕方ないので昼食後、東屋に向かう4人を追いかけた。
「2人で話をしたい」と言うと「男女が2人きりになるようなはしたない真似は致しかねます」と断られた。
学校の中で婚約者であるのだからちょっとくらいはいいのではないかと思ったが、これもジョアンナの身持ちが固い、良いところだと妙に納得した。
婚約破棄などするつもりもないし、出来るものでもない。
婚約当初は知らなかったが、今はもう子供の頃に3回名前を書いた理由も知っている。
この婚約は王家に提出された確固たるものだ。どちらかが死ぬくらいのことがない限り婚約破棄は出来ないはずだ。
ジョアンナに婚約破棄するつもりはないことを伝えて私は満足した。
その日、学校から帰った私は婚約破棄をするつもりはないとジョアンナに伝えたと父に言った。
父は満足そうに首肯いた。
いかがでしたでしょうか?