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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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65ー報告2

「ルル、どういう事だ?」

「はい、お父様。ジュード兄様と一緒に行った洞窟の湖周辺に生息していました。マソイバナだけでなく、他にも珍しい植物がありましたので、ディアナの薬草園で育てられないかと思い根毎採取してきておりました」

「なんとッ! でかしたルル!」

「ディアナ、それで栽培できるのですか?」

「ユリウス兄様、それが非常に困難かと。魔素が濃い状態など普通はあり得ませんから」


 なるほど。それもそうだけど……。


「ディアナ、魔素が必要な植物を温室の様に囲ってしまうのよ」

「ルル様、もう少し詳しく……」

「成る程! 流石! ルル様の仰る通りです!」

「マーリソン殿、説明してくれ」

「はい、公爵様。ルル様の仰る通り囲ってしまうのです。と、言うより魔素が必要な薬用植物専用の建物を造ってしまうのです。言うなれば、薬草専用のハウスですね。そこに、レオン殿下が持って来られた魔素水の池を造ってしまうのです。その周りに、濃い魔素が必要な植物から順に植えていくのです。薬用植物というものは、大なり小なり魔素を必要としております。必要度合いによって植える場所を変えれば良いのです。より濃度の高い魔素水を作るのなら、ルルーシュア様が持ち帰られた魔鉱石を池に沈めるのです。但し、池の魔素水は滞らせてはなりません。澱みが起きてしまうと魔を呼びますからね。循環させなければいけません」

「池の水を循環させるのか。それは困難だな」

「公爵様、それ程困難ではないと思います。実際に洞窟の湖を見ましたがあの湖は雨水が溜まっただけではなく、地底からも湧き出ているのでしょう。魔鉱山であった地底から湧き出た水だからこそ、魔素を多量に含んだ湖になったのでしょう。この地も同じです。地下水脈を調べて掘るのです。それで循環できるでしょう。しかし魔素濃度はどうしても薄くなってしまうので、定期的に湖の魔素水の補充か魔鉱石の追加又は交換は必要でしょうが、循環させる事は出来る筈です」


 うん、マーリソン様天才! 私の「囲ってしまえば良い」の一言から完璧に導き出しているわ。しかも、私が考えた以上にね。


「なるほど。その建物はすぐに着工する様にしよう。其れ迄、薬草は大丈夫か?」

「はい、お父様。無限収納に入れておけば、時間は経過しませんので大丈夫です」

「スゲーな」


 レオン様、あなたも無限収納あるでしょうに。


「ルル、そこじゃなくて、マーリソン殿が言った事な」


 はい、レオン様にまで心を読まれました。


「ガイウス、ドワーフの長に建築の要請をしておいてくれ。親方が来てくれるだろう」


 ファンタジーでお馴染みの、ドワーフ。うちの領地でも活躍してくれています。ティシュトリア領の全ての建物、領主邸はもちろん、砦に至るまでドワーフ作です。


「ドワーフ!」

「レオン様、今度会いに行きますか?」

「おお! ルル是非! 帝国にはいなかった!」

「さて、ジュードが聞き込んできた、一団と一緒にいた者達だな」


 そうよ。不審者達、どう考えても怪しいわ。狙っているのね。


「小綺麗な貴族の様な姿をした者と、濃紺のケープを着た人物でしたか?」

「ラウ、そうだな。一緒にいた一団は弓矢で襲撃してきた者達も含まれるだろうな」

「父上、まだ残っている者がいるとすれば、再度の襲撃があるかも知れませんね」

「ジュード、お前はまだ調べに出るのか?」

「父上、一団の足取りが途絶えてしまっているのです」

「きっと森に入ったのだろう?」

「そうだな、ラウ。レオンと討伐に出るのは中止だ。明日からセイバーを連れて森の中を捜索してくれ。ま、討伐も兼ねてしまうがな。ジュードは領地の外から森の中の捜索だ」

「「分かりました」」

「テレスとルルはジュノー嬢についてくれるか」

「「はい」」

「邸もセイバーの守備を厳重にするが、皆も気をつける様に。邸の敷地内でも油断しない様にな」

「公爵、ケイを呼びよせます。我々が領地へ戻った後に王都で何があったか、調べさせてみます」

「ああ、頼んだ」

「それと池を作るのなら、魔素水をまた洞窟の湖まで取りに行きたいのですが」

「そうだったな。が、しかし採取に出るのは少し待ってくれ。何も掴んでいない状態で出るのは不味い」

「分かりました」

「其れ迄レオンはルル達のそばにいる様にしてくれ。他に共有しておく事柄はないか?」


 お父様が皆を見られました。


「公爵様、確実ではないのですが……」


 マーリソン様、思うところがあるのでしょうか。遠慮気味に話されます。


「マーリソン殿、構わん」

「モモ殿が、盗賊団に洗脳の可能性を言っておられたそうですが、一団と一緒にいた濃紺のマントの者が魔術士なのでしょう」

「そうなるだろうな」

「しかし、洗脳の魔法若しくは洗脳の魔道具など誰でも使えるものではありません。その事と濃紺のマントから推測したのですが、もしかして魔導士団第二士団の一人が関わっているかも知れません」

「マーリソン殿に心当たりがあるのだな?」

「はい。魔導士団という所は、魔導士や魔術士が「魔術」に関する研究や探求を主にする部署です。役割は多岐に渡りますが、日々研究等をしながら要請があれば魔導士、魔術士としての力を使います。その中で、私が副士団長に選ばれた際に一緒に候補に上がっていた者がいるのです。その者は日々の研究よりも力を使う事に重きを置いておりました。魔術について研究をするよりも、魔道具を作ったり力を使う魔術の方にです。ですので、洗脳の魔法も使用できます。勿論魔道具も作成できます。それに、その者が普段魔導士団の団服を着用しない時に使っていたのが濃紺のマントなのです」

「しかしマーリソン殿。濃紺のマントだけ見れば、簡単に手に入りますし、使用している者は少なくありませんね」

「ユリウス殿、そうなのです。しかし、そこに洗脳を使える者と絞り込むと数は極端に少なくなります」

「成る程。ではマーリソン殿、ケイに調べさせましょう。どなたなのですか?」

「はい、レオン殿下。モルドレッド家分家の次男で私の父方である従兄弟に当たります、アレイ・モルドレッドです」


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