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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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58/137

58ーお留守番

 ――コンコン


「ルル様、皆様そろそろ夕食の時間ですよ」


 リアンカが呼びに来てくれました。


「ではルル様、また明日にしましょう」


 リアンカと一緒に食堂に向かっていると、ラウ兄様やレオン様とモモ達に会いました。


「ラウ兄様、レオン様。お疲れ様でした」

「わふっ!」


 モモの上にルビが乗って、ピアはレオン様の頭に乗っています。もうピアの定位置ね。


「ああ、ルル。ルルも裏にいたのかい?」

「ええ、ラウ兄様。ユリウスの研究室にいました」

「マジックバッグか?」

「そうです。でも魔物の素材が足らないみたいで」

「ルル、マジックバッグに魔物の素材が必要なのか?」

「レオン様、そうですよ。空間魔法に耐えられる魔物の素材で先にバッグを作ってもらうんです。それから空間魔法等の付与ですね」

「じゃあラウ、討伐に行こう!」

「レオン、そう言う所が母上に信用してもらえないんだよ」

「あー、そうだった」


最近レオン様て、ラウ兄様やジュード兄様の弟に見えるわ。


「ラウ兄様、先ずはお父様に相談してみます」

「そうだな、ルル。それがいい」


 夕食時に、早速お父様に相談しました。


「魔物素材か?」

「はい、お父様。マジックバッグを作るのに、魔物の皮で先にバッグを作ってもらうんです。その後、空間魔法などの魔法を付与します」

「マジックバッグはジュードも便利だと言っていたからな。マジックバッグで旅も討伐も今迄とは変わるな」

「ユリウスが言うには、幸い森でよく見るウルフ系の魔物の皮で充分に対応できるそうです」

「そうか、では一度討伐に出るか」

「ルルはお留守番よ。そのマジックバッグを作らないといけないんでしょ?」

「はい、お母様」


 お母様に先手を打たれたわ。私も討伐に行きたかったのに。


「じゃあ、私が……」

「あなた、クロノス侯爵が来られるのに、あなたが留守をしてどうするんですか」

「あー、そうだった。では、ラウ。レオンとセイバーを連れて行ってきてくれるか?泊まりにしなくても、数日森に入れば集まるだろう?」

「はい、父上。わかりました。早速明日から森に入ります。ルル、今完成しているマジックバッグはあるのか?」

「ええ、ラウ兄様。ラウ兄様とリルの分と、あと5個位は出来ております」

「先にうちのセイバーに貰っても構わないか?」

「構いませんよ。ジュード兄様のセイバーも10個持ってますから」

「ルル、私も欲しいぞ!」

「お父様、分かってますわ」


 お父様、絶対に言うと思っていたわ。

 翌日から、ラウ兄様とレオン様で討伐が始まりました。そこで困ったのがピアです。


「ピー! ピッピー!」


 そう、レオン様について行くと訴えているのです。レオン様の頭から離れません。


「ピア、でもピアを連れて行くと肝心の魔物が怖がって出てこないだろ? だからピアはお留守番だ。ルビと一緒にお利口にして待っていてくれ」

「ピー!」

「今回はいくら言ってもダメだぞ。夕食迄には戻ってくるんだからさ」

「ピッピュー……」


 ピアが大きな目をウルウルさせています。


「ピア、お留守番してましょう。ね?」

「ピー……」

「モモはどうするの?」

「私は今回はついて行くわ。レオン様のスキルレベルが低すぎるもの」

「モモさん、ハッキリ言うね。厳しいんだね」

「ても、モモがいると索敵してくれるから、討伐に有利よ」

「そうなんだけどさ。ガンバリマス」

『モモちゃん、程々にね』

「わふっ」


 午後には、クロノス侯爵とジュノー様を出迎えに行っていたジュード兄様が帰ってくる予定です。

 私は朝から相変わらず、マーリソン様やユリウスと一緒にマジックバッグの製作です。井戸端会議をしながら。


「ピアちゃん今日は大人しいですね」

「ユリウス、触れないで」

「どうしました?」

「レオン様の討伐について行きたかったのよ」

「しかし、ピアちゃんがいると魔物が出ないのでしたか?」

「ユリウス殿、そうです。不思議に全く出ないのです!」

「マーリソン様は洞窟の調査で一緒でしたね。それは連れて行けないですね」

「ピー、ピ、ピー……ピ……」

「拗ねてますか?」

「きっと、モモは行ったのに。て、思っているのよ」

「モモちゃんは良いナビゲートしますからね」

「そうなのよ。モモもレオン様を鍛えるとか言い出して」

「レオン様、大変ですね」

「レオン様本人は討伐に行くのが嬉しいみたいだから」

「ルル様! 今日は早めにお昼食べて下さい! 午後からジュード様が戻られる予定ですからね」


 リアンカが呼びにきました。

 食事をして、お父様やお母様と一緒にサロンで紅茶を頂いてました。両親と私だけと言うのは滅多にない事です。いつも兄様達やレオン様が必ずいますからね。


「ルル、殿下との婚約発表で着るドレスを作るわよ」

「お母様、まだ発表の日も決まってないですよ」

「ルル、ドレスを作るのは時間が掛かるのよ」

「ルル、まだまだお父様のところにいていいんだぞ!」

「あなた、しつこいですわよ。さっさと婚約発表しないと、馬鹿王家が何を言ってくるかわからないわ」

「流石にそれはもうないだろう?」

「あなた、私達の時の事を忘れたんですか?」

「あー……いや、忘れてはないが。相手は帝国の皇子だぞ」


 そうよ、お母様。


「ジュード様が領地に入られました」


 お父様の執事兼側近のガイウスが知らせに来ました。


「そうか、もう直ぐだな」

「ルル、お迎えの準備をしましょう」

「え? お母様。何をするんですか?」

「ルル、あなたその格好で出迎えるつもりじゃないでしょうね?」


 あれ、いけませんか……? 動きやすい様に普通のワンピース着てるだけなんだけど……。


「分かりました。着替えて参ります」

「そうしなさい」

「リアンカ、部屋に戻るわよ」


 お母様、怖い……。目がコワイ……。


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