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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第ニ章

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45/137

45ー魔鉱石

「なんで? 洞窟に入ったのに?」


 私は呆然と湖を見つめています。


「ルル、周りを見てみろ。岩盤が取り囲んでいる。確かに洞窟だったんだ。この高さだと上から降りるのも、下から登るのも不可能じゃないか?」


 なるほど、兄様の言う様にかなりの高さがあるわ。


「そうね、ジュード様の言う通りね。大昔は洞窟だったんでしょうね。そして、また遥か昔に噴火か地震かは分からないけど、何か洞窟の一部が崩れる程の事があったんでしょう。それで此処だけ天井の岩盤がなくなって、永い永い時間をかけて湖になったんでしょうね。それにこの湖は……」

「モモ、魔素水なの!?」

「ルル、そうみたいね。皆触ったらダメよ」

「魔素水? モモ、俺は初めて見た」

「ジュード様、かなり高濃度の魔素水になっているわ。人には毒になる程の濃度だから触ってはダメよ。洞窟の魔鉱石等から滲み出てこうなったのね。若しくはこの洞窟の岩盤自体に魔素が大量に含まれているのかも。採掘場だったみたいだし。本当に太古の洞窟なんだわ」


 モモが説明してくれました。

 洞窟の中にポッカリと開けた場所にある魔素水の湖はとても透明度が高く澄み切っていて、まるで悠久の時を眠り続けていたかの様に静かにそこに存在していました。

 魔素水でできているせいか、湖の水が淡白く光を帯びている様にも見えます。


「スゲーな。神秘的だ」


 よく見ると、湖を囲む一面の壁がキラキラと光っています。


「鑑定……ジュード兄様! 周りの岩盤を見て下さい!」

「ルル、どうした!?」

「周りの岩盤にミスリルがあります! この周りの岩盤すべてにです!」

「「「「「おおーっ!!」」」」」


 隊員達は大喜びです。武器が作れるものね。ミスリルの剣だもの。そりゃあ嬉しいわよ。


「ルル、湖の向こう側、アレなんだ?」


 レオン様が指差す方、湖の向こう岸の狭くなっていってる部分に、大きなクリスタルの様な鉱石が見えます。


「鑑定……えっ!? 魔鉱石ですって!?」

「「…………!!」」


 私の言葉に、レオン様もジュード兄様も言葉が出ません。ただ目をとっても大きく見開いてます。


「そうみたいね。結晶化したのね」

「ルル、欲しい!」

「俺は魔鉱石なんて見た事ないぞ!」

「ジュード兄様、私も欲しいです!」

「ルル! 向こう側へ行けないかな?」


 またレオン様、目がキラキラしてるわ。さっきのビックリお目々はどこにいったのよ。


「無理よ。湖の周りは岩盤が脆くて足場が悪いわ。足場自体がない所もあるもの、どうやって……」


 湖の周りは岩盤が突き出ていたり、魔素水に侵食されているのか足場がなくなっていたりする所もあって、向こう岸へ行くのは難しそうです。


「ルル、あなたフライ使えるでしょ?」

「え? フライ?」


 何それ?……と、使えるみたいだわ。スキルを持っていたわ。


「ルル、もっと自分のスキルを理解しなきゃダメね」


 はーい。モモちゃんにダメ出し頂きました。


「ジュード兄様、私向こう側へ行きます。魔鉱石を採取してきます!」

「おお! ルル、気をつけろ!」

「はい、兄様! モモ、行くわよ」

「わふっ」

「ルビも行くのー」


 ルビを抱えてモモに乗ります。


「ルル、モモ、俺も乗せて!」


 ひょいっとレオン様がモモに乗って私の腰に手を回して捕まります。


「行くわよ、フライ」

「あぁー! ルルーシュア様! 私もご一緒したかったー!!」


 マーリソン様が何か叫んでますね。もう定員いっぱいよ。

 レオン様とモモに乗ってフワフワと湖の上を渡ります。


「ルル、向こう岸に降りれそうだ! あそこの少し平らな岩盤に降りよう!」

「ええ!」


 レオン様、そう言うとこよ。お母様に信用してもらえない原因。自覚がないわね。

 フワリフワリと慎重に向こう岸を目指します。


「降りるわよ」


 湖のふちにそーっと降りました。

 奥の方に、湖のふちの岩盤が少しだけ平らになっている所がありました。そこにゆっくりとモモが降りました。


「凄いわね……」

「綺麗なのー」

「あぁ、神秘的だな」

「ここは湖の幅が狭くなっているから特に濃度が濃くなっているのね」

「やだ、ルビ飲んで大丈夫なの?」


 ルビちゃんいつの間にか湖の魔素水をゴックゴク飲んでます。


「大丈夫なの。美味しいのー」


 あら、そう……。可愛いけど。


「モモも平気なの?」

「私は眷属だもの。平気よ」

「ルルとレオン様も触っても大丈夫よ。二人は病気の時に飲んだら完治するんじゃないかしら?」

「何それッ!?」

「レオン様。二人共、前世の記憶を持ってるでしょ? 所謂、転生者よ。転生者は、界の境界を越える時に魂が一度魔素に変換されているのよ。だから魔素に耐性があると言うか相性が良いというか、とにかくあなた達二人は大丈夫」

「モモちゃん!」

「「凄い!」」

「私は眷属だもの……」


 今日2回目ですね。


「あの魔鉱石、採取しようぜ! アレで武器作ったらスゲー武器が出来そうだな!」

 

 レオン様、ワクワクしてますね。目がキラキラしてますよ。カブトムシ捕まえようぜ! てノリね。


「ダメね。扱える人間はいないわ」

「モモ、そうなの?」

「普通に作るのじゃダメなのよ。魔力を流して魔鉱石に馴染ませながら作るのよ。ドワーフとか、若しくは鍛治のスキルを持った者だったら作れるんじゃないかしら?」


 ドワーフかぁ。鍛治のスキルかぁ……ないなぁ……。


「えぇー、モモ様ー」

「レオン様、ダメよ。ルルは魔法は使えても、鍛治のスキルは持ってないわ」

「ルル……」


 何よ。仕方ないじゃない。持ってないんだから。


「おーい! ルルー! レオン! 大丈夫かー!」

「あ、ジュード兄様が呼んでるわ。戻りましょう」

「待って、もっと魔鉱石収納して行く!」

 

 レオン様……本当、そう言うところね。お母様に信用して貰えないのね。


「ルル、待って」

「レオン様、どうしました?」


 レオン様が湖の奥を指差します。


「この湖、そこの岩盤の下にある切れ目から流れ出してないか?」


 レオン様が指差す岩盤の下の方を見つめます。確かに、わずかに隙間があるのが見えます。


「本当だわ。どこに続いているのかしら」

「ルル、行ってみようぜ!」


 この王子は全くもう。どうやって行くのよ。教えて欲しいわ。


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