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ー序章ー おれ、死んだらしい

-序章- 俺、死んだらしい


目が覚めると、薄暗く何もない見知らぬ場所にいた。

俺、沢渡恭一さわたりきょういちは元はただの男子高校生。趣味は女装、アニメ、ゲーム。所謂オタクという奴だな。なんならゲームは休みの日には半日以上やってる時だってある。おかげで今は友達なんて全然いないし、飯も全然食わないものだからガリガリだ。加えて一六五センチという男にしては若干低い身長をも後押ししたことからたまに女装して街を出歩いている。もちろんメイクとかは時間もかける。

しかしなんだってこんな場所にいるんだろうか。俺はアタマをフル回転させてここまでの記憶を探ってみた。

確か俺はあのとき・・・


そう、いつも通り学校に行く途中だったはずだ。それで急に目の前にトラックが来て・・・え?

俺、死んでる?


「気づいたようじゃな」


 突然聞き覚えのない声が聞こえ驚く俺の目の前には、いつの間にか金髪ブロンドの幼女がたたずんでいた。

「え、だれ・・・」

 俺は驚きが二重に来てしまったものでついうっかり第一声を発してしまった。急に幼女がいるんだもんそりゃ無理ないよ。

「失礼な!わしはこれでも名のある女神じゃぞ」

 急に女神といわれても信じる方がおかしいと思う。しかし併せないと面倒なんですよねになりそうなので適当に合わせて置いた。

「はあ・・・んでなんで女神様ともあろうお方が俺のところに?つーかここどこ?」

「質問をいっぺんにするでない。ちゃんと答えてやるからの」

 そう言って深呼吸をした後、女神とやらは俺の質問に一つずつ答えていった。

「まず何故儂がここにいるかじゃが、逆じゃ。うぬがここに来た」

「は?」

いきなりの返答に呆気にとられる間もなく女神は話を続けた。

「ここはもともと儂の作り出した空間じゃ。本来ならここに魂が迷い込むことは無いはずなんじゃが・・・」

「じゃあなんで俺の魂はここにいるんだ」

「そうじゃなあ・・・どれ、一度魂を見てみよう」

 そういうなり、急に体を俺の方に近づけてきた。

「ふむ・・・汝、なかなか面白い色の魂をしておるな」

「はあ、というと」

「おぬしには二つの色が宿っておる。おぬしが今までいた世界と、儂の世界じゃ。」

「?」

 急に魂の話をされてぽかんとする俺。というか話についてこれねえ。しかし女神は全てを見透かしているように俺を諭す。

「ま、急にそんなことを言われてもそんな顔にしかならぬな。よいよい、儂が説明してやる。感謝するがよい。」

 こうして女神は話した。

 なんでも、魂には生まれてくる世界によって色がついているらしく。その濃淡は人それぞれらしい。例えば、赤の世界に生まれてくる人がいてその世界の人は朱色や紅色といったいろいろな赤い魂を持っている。しかし、どういうわけか俺の魂は二色あるらしく。それが原因となってこちらにさまよってしまったらしい。

 魂を見るだけでここまでわかるとは、こいつのことを女神と信じてもいいかもしれない。

「うん、決めた。これもなにかの縁じゃろう。儂が肉体を与えてやる」

「は?」

 唐突な提案に俺は戸惑うことしか出来なかった。え?肉体を与える?神様そんなことできるの?とりあえず詳しい話をきいてみることにしよう。話はそれからだ。

「あのーそれってどういう・・・」

「んあ?物わかりの悪い奴じゃな。じゃから、儂が肉体を錬成する。そしてそこに汝の魂を入れて儂の世界に送り込む。要は転生じゃな」

 瞬間、俺のアタマがフル回転した。

 転生?肉体を錬成?それってもしかして・・・!

「あのー女神様、一つ質問なんですが」

「おうなんじゃ、なんでもいうてみい」

「その肉体ってオーダーメイドできたりするんですか・・・!」

 そう、自分の肉体。それは女装趣味のある俺にとって一番の問題。たとえ異世界に行ったとしても女の子の格好はしたがるに決まっている。それに、女装をしても何も違和感がない容姿になれるとするならこれほど夢のあることはない・・・!

 そしてそれに対する女神の答えは・・・!

「あぁ、できるぞ。というか自分でイメージしないと無理じゃ」

 なんとまああっさりとしたものだった。


 それから俺は容姿の細かい要望を女神に伝え、微調整を加えながらついに俺の異世界での肉体ができあがった!なんだかゲームのキャラメイクみたいで面白かった。というかもろそうか。ついでにラネル・エムビスという名前ももらったが、女神には本当にこんな容姿で良いのかと何度も聞かれた。

 もろもろの準備も整ったところで、一つ女神から注意事項を受ける。

「良いか、その体は儂の世界の住人とは違う、儂が直接作った肉体じゃ。じゃからその肉体が持つ力は並のものではない。その力をよく考えて使うようにな。それに、一ヶ月ほどは魂が肉体に馴染めんじゃろうな。己の力をよく知るためにもまずは体を馴染ませることから始めるがよい」

「ああ、わかった」

「それじゃあ、肉体と魂をあちらに送るぞ」

 女神が両手を開きながら前に差し出すと。俺の周りに魔法陣が浮き出た。

「おお、すげえ・・・」

「動くでない、失敗したらどうする」

「ああ、ごめん。ん?」

 魔法陣からすごい光がでていることに気を取られてなにか大事なことを忘れている気がする。あぁ、そうだ。この女神の名前だ。早く効かないとダメな気がする。

 もうすぐで転移が完了しそうなこのタイミングで言うのもなんだが、聞くしかない。

「なあ女神様、あんたの名前ってなんて言うんだ?」

「このタイミングでか?汝も物好きじゃのう。まあよい。」

 女神は若干呆れながらも名残惜しそうに笑いながら真名を答えた。

「儂の名はルミス。覚えておくがよい」

 言い終わると同時に、俺の視界は青白い光で包まれ、同時にテレビの電源のように意識もプツッと途絶えた。

 こうして、俺は新しい生を歩むことになったのだ。


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