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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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77ー領主代行

 さて、王都へ向かって馬車に揺られています。前回同様に其々の馬車で向かっています。ちょうど列の真ん中にクロノス侯爵御一行の馬車を。そして一番後ろに捕縛した者達を乗せた幌馬車が、その後ろにセイバーが続きます。

 私の馬車にはモモ、ルビ、ピア、リアンカそして今回はレオン様が一緒です。男の人が一人居るだけで、広い馬車が狭く感じるわ。何故今回はレオン様が同じ馬車なのか。それはピアが原因です。

 いつもの様にレオン様の頭に乗っていたピアですが、私やモモやルビとも離れたくない。が、レオン様とも離れたくない。


「ピ! ピーピピュー! ピピッ!」


 と、大きな目に涙を溜めながら訴えたのです。ま、根負けしましたね。そしてピアはルビにまた……


「やっぱりピアはバカなのー」

「ピッ!」


 と、言われてました。ま、可愛いから許しちゃうよね。

 そして今回はお爺様の要望で、王都へ向かう途中に通る街々で1日だけ滞在し街中を確認して行く事になりました。そうです。レオン様と私で鑑定しながら進むのです。

 もしも魅了に掛かっている人がいれば、イワカム特製の解呪薬入りの肉まんか、アイスを食べてもらいます。イワカム達料理人が頑張って大量に作ってくれました。其々のマジックバッグに沢山入れて持ってます。


「レオン様、鑑定のレベルは上がりましたか?」

「おう、ルル。モモに指導してもらったからな。任せろ」


 まぁ! レオン様自信満々ですね!


「ルル、なんだよその目は?」

「レオン様、頼りにしてますね」

「おぅっ! 任せとけ!」


 チョロ○さんですか。

 さてさて、一つ目の街に到着です。例の商人達が、ならず者の一団を目撃したと言う街です。お父様が態々馬車まで確認しに来られました。


「レオン、ルルいけるか?」

「はい、お父様」

「公爵、いつでも良いですよ」

「よし、街に入るところから初めてくれ。入口の兵も忘れずにな」


 そこそこの規模がある街の入口には門兵が2人立っています。軽い検閲の様な事をします。

 先頭のお父様の馬車が入口に差し掛かりました。ガイウスが対応しています。


「ティシュトリア公爵家の皆様とクロノス侯爵家の皆様です。捕縛した盗賊の護送も兼ねて王都へ向かう途中です」

「これは、ティシュトリア公爵様御一行ですか。どうぞお通り下さい」


 馬車が動き出しました。


「レオン様」

「ああ」


 鑑定……


「門兵は大丈夫だな」

「ええ。でも中にいる兵は見れないわね」

「ああ、しかし兵は全員見ておきたいな。王都に行く事もあるだろうしな」

「そうよね。馬車を降りたらお父様に相談しましょう。レオン様、馬車の中から移動しながらでも鑑定して下さいね。モモもお願い」

「わふっ」

「おう」


 各街にはその領地を治める領主邸か、領主代行をしている貴族の邸があります。

 前世で言う知事さんが領主、市長さんが領主代行の様な感じかしら? 飛び石の領地や広い領地だと、代行者がいる場合が多いみたいね。

 今回は王都迄の道中にある街の領主か領主代行者に会う予定です。そうです。鑑定する為です。残念ながら、モモちゃん、ルビちゃん、ピアは馬車でリアンカとお留守番です。


「ティシュトリア公爵様、ようこそいらっしゃいました。歓迎致します。私はこの街の領主代行をしております、クルースン子爵と申します」

「手間を取らせてすまない。捕縛した者達を頼めるか?」

「はい、王都から連絡を頂いております。地下牢へ連れて参りましょう」


 お祖父様が話を通して下さっている様です。兵達が幌馬車へ向かいます。

 鑑定……


「レオン様、子爵をお願いします」

「ああ」

「兵達は大丈夫です」

「子爵も大丈夫だ」

「ルル、ドアの陰に。あれは子爵の夫人か?」

「ラウ兄様、どこですか?」


 子爵のご夫人ならどうして挨拶に出てこられないのかしら?


「正面の入口だ」

 鑑定……


「兄様、当たりですわ」

「よし。父上、早速ですが伯父上の商会の新商品を試して頂いてはどうでしょう?」

「お、そうか」

「はい」


 そして、ラウ兄様がお父様のそばに言って耳打ちされました。


「父上、正面入口の陰におられる夫人が……」

「うむ。クルーソン子爵、実は兄上の商会の新商品の感想を集めておってな。どうでしょう、試食して頂けますかな?」

「おお! 新商品ですか!? ここは王都から遠い事もありまして、なかなかオーベロン公爵様の商会の物は手に入らないのです」

「今回の新商品は我が領地で開発した物でな。王都に向かう道中の街々で試食願おうと沢山持ってきているのだ」

「そうでございましたか。さ、是非中へどうぞ」


 客間に通されましたが、ご夫人らしき人は出てこられません。普通は子爵と一緒に挨拶するものなんだけど。


「失礼だが、ご夫人は?」


 お父様が聞かれました。


「実は少し前から臥せっておりまして。ご挨拶もできず失礼を申し訳ありません」

「まあ、それは心配です事。それなら是非、こちらを食べて頂きたいわ。甘くて冷たいので、食欲がなくても食べられますのよ。ご家族は何人いらっしゃるの? ルル、ご家族の人数分出して差し上げてちょうだ」

「はい、お母様。何人いらっしゃいますか?」


 お母様、ナイスサポートです。流石です。


「私と妻と子供二人です」

「公爵夫人、そちらに控えてられるメイドの方々にも試して頂いたらどうでしょう?」


 レオン様が声をかけれました。と、言う事はメイドもなのね。


「まあ、そうね。それはいい考えね。ルル、沢山出して差し上げて」

「はい、お母様」


 マジックバッグからドサッとアイスクリームを出しました。


「そうね、この邸にはどれ位の方がいらっしゃるのかしら?」

「はぁ、全てですと20人程ですか。しかしそこまでは……」

「宜しいじゃありませんか! さぁ、皆さん。食べてみて下さいな。他の方々にも持って行って差し上げて。遠慮はいらないわ。甘くて冷たくてとっても美味しいわよ。早くしないと溶けてしまいますわよ。さあさあ」

「公爵夫人、勿体ない事でございます」

「とんでもないですわ。皆さんの感想をお聞かせ頂けたら、私共も参考になりますわ。さ、どうぞ」

「有難うございます。さ、皆もお言葉に甘えて頂きなさい」


 わちゃわちゃと、嬉しそうにメイドさん達がやってきました。手に取り、アイスを口に入れると……

 先程、レオン様が指摘したメイドの身体が一瞬薄っすらと光りました。


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