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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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61ーまだ馬鹿

「公爵……これは……」

「ああ……」


 お父様がお母様に助けを求めてますね。


「レオン殿下、ピア、モモ、ルビ、お座りなさい!」


 お母様の言葉に、揃ってこっちにやってきます。ピアはまたレオン様の頭にくっついてます。


「ピピ、ピー!」

「ピア、分かったから少し大人しくしろ」

「わふっ!」


 多分、モモがピアを叱ってます。


「ルル様、レオン殿下申し訳ありません」

「リアンカ、ピアが無理矢理出て来たのでしょ? 仕方ないわ」

「ピー……」


 ピアがしょんぼりしてレオン様の頭から降りて、私の膝にきました。なんで私の膝よ? ウルウルした目で抱きついてきます。


「あー、これは怒られるの分かってるな」

「ピア、ダメでしょ。勝手に飛び出して来たんでしょ?」

「ピ……」

『ルル、ピアは初めて別々に食事したから、不安だったみたいなの。それに今日は一日中レオン様と離れてたしね。寂しかったみたいね』

「だからって、一人で勝手に飛び出したりしちゃダメよ」

「ピー……」

「あなた、仕方ないですわ」

「ああ、クロノス侯爵、決して他言しないでほしいのだが、紹介しよう。シルバーフェンリルのモモ」

「わふっ」

「カーバンクルのルビ」

「ルビなのー」

「ドラゴンの赤ちゃんでピアだ」

「ピ……」


 ピア、シュンとしてるけど、でも片手はヒョイと上げるのね。


「フェンリル……カーバンクル……ド、ドラゴン……ッ!」

「まあ、3頭共ルルのペットと言うか、仲間と言うか……だな」

「なんとッ!」


 あぁー、クロノス侯爵もジュノー様もフリーズしてるわ。

 お父様が其々を保護した経緯を話された。まあ、モモは言えない事があるので誤魔化されたけど。


「信じられません! 本当に存在したとはッ!」

「クロノス侯爵、呉々も他言はしないで欲しい。何が起こるか分からんのでな」

「そうですね、勿論言いません」


 私はピアを膝に抱きながら、ルビとモモを撫でる。


「ピ……ピ、ピ」

「ピア、お水が欲しいの?」

「ピー」

「レオン様」

「ああ、ほらピア」

「ピー。ンギュング……プファー」

「ピア、大人しくしてろ」

「ピ……」


 ピア、レオン様に怒られちゃった。


 レオン様も一緒に早々に引き上げてきました。私の部屋です。リアンカがお茶を入れてくれてます。


「はぁ……ピア」


 レオン様、ため息を吐きながら頭を抱えてしまったわ。


「ピー」


 ピアは私の膝の上で抱き着いてきます。叱られるのが、分かっているのね。


「わふっ!」

「ピ、ピー……」

「レオン様、仕方ないわ。ピアをこれ以上叱っても…」

「まあ、そうだがな。モモもルビもお利口なのに、ピアはなんでかなぁ」

「そうね、でも、表情が豊かで可愛いじゃない」

「ピ……」

「わふっ!」

「ピー」

「モモも、もう叱らなくていいわよ。でもピア」

「ピー」

「私達はピアを守りたくて、ピアにお願いしているのよ。なのに、ピアが勝手に動いちゃったら守り様がないわ。だからね、ピア。約束はちゃんと守ってほしいの。さっきだって、レオン様はピアの処へ行こうと部屋を出るところだったのよ」

「ピー……」

「ピア寂しいのー。置いてかれると思ってるのー」

「ルビ。ルビもそう思う?」

「思わないのー。ルルもモモもそんな事しないのー」

「そうよ、置いて行くなんてしないわ」

「ピアはまだ馬鹿なのー」


 ルビったら辛辣ね。可愛いのに。


「ルビ、ピアはまだ赤ちゃんなのよ」

「ピア、俺達は置いていったりしないぞ。寧ろピアと一緒にいる為に色々考えてるんだ。ルルとユリウスが作ってくれた、ピアの腕輪もそうだ。ピアが大人になって独り立ちするなら止めないが、俺達からピアと離れる事はないぞ」

「ピー」

「ピア、わかった?」

「ピー」

「それより、ルル。公爵から聞いたけど、盗賊だってな」


 マールス侯爵一行が、襲われた件ね。


「レオン様、乙ゲーではどうなってますか?」

「婚約破棄して、ヒロインと第2王子が結ばれてハッピーエンドで終わりなんだよ。婚約破棄後の事はなにも出てこないんだ」

「そうですか。じゃあ今は乙ゲーのシナリオにはない世界って事ね」

「そうなるのかな」

「でも、どうしてクロノス侯爵一行が狙われたのかしら? やはり婚約破棄に関係するのかしら?」

「どうなんだろうなー。しかし今クロノス侯爵を狙っても得はないよな?」

「そうですよね。本当に只の盗賊だったとか?」

「いや、それなら捕まってから自害する理由が分からないな」

「そうね、念のためクロノス侯爵とジュノー様に誰か付いてる方が良いのかしら?」

「ラウと俺は討伐に行くぞ」

「えー、もう充分じゃないですか? 大量でしたよ」

「ルル、そんな問題じゃないんだな。俺にとってはレベル上なんだな」

「はぁ……」


 まあ、止めないけど。頑張ってね。レベルが低いってモモに言われちゃったものね。


 はい、翌日です。朝ごはんです。皆揃って食堂にいます。クロノス侯爵とジュノー様も一緒です。


「公爵、この卵料理はなんですか? とてもまろやかで美味しいですな」

「お? これは普通のオムレツだが?」

「これが普通ですか?」

「普通だな」


 お父様が家族に同意を求めたので、皆コクコクと頷いています。


「ティシュトリア公爵様、普通ではありません。王都にはこの様なオムレツはありません!」

「そ、そうか? ジュノー嬢。しかし我が領地では領民も普通に食べている料理だ」


 家族皆が、うんうんと頷いてます。


「パンも何故こんなに柔らかいのです?」

「侯爵、それも普通だな」

「「……」」


 クロノス侯爵もジュノー様も黙ってしまわれたわ。でも、普通なんだもの。ね。仕方ないわ。


「ピー」

「ピア、水か?」

「ピー!」


 あー、マイペースだわ。


「クロノス侯爵、今日は領地を案内しよう」

「おお、是非。お願いします。魔物は出ますかな?」

「領地内は魔物避けがあるので、大丈夫だ」

「迎えにきて下さったジュード殿や領主隊は本当にお強い! 魔物が出ても、アッと言う間に討伐されるので驚きました」

「ハハハ、街道に出る魔物程度でしたら、訳ないな。ルルーシュアでも軽く討伐するな」

「なんと!」


 お父様、やめてッ! 私のイメージが!

 食事の後、お父様はクロノス侯爵を領地の案内に連れ出されました。


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