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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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72ー肉まん

 私は部屋に戻ってきました。


「お、ルル。終わったか?」

「ピー」


 はい、能天気な二人です。その手に持っているピンクのマカロンは今日のお茶菓子ですか? 美味しそうじゃない。


「リアンカ、私にもお茶をちょうだい」

「はい、ルル様。お茶菓子も食べられますか?」

「ええ、少し戴くわ。はぁ〜……」


「なんだ、ルル? ため息ついて」

「レオン様。クロノス侯爵とジュノー様がお気の毒なのは勿論ですが、マーリソン様が不憫なのです」

「ああ。まあ……な」

「ルル様、それはマーリソン様が乗り越えなければならない事ですわ」


 リアンカがお茶を出してくれながら言います。


「分かっているけど」

「ルル様はいつでも変わりなく、マーリソン様と接するしか御座いませんわ。きっと、それが一番嬉しい事ではないかと思います」

「リアンカ、そうね」

「で、ルル。これからどうするんだ?」


 そうだったわ。お父様に頼まれた事よ。


「レオン様、相談があるのです」


 レオン様にお父様のお話をしました。


「スゲーな。超太っ腹だ!」

「それだけお父様は王家に任せておけないと判断なさったのでしょうね」

「で? 俺に相談て何だ?」

「王都で配る食べ物を何にすれば良いのか、一緒に考えてほしいの」

「なんだ、そんな事か。任せとけ!」

「ピピー!」


 ピアがレオン様の頭の上で胸を張ってます。


「なんでピアがドヤってるのよ」

「だってピアは馬鹿なの」


 またルビちゃんキツイわね。


「ルビちゃん、あまり馬鹿馬鹿言ったらダメよ。本当に馬鹿になっちゃったらどうするの?」

「そうなの?」

「そうよ。そんなに馬鹿と言ったらダメよ。ピアはまだ小さいのだから」

「……ピ……」

「ルル、もうやめてあげて」

「レオン様、どうしたの?」


 あら? ピアまで?


「もうこれだから天然は怖い」

「わふわぁー……」


 あら、モモちゃんはおネムかしら。


 さて、皆揃ってユリウスの研究室に来ています。マーリソン様も居ます。


「それで、ルル様。何か良い案はありますか?」


 お父様が仰っていた件ですね。


「そうね。対象が全年齢で男女関係なくなんて、1個の商品じゃあ無理でしょ? だからいくつか考えようと思うの」

「ルル、どんな食べ物にでもその解呪薬は混ぜられるのか?」

「そこなのよ、レオン様。だからディアナが、無味無臭で出来るだけ少量で効果があって、どんな温度にも耐えられる様にと改良してますよ」

「そうだな、先ずは美味しくないとな」

「そうよねー」

「尚且つ、今現在市場に出てないものだな」

「んー……」


 レオン様、簡単に言うけどそんなのあるの? 全く思い付かないわ!


「ルル様、投げやりになるのはやめましょう」


 やだ、ユリウス。やっぱり私の心が読めるのね。


「だから、ルルは分かりやすいんだって」

「んー……例えばレオン様。レオン様が好きな食べ物はなんですか?」

「俺か? 俺はここの食べ物は全部好きだぞ!」

「ピ!」


 ピアが手を挙げてます。はいはい、ピアも好きなのね。


「ユリウスは?」

「そうですね……先日オヤツに出た大学芋なんて見た事ないですね。マカロンもですね。シュークリームはもう店に出してしまいましたか」

「もしね、極少量にできるなら単純に飴でもいいじゃない?」

「ルル、飴て珍しいか?」

「レオン様、平民はお砂糖て貴重品ですよ」

「あ、そっか」

「でもルル様。飴はどっちかと言うと子供向けですよね。魅了は子供に余り関係ないかと」

「そうだわね」


 一旦甘いものから離れるか……。


「たこ焼きなんて如何かしら?」

「ルル、あの鉄板はムズイぞ」


 ああそっか……。前世だと、一家に一台たこ焼き器なのに。え? 違う?


「んー……そうだ! レオン様! 肉まんなんてどう?」

「お、ルルいいな! 肉まんを嫌いなヤツなんていないぞ!」

「でもね、私肉まんの皮? の作り方知らないわ」

「あー、俺はもっと知らねー」

「イーストはあるのよ、果物から作ったのが。ベーキングパウダーが問題ね。代用品として重曹かな。重曹て何で出来てるのよ?」

「あー、ルル。全く同じでなくても良いんじゃないか? ぽくでいいよ。ぽくで」

「ぽく?」

「そう。パンだってさ、あんなにフワフワなのはここだけだよ。なんだったらハンバーガーだって皆知らないだろ?」

「そっか……イワカムに相談ね」

「中の肉は?」

「手軽な物がいいわ。角ウサギか、ボア?」

「男はボアだな」

「私は角ウサギね。じゃあ、餃子も有り?」

「大有りだな!」

「小豆があればねー」

「あんまんか?」

「うん。善哉もいいわよね。ダメ、食べたくなってきたわ!」

「ルル、ホントな!」

「ルル様、とにかく1品はその肉まんですか? それで決まりでしょうか?」

「そうね、ユリウス。ハンバーガーも出してみましょう。冒険者とかが食い付きそうだわ。テイクアウトで販売するにしても、売りやすいし持ち帰りやすいわ」

「あとは?」

「レオン様、そうね……ラーメンと言いたいところだけど、麺がね。難しそうだわ。伸びちゃうと美味しくないし」

「ルル! アイスとか、シャーベットはどうだ?」

「アイスね……レオン様、いいかも!」

「厨房に行こうぜ!」

「ピー!」

「待って! ねえ、ユリウス。マーリソン様が静かなんだけど」


 いつもなら、絶対に会話に入ってくるマーリソン様が部屋の隅で丸くなって座ってます。落ち込んでるわね。まあ、分かるけど。


「ルル様、ダメです。今はマーリソン殿はどん底です」

「マジかー」

「レオン様。気持ちは分からなくはないけど」

「マーリソン殿、行くぞ!」


 レオン様ったら、強引だわ。マーリソン様の腕を引っ張ってます。


「レオン殿下、私は……」

「いいから行くんだよ! 美味いもん食べて、ワイワイやってそしたら少しは気も紛れるさ!」

「レオン様、そう言う問題でもない気がするわ。でも、マーリソン様。あなたはもうティシュトリアの領民でしょ? 自分で家を捨てたと仰ってたじゃない。マーリソン様の知識や能力がこの領地を良くしたり守ったりしてるのよ。それを忘れてはいけないわ。家名に引き摺られてはいけないわ」

「ルルーシュアさまー!!」


 あー、はいはい。復活ね。立ち直りが早いわ。


「さ、マーリソン様も一緒に参りましょう」

「私ごときに、なんと勿体ないお言葉!」

「はいはい、行くわよ」

「ピピー!」

「わふっ!」

「行くのー!」


 はいはい。みんなでイワカムに相談しましょう。


「イワカムいるかしら?」

「おや、嬢様。皆さんお揃いッスね!」

「イワカム、作って欲しいものがあるの」

「いいッスよ!」

「軽っ!」

「若、もう慣れっこッス!」

「なるほどー」


 さあ、試作品を作りましょう。イワカムお願いね。


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