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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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48ー帰路

 森の中を馬で移動しています。疾走してます。森の中なのに。樹々があって走りにくいのに。疾走です。皆、慣れてますからね。


「帰りはまったく魔物が出ないなぁ」

「ジュード様、そうですね。モモちゃんの言っていた様にドラゴンのお陰でしょうか」

「ジュード兄様、ノトス、見えていないだけで何頭も遠巻きにこちらを伺ってますよ」

「ピ?」

「ルル、ピアは話せなくても、こっちの言ってる内容は理解できるんだな?」

「ジュード兄様、そうみたいですね」

「もうそろそろ森を出るぞ」


 本当に一度も魔物が襲ってこなかったわ。ピアちゃん凄い!


「ピ?」


 ピアは飛べるけど、まだそんなに距離も飛べなくて速度も遅いのでルビと一緒にモモに乗ってます。

 まだフワフワ浮かぶ程度みたいね。て言うかルビもいるから、赤ちゃんが2頭?


「ルビは赤ちゃんじゃないのー」


 ルビちゃん思考を読んだわね。


「ルビ、ごめんね。ねえ、モモ。ピアてどれ位で大きくなるの?」

「そうね、何十年かしら?」

「え? 何年生きるの?」

「そりゃあ、ドラゴンですもの。何千年でしょ」


 ひゃあー、時間の感覚が違うわ。


「もしかして、モモも?」

「私は眷属だから死ぬのではなくて、役目が終わったら神の元に戻るのよ」


 そっか、戻るのか。そっか……


「ルル、どうしたの?」

『ん? 今回の私の生が終わったら、モモとはお別れなんだなーて、思って』

『ルル、私はルルの守護者よ。もしも目に見えなくても、そばにいられなくなっても、ズッとルルの魂を守護しているわ』

『モモ、私は一緒にいたいのよ』

『ルル、有難う。そんな顔しないで』

『うん……』

「ルル、どうした?」


 レオン様が心配そうな顔をして、私を見たわ。


「レオン様、なんでもないですよ」

「そうか? 泣きそうな顔してたぞ」

「大丈夫ですよ」

「ルル、俺は今は婚約者だけど、将来は婚姻して一生ルルのそばにいるんだ。俺にはもっと我儘言って甘えていいんだからな」

「ふふ、有難う御座います」


 こう言う気が付くところとかは、優しいんだけどね。婚姻かぁ。婚姻ねぇ……うーん。


 お邸に無事帰ってきました。魔物が出ないと本当あっという間だわ。


「ルルー!」


 はい、お約束のお父様です。


「……!」


 あ、固まってますね。原因はアレですね。モモにのってる、白くて小さいアレですね。


「お父様、ただいま戻りました」

「ルル、お帰り。その……モモに乗ってる白い……」

「ピピュー?」

「ピア、私のお父様よ。お父様、ドラゴンで湖龍の赤ちゃんのピアです」

「ピー!」


 ピアが片手を上げてます。


「ド、ドラゴンだとぉーーー!?」


 お父様、叫ぶとより声が大きい。お父様の方がドラゴンみたいよ。


「ルル、どうしてそうなった!?」


 ラウ兄様が突っ込んできますね。


「ラウ兄様、洞窟の中にあった湖で保護しました。ピア、私のお兄様でラウ兄様よ」

「ピー!」


 また片手を上げてる。可愛いー! ナデナデしちゃう。


「ルル、後で構わないから、隊員達が採取した鉱石を纏めて収納してくれるか?」

「はい、ジュード兄様、構いませんよ」

「明日にでもバロールの工房に行くか?」

「はいっ! ジュード兄様!」

「ジュード、俺も行く!」

「ジュード、そんなに収穫があったのか?」

「ああ、兄貴。凄いぞ! マジックバックは本当に便利だぞ」

「ジュード、レオン、ルル、マーリソン、モモ! 報告してくれ! 執務室に行くぞ」


 はーい。甘い物が食べたいわ。


「リアンカー!」

「はい、ルル様! お帰りなさいませ!」

 

 呼べば必ず答えるリアンカさん。


「お父様の執務室に、紅茶と何か甘いものを持ってきてちょうだい」

「畏まりました。その、ピアちゃんは何を食べますか?」

「なんでも食べるわよ」

「分かりました。イワカムさんに貰ってお持ちします」

「有難う、お願いね」


「さて、詳しく報告を聞こうか」


 ジュード兄様が、お父様に詳細を報告されました。


「リッシュ湖の水源が森の中の洞窟にある湖か。ジュード、しかも地底湖ではないのだな」

「はい、父上。地底湖ではありませんよ。それも、高濃度の魔素水だそうです。その湖には魔鉱石も豊富にありました。レオン、少し出してくれ」

「ああ」

 

 レオン様がゴトンと魔鉱石の塊をテーブルに出しました。


「これが魔鉱石か。凄いとしかいい様がないな。少し光っているか?」

「父上、あの洞窟は大昔に採掘場だったのかも知れません。もうかなり崩れていましたが、坑道の様なものも残っていました」

「ルル、危険はないのか?」

「はい、お父様。モモの見立てでは、永い年月を掛けて脆い部分は崩れてしまっているそうです。今は、頑丈な岩盤だけが残っているので、大丈夫だそうです」

「モモ、間違いないのか?」

「そうね、間違いないわ。崩れた部分に気の遠くなる時間をかけて水が溜まって湖が出来たんじゃないかしら」

「モモ、その湖は高濃度の魔素水だったんだろ。リッシュ湖の水は安全なのか?」

「ええ、ラウ様。湖の水が地下を通って濾過されリッシュ湖に溜まる頃には、かなり魔素濃度が低くなってるわ。だからこそ、リッシュ湖の水が豊作を齎しているのね」

「成る程。正に自然の成せる技か。リッシュ湖もいつからあそこにあるのか分からないからな。で、その湖にピアがいたのか?」

「ええ。ラウ様」


 卵だったピアは湖畔に落ちてしまって、孵った時には既に母龍はいなかった事。それからピアは一人でいた事。そして、モモと私の魔力に気付いて出てきた事を話しました。


「そうか。モモ、ピアはどれ位の時間を一人でいたんだろうな」

「ラウ様、多分だけど数年だと思うわ」

「年単位か……」

「人間とドラゴンだと時間の感覚が違うから」

「成る程」


 ――コンコン


「お茶をお持ちしました」


 リアンカが紅茶と甘いもの……アップルパイだ! 持って来てくれました。


「ピアちゃん食べる?」


 リアンカがピアにアップルパイを出してくれてます。


「ピピュー!」


 あ、嬉しそうにバンザイしてる。


「なんでも食べるんだな」

「お父様、人間と同じ様に食べますわ」

「ピー!」

「お、水か。ほら」

「ピー!」


 レオン様がマグカップいっぱいに魔素水を出しました。


「レオン、それは?」

「ラウ、湖の魔素水だよ。ピアには必要らしいから持ってきたんだ」

「んぐっんぐっ、プハーッ!」


 ピアがゴツゴツした両手で器用にコップを持って美味しそうに飲み干しました。


「ピア、美味そうだな」

「ピピュー!」

「お父様、ダメですよ」


 もう、ジュード兄様と言い、お父様と言い。親子だわ。


「高濃度の魔素水なので、人間はダメだそうです」

「おぉ、そうか」

「しかし、ルルは本当に規格外と言うか……」


 あらラウ兄様、何かしら? 私なの?


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