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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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68ー攫われた!

 数日、動きがなく捜索も進まず膠着状態が続きました。動きがない中、今はお父様の執務室に集まっています。ルビが相変わらずジュノー様に着いてます。癒しになっていれば良いけど。


「失礼致します」


 ディアナが書類を片手に入ってきました。


「ラウアース様が回収された死体から、先日と同じ毒を発見しました。3名共、所持しておりました」

「そうか」

「遺体の損傷が激しかったので、検分は難しかったのですが、1名の手の指から魔道具の指輪を発見しました」

「魔道具か、どの様な?」

「それがアーデス様。モモちゃんが洗脳系の痕跡があると言っていた事を覚えてらっしゃいますか?」

「ああ、勿論だ」

「指輪の魔道具は正にそれでした。昔、この国に奴隷制度がまだ存在した頃、奴隷に命令を聞かせる為に開発された魔道具です。主人の命令通りに行動し、反発は許されない。そんな効力の魔道具でした」


 隷属させる魔道具と言う事ね。そんな物があるなんて。


「そんな昔の物が未だに存在するのか!?」

「いえ、当時の物ではなく、ごく最近作られた物の様です。魔道具はまだ新しい物でした」

「ではその魔道具を作った魔導士がいると言う事ですね」

「ユリウス兄様、その通りよ」

「ラウアース、ジュード、他の遺体も指輪をしていないか調べてくれ」

「「はいッ!」」

「魔道具ですか。魔法だと効力がいつまで続くのか確証がないから、魔道具にしたと言う事でしょうね」

「ユリウス、簡単に作れる物なのか?」

「いえ、簡単ではありません。まあ、ルル様なら簡単でしょうが。普通はしっかり知識と魔力がないと無理です。しかし、腑に落ちない事が一つあったのです」

「ユリウス、それは?」

「湿地帯のリザードマンの巣で闇の魔石を発見しました。マーリソン様が作成されたと言う事で見過ごしてしまっていましたが。ではその闇の魔石を誰がどうやってあの湿地帯まで運んだのかと言う事です」

「それはマーリソン殿のお父上の関係者ではないのか?」

「父はあの魔石を運べる程の魔力はありません。弟も義母もです。あの家の使用人も含めて、魔石に取り込まれずに運べるだけの者はおりません」

「マーリソン殿、では一体どうやって?」

「公爵様、やはり従兄弟のアレイ・モルドレッドが怪しいです。あの頃アレイは遠征に出ていた筈です。王都を出たのが、あの第2王子の誕生日パーティーの4、5日程前だったと思います。魔導士団団長と一緒に出発の挨拶を受けたので、間違いありません」

「……」


 お父様も言葉を無くしています。


「失礼致します。ケイ殿が到着されました」


 ガイウスが知らせにきました。


「ああ、通してくれ」

「畏まりました」


 そして、王都以来のケイが入ってきました。


「お久しぶりで御座います。長々とレオン殿下がご迷惑をお掛けして……」

「ケイ、いいから。報告を頼む」

「レオン殿下、畏まりました。レオン殿下のご指示で、その後の王都を調べて参りました。まず、国外追放になったサクソン・モルドレッド家ですが、次男のリングソン・モルドレッドと奥方は、奥方のご実家にある別邸で確認がとれました。国外追放になったのはサクソン・モルドレッド侯のみですが邸も没収されているので、実家を頼っている様です。しかし、サクソン・モルドレッド自身も国内に舞い戻っていた形跡がありました、どうやら、モルドレッド家の分家の者と会っていた様です。分家の次男アレイ・モルドレッドが魔導士団に入っているのですが、この10日程無断欠勤をしており、所在が確認出来ませんでした」


 これは、マーリソン様の予想が的中したのではないかしら。


「それと以前、サクソン・モルドレッド邸にならず者が集められているとご報告しましたが、姿がありませんでした。邸を没収されサクソン・モルドレッドが国外追放になった折に解散したのかも知れませんが、確認がとれませんでした」

「では、父はまだそのならず者達と従兄弟のアレイを使って暗躍していると言う事でしょうか?」

「マーリソン様、まだ証拠が固まっておりませんので確定はできません」

「しかし……!」

「マーリソン殿、取り敢えずケイの報告を聞きましょう」

「レオン殿下……申し訳ない」

「続けます。レオン殿下が気にしておられたので、パーティー後の王家の動きも調べて参りました。確かに王家は魅了の解呪を行っておりました。しかし、確実に魅了にかけられている者を見分ける方法がなかった為、第2王子に関わりのあった者を中心に解呪されました。ですので、第2王子と接点のなかった貴族や平民などは解呪されずそのままになっております」

「なんだとッ!!」

「なんて無責任なッ!!」


 お父様もお母様も激怒です。


「実際に平民の間で、男爵令嬢は悪くない、自分の助けを待っている、と騒ぎたてた者もいた様です」

「ケイ、それに対して王家は?」

「何も」

「何もしていないのか!?」

「はい。公爵様、何も」


 ――ドンッ!!

 お父様が執務机を殴った……!!


「ガイウス! 父上に文を出す! 最速で届けてくれ!」


 ダメだ……。本当にこの国の王家は……ダメだ!


「ルル、落ち着け」

「レオン様! 余りにも無責任過ぎます!」

「ルル、お母様達が王家を嫌う意味が分かるでしょう?」


 その時です。


「ふわおぉぉぉーーんッ!『ルル!』」


 モモの大きな鳴き声が響きました!


「モモ!?」

「ルル、待て!」


 私は思わずモモの鳴き声に反応して、執務室を飛び出していました。レオン様やお父様、お兄様、ケイ達が追いかけてきます。


『モモ! 何があったの!?』

『ルル! ジュノー様が攫われたわ!』

『なんですって! モモはどこにいるの!?』

『ジュノー様の部屋よ! ルビの声に気づいて来たんだけど、間に合わなかったわ!』


 なんて事なの! まさか、こんな強硬手段に出るなんて!


「ルル!」

「レオン様! ジュノー様が攫われた!」

「なんだとッ!?」

「お父様! モモがジュノー様の部屋にいます!」


 皆でジュノー様の部屋に急ぎます。


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