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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第一章

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31ー助っ人?

 ふぅ……紅茶が美味しいわ。何を落ち着いてるのかって? もう、落ち着くしかないですよねー。ここまで想定外だとね。逆に冷静になりますよねー。


「ルルーシュア様! どうか! どうかわたしにご慈悲を!!」


 はい、本日3度目の土下座です。ふぅ……訳わかんないわ。ユリウス、お願い。


「ルル様、こればっかりは……」


 私はまだ何も言ってないのに、断られちゃったわ。

 あれからお父様にも、戻ってきたお兄様達にも、騒ぎを聞きつけて入ってきたお母様にも事情を説明しました。ユリウスが。

 そして、この魔法バカは何をどう考えたのか、私の下僕にしてほしいと、宣ったのです。


「マーリソン・モルドレッド殿、貴殿は侯爵家嫡男ではないか。それなのに、何を……」


 お父様、もっと言って。


「まあ、うちのルルーシュアは可愛いから気持ちは分かるがな!」


 お父様、違うから! 話が余計にややこしくなるから!


「ブハハッ!!」


 レオン様……決めた。いつか後頭部張り倒してやろう。


「私は確かに1番最初に生を受けましたが、それだけです。あの家に情も未練もありません。いや、寧ろ家名を捨てられるものなら捨てたいと、常日頃から思っておりました。いくら家から離れても離れても、接触してくる狸親父に、バカ犬な弟に、欲塗れで化け狐の様な義母。その上、この始末です。どうか、私を助けると思って! ご慈悲をー!!」


 あら、動物園みたいなお家なのね。ふぅ……


「いいじゃありませんか」


 ディアナです。いつの間に入って来たの? 今日はズッと一人モモにモフッてたのに。ディアナが来たら纏まる話も纏まらないわ。


「条件を出したら如何ですか? そうですね、例えば今回の計画を文句なく手伝うとか如何です?」


 うわ……絶対に何か企んでる顔だわ。


「ルル様、失礼だわ」


 ユリウスとディアナの兄妹は、私の心の声を聞くスキルでも持ってるのかしら? 不思議ね。今日は私、殆ど喋ってないわ。


「ルル様、現実逃避しないで下さい」


 ユリウス、だってね。


「マーリソン様、貴方のお父上が何をなさろうとしているのか。そして、私達が何をしようとしているのか、ご存知ないでしょう? 私達はあなたの仇になるかも知れないのですよ」


 と、一応説得をしてみる。


「教えて下さい! 何を聞かされても、私があの父親の味方になる事は決してございません! 母が事故死した時に、義母が家に来た時に、私は既にあの家を見限ったのです。あれから私は一人で生きてきました。ルルーシュア様、貴方はそんな私の天使なのです!!」

「ブハハハハ……!」


 レオン様、ホント失礼だわ。


「ですから、まず先に魔法契約致しませんか? それから全てお話したらどうでしょう?」


 ディアナ、魔法契約て、何よ。


「ルル様、まさか魔法契約をご存知ないのですか?」


 ユリウス、そんな目で見ないでくれる?知ってるわよ、多分。いや、知らないわ。


「これからお話する事を絶対に他言しない。と、魔法契約で約束して頂きましょう」

「ルル様、魔法契約とは書面を作成して、魔力を流しながら著名する事ですよ。普通の契約より強制力が強いのです。違反しようとしても、強制的に出来ないのです」


 なーる。怖いわね。


「契約致しましょう!!」


 この魔法バカは……

 結局、この後魔法契約をして、お父様が全て話されました。


「身の程知らずのバカ共がぁー!!」


 と、怒りまくったマーリソン様ですが……


「喜んで協力致しましょう! そして必ずや懲らしめてやりましょう!!」


 と、叫ばれました。あんなに闇の魔力を込める位ですもの、よっぽどだったのでしょうね。それも辛いわよね。


「そして、計画が成功した暁には、どうか! どうか私をルルーシュア様のお側に! 領地にお連れ下さい! 下僕で構いません!!」


 ……て、もう。なんだかね。許容範囲を軽く超えてるわ。


「マーリソン様、魔導士団の副士団長と言うご立派なお役目がございますでしょう?」


 ダメ元で説得してみる。


「即刻退団致します! 私は! 私はズッと憧れていたのです! ルルーシュア様の魔力に!! そのルルーシュア様のお側に置いて頂けるのなら、魔導士団など!!」


 ダメだわ……。

 とにかく、心強い? 味方を得た訳ですが、翌日からマーリソン様はいそいそと通って来られ、魔道具作成が捗った事はとても嬉しい誤算でした!

 実際、マーリソン様の能力は高く、さすが魔導士団トップ2です。


 今日もマーリソン様、ユリウス、私の3人で魔道具作成してますよ。アップルパイ食べたいな。料理人に頼んで作ってもらおうかしら。とか、考えながら。


「ところでルルーシュア様、お茶会で紅茶葉に魅了のレジストを付与されたとか」

「ええ、マーリソン様そうね。急でしたから。人数もいましたし」

「それはどの程度、維持できたのですか?」

「うーん、実際に魅了を使える者がおりませんので、確実な事は不明ですね。ただ、私の意識では最低限当日の夜まで維持できる様に付与しましたわ」

「なるほど、今回もそれが使えるのでは?」


 な、なんですと?


「と、言いますと?」

「ですから、その他大勢の招待客や侍女、警備の者などはパーティー前にレジストを付与した紅茶を飲ませるのです。ルルーシュア様のお祖母様から差入れでティシュトリア産の茶葉だと言えば、貴重で人気の物なので皆喜んで飲むのではないでしょうか? そうしたら、魔道具の数もかなり少なくて済みますね」


 ………………。

 どうして誰もそこに気づかなかったの?

 バカなの? 私達、おバカ?


「おや、気付かれませんでしたか?」


 また、心を読まれてしまったわ。


「ユリウス」

「ルル様、そうしましょう。大奥様にお願い致しましょう!」


 そうよね、そうよね! お祖母様ー!!


「構いませんよ。当日、差入れ致しましょう」


 やったー! 魔道具作成から解放されるわー!


「ルル、食べ物には付与できないのかしら?」

「お祖母様、できますよ。紅茶より簡単です」

「では、先日食べたバウムを作って付与しましょう。もしも、紅茶に興味のない者でもバウムは必ず食べるわ。あれは王都にはないもの! とても美味しいもの!」


 お祖母様、さっすがー!


「ルル様、それでもあと少し魔道具は必要ですよ。頑張りましょうね」


 ユリウスは鬼だった。料理長! どうか私にアップルパイをー!!


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