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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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87/137

87ー襲撃?

 夜にこっそりモモちゃん達を呼び寄せました。


「ピー! ピ、ピピ、ピピュ!」


 ピアがパタパタ飛びながら何か訴えてます。あーはいはい。文句言ってるのは分かるわ。


「わふ」

「ルルー」


 ルビがフワフワ飛んで来たので抱っこします。ルビちゃんの可愛さは安定だわ。


「ピー!」

「え? ピアもしかしてお水? 私持ってないわよ!」

「ピーッ!!」


 ピアが、ガビーンッ! て、顔してます。


「ピア、分かったわよ。ちょっと待って」


 魔道具で話せるかしら?


「レオン様」

「……」

「レオン様!」

「お? おー! ルルか! ビックリした! どうした!?」

「ピアがお水を欲しいんですって」

「分かった。そっち行くよ」

「リアンカ、レオン様が来るから入れて差し上げて」

「ルル様、いくら婚約者でもこんな時間に本当はダメですよ」

「分かってるわ。でも仕方ないじゃない。ピアがお水って言うんだもの。それにリアンカもいるでしょ?」

「はい、分かりました」


 ――コンコン


「レオン殿下、どうぞピアちゃんがお待ちかねです」

「リアンカ、こんな時間にすまない」

「ピー! ピュピュピ! ピピ!」


 ピアがレオン様に飛び付きます。


「分かった分かった。ピア、水出すからちょっと離れろ」

「ピ……」

「ほら、ピア」


 ピアがゴツゴツした手で受け取って器用に飲んでます。


「ンギュ…ンギュ…プハーッ! ピー」

「可愛いなぁ。この子達には我慢させてるわね。皆んな、ごめんね」

「わふふっ」

「平気なのー」

「ピ」

「早く全部済ませて領地でのんびりしたいわね」

「わふ」

「そうだな。面倒事はもういいな」

「ええ」

「婚約パーティーも延び延びだしな」


 まぁ、それはいいわ。


「ルル。良くないから」


 あら、バレちゃった。


「リアンカ、水差しもらえるか? 余分にピアの水を入れておくよ」

「はい」

「じゃ、俺は戻るよ。ピア、大人しくするんだぞ。俺も男なんだけどな」


 と、言いながらレオン様は戻って行かれました。さ、みんな寝ましょう。


「わふ」

「はーい」

「ピピー」


 翌朝、早くにモモちゃん達を馬車へ戻して朝食です。リアンカが付いてくれています。ピアのお水持参でね。


「父上、街中を見てから次の街に向かいましょう」

「ラウそうだな」

「ジュード兄様、ジュノー様の様子はどうですか?」

「ああ、昨夜ベッドで眠れたから、今朝は大分元気だったぞ」

「良かったです」

「なんだジュード。ジュノー嬢と何かあるのか?」

「父上、侯爵方は旅に慣れておられませんから、体調を崩しておられたのです。お二人共、ディアナの薬湯でかなり元気になられました。ジュノー嬢は身体を動かす方が良いとの事ですので、私が散歩に付き合っているのです」

「そうか」

「私共家族は、旅慣れておりますからね。普通のお嬢様なら仕方ありませんわ」

「お母様もお嬢様ではありませんか」

「あら、ルル。あなたもよ」


 藪蛇だったわ。


「ふふふ、帝国の私の実家は令嬢であろうと、容赦ありませんからね」


 そっか。そう言えばお母様の家族は皆強いとレオン様が言ってたなぁ。


「さて、街をまわって出発しようか」

「はい、お父様。早く終わらせたいですわ」

「そうだな」

「本当にな」

「なんだお前達、揃って」

「父上、王家の尻拭いばかりさせられてると嫌にもなりますよ」


 いや、私は早く領地に帰ってのんびりしたいだけなんだけどね。


「さ、出立しよう」


 お父様の言葉で皆立ち上がりました。王都までまだ半分も来てません。

 はぁ……まだ先は長いわ。

 パッパカパッパカ馬車は街中を行きます。街の人達が声を掛けてきます。


 ――公爵様! 有難う御座いました!

 ――有難うございます!

 ――御恩は忘れません!

 ――またいらして下さいー!


「ルル、この声を聞いているとやって良かった、て思うな」

「レオン様、そうですね。本当に」

「ルル、どうした?」

「レオン様、念の為鑑定しながら見てるんですよ」

「あー、そっか。俺もやっとくか」


 その時です。ゴン! と、お父様の馬車に石が投げられました。


「!!!!」

「レオン様、あの男です!」


 草臥れた服装の男が一人、走って行きます。


「ああ! どこに隠れてたんだ!」

「レオン様、出ます!」

「俺も行く!」

「わふっ!」

「モモ! 出ちゃダメよ!」

「ダメじゃないわ! ルルが行くなら私も行くわ! 当然でしょ!」

「モモ!」

「ルル、乗って!」

「レオン様!」

「おうッ!」

「ルル様! レオン殿下!」


 リアンカが叫んでますが、二人モモに乗って石を投げた男を追いかけます。


「ルル、ディスエンチャントよ!」

「ディスエンチャント!? わかった!」

「わうおぉぉぉーーん!」

「ディスエンチャント!」


 逃げていた男の身体が光りました。そして……


「あ、あれ? 俺……?」

「大丈夫? 記憶はあるかしら?」


 モモから降りて近づきます。


「あ、あ……も、申し訳ありません! お、俺、俺……!」


 跪いて頭を下げました。


「戻ったわね。大丈夫よ。どうもしないわ」

「教えてくれないか? お前一人か?」

「き、教会の地下に……あと、3人が……」

「よし、案内してくれ」

「はい!」

「ルル! レオン! モモ!」

「ラウ兄様! 教会の地下にまだ残っているそうです! 行きます!」

「ルル! 俺も行く! 兄貴は父上といてくれ!」

「ジュード頼む!」


 教会の地下。昨日の騒ぎの中、潜んでいたのね。

 教会に着きました。


「ここか?」


 レオン様が聞きます。


「は、はい」

「いいか、何もなかった振りで、仲間にコレを食べさせるんだ。新しい食い物をもらったとでも言ってな。どうせ腹減ってるだろ? お前も食べていい」


 レオン様は男に肉まんを手渡します。


「コレを? どうなるんですか?」

「お前の様に正気に戻る。助けたいだろ? 戻ったら話が聞きたい。しっかり腹に入れて皆で出てこい。俺達は此処で待っている」

「わ、分かりました」


 男は肉まんを手に教会へ入って行きました。


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