70ー頑張ったのー!
「セイバー、付近を捜索! 仲間が潜んでいるかも知れん!」
「「「はっ!」」」
「ジュード様、後は私とセイバーが。先に戻ってジュノー嬢を早く休ませて差し上げて下さい」
「ノトス、頼めるか」
「はい、お任せ下さい」
「ルル、戻るぞ」
「いえ、ジュード兄様。モモと残って魔力の残滓を追ってみます」
「ジュード、ルルが残るなら俺も残る」
「レオン頼む。ノトス!」
「はい、ジュード様。」
「セイバーを5人ルルとレオンに着けてくれ!」
「分かりました!」
「ルル、レオン深追いするんじゃないぞ」
「はい、ジュード兄様」
「モモ、2人を頼むな!」
「わふっ、大丈夫よ」
「ジュード。二人って、俺もかよ!」
「わふっ!」
「俺は先に戻る! セイバー2人ついてこい!」
「「はいッ!」」
ジュード兄様がジュノー様を抱えながら馬を走らせて行きました。
「マジックサーチ……」
「モモ、小屋の中でルルは何してるんだ?」
「レオン様、あれはマジックサーチと言って、小屋に残った魔力を調べてるのよ」
「ルビのじゃない魔力があるわ」
「ルビが連れて来られた時は誰もいなかったの」
「そう、ルビを連れて来た人達は何処かへ行った?」
「閉じ込められたから分からないの」
「そっか。モモ、この魔力をサーチしてみるわ」
小屋を出て周りを見渡します。
「サーチ……モモ、いたわ!」
「ルル、人数は分かる?」
「2人ね。1人の魔力がサーチにヒットしたわ」
「ルル! 追跡できるか!?」
「レオン様、当然よ! モモ、行くわよ!」
「ルビも行くの!」
「ルビ、モモに乗って! 行くわよ!」
「セイバー! ルル様を守れ!」
「「「「「はッ!」」」」」
ノトスが指示します。セイバー5人がそばに付きます。
「ノトス! 此処はお願いね!」
「ルル様! お気をつけて! モモちゃん、頼んだ!」
「大丈夫よ、任せて!」
「モモ、レオン様行きます!」
「おうっ! ケイ、ルルに付け!」
「はッ!」
サーチで確認した方へ馬を走らせます。モモはルビを乗せて横を走ってます。レオン様、ケイも直ぐ後ろに、セイバーは私達を守る様に周りに付いて走ってます。
「ライト」
前後にライトを出します。
「ルル、距離はあるのか?」
「レオン様、向こうも馬で移動してるみたいね。でも森の中なら森に慣れてる私達の方が有利だわ」
「ああ!」
「ルル、レオン様、もうじき見える筈だわ」
「モモ分かったわ。ブースト! プロテクト!」
全員に強化と防御の魔法を掛けます。
「一人は魔術士です! 気をつけて!」
「「「「「はいッ!」」」」」
「ルル、見えたわ!」
「アースウォール!」
逃走先に土の壁を作って足止めします。
――うわっ!
――なんだこれは!?
「ルル様! 我々が行きます!」
セイバーが突っ込んで行きます。
「マジックガード!」
セイバーに魔法防御を掛けます。
「ルル様! 気絶させます! 拘束を!」
「了解!!」
男の一人が懐から何かを取り出したその時……
――うわっ!!
ケイが投げた短剣が男の手を掠めました。
「自害しようとしてましたね」
男が落とした丸薬をケイは拾ってます。
セイバーはアッと言う間に2人を気絶させてしまいました。
「アースバインド」
一人は見るからに、ならず者。もう一人はジュード兄様の報告にあったケープを着けています。
「こいつがアレイ・モルドレッドか?」
「レオン様、どうかしら? ジュード兄様の報告にあった濃紺のケープを着た人物は間違いなくこの人だろうけど」
「レオン殿下、ルル様、戻りましょう」
「ケイ待って。念の為、周辺をサーチしてみるわ。サーチ……」
「ルルどうだ?」
「レオン様、他には誰もいないみたい」
セイバーが二人を確保して戻ってきました。
「戻りましょう」
お邸に戻ってきました。
「ルル!! 無事か!?」
「はい、お父様。先に逃げていた二人を確保してきました。一人は魔術士です」
「そうか」
「ルルーシュア様!」
マーリソン様がバタバタと走って来られました。
「マーリソン様」
「魔術士を確認させて下さい!」
セイバーがいる後ろに目をやります。マーリソン様は、まだ気絶している濃紺のケープの男の顔を覗き込みます。
「……!」
ズサーッ! と、いきなりマーリソン様がお父様に土下座をされました。
「申し訳ありません! 我が身内がまたもやこんな……こんな大それた事を! なんとお詫びして良いか!」
「マーリソン殿、立ちなさい。マーリソン殿がその様な事をする必要はない」
お父様が、マーリソン様を立たそうとなさいます。
「しかし……しかし! 公爵様!」
「マーリソン様、お父様の仰る通りですよ。さ、お立ち下さい」
マーリソン様が首を横に振られます。
「此度ばかりは! 私は、同じモルドレッドの名を持つ者として、捨て置く訳には参りません! 侯爵様にもご令嬢にも何と言う事を! なんと、なんとお詫びすれば良いのか!」
「マーリソン殿は、我々の同志であろう? 気持ちは理解するが、マーリソン殿とは別の話だ。良いですかな? マーリソン殿とは無関係なんですぞ!」
「公爵様……!」
「アーデス様、先ずはそのならず者の指にある指輪を取りましょう。そして、アレイ・モルドレッド殿には魅了の解呪を」
「そうだな、ユリウスの言う通りだな。セイバー、指輪を確認し外してから地下牢へ連れて行け。ああ、自害する為の毒薬も全て没収しておく様に。魔術士だけは別の牢に入れておけ」
「「「はっ!」」」
セイバーが二人を担いで出て行きます。
「自害しようと取り出した丸薬は如何しましょう?」
ケイが丸薬を手にサラッと言います。
「ああ、私がお預かりしましょう」
ユリウスが受け取りました。
「お父様、ジュノー様は?」
「ああ、大丈夫だ。ジュードが連れ戻って、今はまだ意識は戻ってないが部屋で休ませている」
「怖い思いをされたでしょうに」
「そうだな。しかしルル、早期に助け出せて良かった。ルビ、此度は助けられたな」
お父様がモモに乗ったルビを撫でられました。
「頑張ったのー!」
「ああ、ルビは偉いぞ!」
「ルビ、偉いのー!」
「あれ? そう言えば一番煩いのがいないな」
そうね、真っ先に飛んできそうだけど。
「ルル様、レオン殿下。ピアちゃんならお腹いっぱいになった様で、ルル様のお部屋で寝ています」
「リアンカ、有難う」
「やっぱりピアは馬鹿なのー」
ピアの言葉で、一気に張り詰めた空気が緩みました。




