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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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97ー上に立つ者の責任

「どうか、父をお許し下さい! 無責任な事を言いました! 王として、情け無いとお思いでしょうが、どうかお気を静めて下さい!」


 と、ディーユ殿下が仰ったそうな。そこから、ディーユ殿下も入っての話になった。

 お父様の話によると……

 ディーユ殿下だけでなく、宰相や側近まで何度も何度も解呪出来ているかもっと確認しなければダメだと進言していたらしい。なのに陛下は、関係者は解呪したんだからもういい。と突っぱねた。関係者と言っても第2王子の周りの者しか解呪していないのに、それで良い筈がないと。

 第2王子の失態でもあるのに、王家が責任を持って解呪しないでどうするんだ! と詰め寄った。すると陛下は、だから第2王子には謹慎をさせているんだからもう充分だ。と、聞く耳を持たなかったらしい。

 そんなこんなで対処が遅れている所に、モーガンお祖父様の進言があった。その上、次から次へと解呪の嘆願書が各地から届き出した。案の定解呪できてないじゃないか! と陛下に詰め寄っても、知らん! と逆ギレしたり、フラフラ言い逃れをされて埒があかない状態だったと。いやいや、子供じゃないんだから。


「そんな王がいるんだな…… 」


 レオン様が呟きました。


「レオン殿下、お恥ずかしい事を聞かせてしまったな」


 お祖父様……


「あ、いえ。私こそ失礼を言いました」

 

 お祖父様が、溜息をつきながら首を横に振られた。


「お祖父様、結局どうなったのですか?」

「ラウそれがだな。ディーユ殿下や、側近に宰相殿はもう限界だった様だ。第2王子殿下と男爵令嬢の件も早くから陛下と王妃様に進言していたらしい。それでもあの二人は、バッカスは仕方ないなー。で済ませていたそうだ。それだけではない。王都の衛生環境や、治安、スラム、孤児の問題をなんとかしようとしても、陛下は素知らぬ顔だったそうだ。ディーユ殿下の采配と権限で、なんとか出来る事だけでもと進めていた矢先の魅了騒動だ。陛下は何もしたくないんだ。何かして失敗したら愚王と歴史に残るからな。もう既に愚王だがな」


 お祖父様真剣だわ。 


「そしてディーユ殿下が仰った。陛下から実権を取り上げたいと。このままだと王国は潰れてしまうと」


 ディーユ殿下、切羽詰まってらっしゃったのね。


「父上、アーデス。陛下から実権を取り上げて、それからどうすると殿下は仰ったんだ?」

「兄上、父上に摂政の座に着いて欲しいと」

「そう来るだろうな…… 」

「馬鹿か! 私がそんな地位に着いたら王都から出られなくなるではないか! 私はティシュトリアに行くぞ!」

「兄上、ディーユ殿下の前で父上は今の言葉をそのまま仰ったのですよ」

「馬鹿な事を…… 」

「では、モルゴース! お前は私に摂政になれと言うのか!?」

「いえ父上。そうは言ってません。しかし、父上が王都を出たいと思っているのが分かれば、王家はどんな手を使っても阻止してきますよ。アーデスの婚姻の時の様にね。父上はそれでも良いのですか?」


 また出てきた、お父様の婚姻の時に何があったんだろう。


「それは……嫌だ」


 お祖父様、身体も声も小さくなっちゃった。


「では言ってはダメでしたよね?」

「伯父上、それよりも話の先を」

「ああラウ。そうだな。アーデスそれから?」

「なんとか取り繕いましたよ。父上はもうお歳だとか、既に隠居の身だとか言ってね。しかし、あの陛下に実権を持たせておいても良い事は何もないからな。だから、ディーユ殿下が仕切られる様に話してきた。実際、今城の機能がまだ動いているのはディーユ殿下と宰相殿のお力らしい。そしてお二人は色んな手を使って魅了の解呪が必要な者のリストを作っておられた。うちの領地を手本に衛生対策をしようと計画しておられた。その努力と苦労を見せられるとな、ディーユ殿下に任せても良いのではないかと思ったのだ。しかも足を引っ張っているのが現王だとなると、もう陛下は害でしかないだろう?」

「それで、陛下は了承されたのか?」

「兄上、陛下は情け無い事に父上の剣幕に驚かれ、腰が抜けてずっと放心状態で使い物にならなかったんだ。もうこれが良い機会だという話になってな。あと数年だな、お飾りの王でいて頂いて早々にディーユ殿下に譲位して頂く事になった。其れ迄邪魔や悪巧みが出来ない様に、今日もう既に誓約書を書かせた。魔法契約でな。その誓約書は父上が保管される事になった」


 魔法契約てアレね。マーリソン様の時に出てきたわね。

 魔法契約とは書面を作成して、魔力を流しながら著名する事。普通の契約より強制力が強く、違反しようとしても強制的に出来ない。よね。覚えてるわ。


「そうか、まだディーユ殿下がマトモに育っておられて良かったと思うべきか。父上が保管すると言う事は次に何かしでかしたら容赦しないと言う事だね。で、解呪はどうなった?」

「兄上、そのディーユ殿下と宰相殿とでかなり調べてらした。その者達を王城に呼び出して解呪されるそうだ。解呪薬と、解呪薬入りの肉まんとアイスを入れたマジックバッグを一つお渡ししてきた。貴族はそれで大丈夫だろう。しかし、王都民までは調べきれてない様だから我々で解呪してまわる事になった」

「結局我々がするのか、勝手な!」

「それにもディーユ殿下が頭を下げられたんだ。下げれば良いと言うものではないが、陛下の不手際を反省されていた。ご自分の父親なのにな」

「成る程。」

「父上と兄上が城で取り仕切ってらした頃はまだマシだったと。お二人が辞職されてから、陛下と王妃様は好き放題だったらしい。その結果があの馬鹿王子の出来上がりと今の状況だ」

「分かりました。ではとにかく解呪するしかないね、アーデス」


 ん? 伯父様、お父様の名を呼ばれたわ。嫌な予感。


「うちの商会が全面的にバックアップする。商会も料理人も使って良いから、解呪薬入りの肉まんとアイスをばら撒いてくれるかい?」


 あー、やっぱり。でも伯父様太っ腹。さすがお父様のお兄様だわ。


「ルル、だから違うぞ。上に立つ者の……」

「責任、ですわね。レオン様」

「ああ、そうだ」


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