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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第一章

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29ー遭遇

 そんなこんなで、レオン様やユリウスと3人で王都の街に来てます。馬車を預かってくれる所で降りて、歩いてます。

 学園にいる時から思ってたけど、王都て暗くないかしら? 雰囲気がね、なんか陰湿と言うか空気が澱んでいると言うか……。


「ルル様、王都はティシュトリア領程衛生状態が良くないんですよ。風通りも良くないから、どうしても空気が澱んでしまうんですね」


 そうなんだ。知らなかった。そうね、領地は海からも陸からも風が入る様に街並みが作られているし、下水も完璧だもんね。お父様凄いじゃん。


「ルル様の知恵のおかげですね」


 なんですと? 私なの? 私なのか?


「ルル様がまだ小さい頃ですが、大きい地震の後に津波で街が壊滅的になった事があったのを覚えてますか?」


 まったく記憶にございません。

 なんでも小さい私が、早く地区の全住民を高台やお邸の敷地内へ避難させないと、大きな波に攫われる! と、泣き叫んでお父様に訴えたらしい。急いで住民を避難させた直後に、真っ黒な津波が街を襲って壊滅的な被害を受けたにも関わらず住民は無事だった。その後の復興の際に、私の意見を取り入れて街自体を盛り土をして底上げし堤防を作り街並みや下水も整備したらしい。


「あー、なんと言うかマジやらかしまくり?」


 本当、小さい私ったら何やってんの? まるで地震大国日本みたいじゃない。


「さすが元日本人?」

「ブフッ!!」


 レオン殿下は突っ込みがお得意ですか? いや、吹き出してるだけか。


「ルル様、このお店ですよ」


 魔石屋さんに着いたみたいね。


 カランカランとドアを開けると音が鳴った。なんだか懐かしいわ。


「おや、珍しい。王都に来てたのかい?」

「こんにちは、ご無沙汰してますね」


 ここが魔石屋さんかぁ。初めて来たわ。

 なんか日本にありそうな、パワーストーンショップて感じ? なのに、奥から声をかけてきたお店のおばあさんは、モロ魔女じゃん! 黒いケープに黒いとんがり帽子、ご丁寧に木の杖まで持ってるわ。


「なあなあ、ルル。童話に出てくる魔女て感じだな」


 ふふふ……。同意するわ。でももっと小さい声で言いましょうね、ほら、おばあさんが睨んでるわ。

 ユリウスはどんどんお買い物してるけど、先客がいらっしゃるのにいいのかしら? 身なりの綺麗なお兄さん……えっと、こっち見てるわね……うん、目を大きくしてガン見されてるわ。


「私の婚約者に何か?」


 あ、レオン様が私の前に出たわ。


「あ、いえ、失礼しました。とても素晴らしい魔力をお持ちだと、見惚れてしまいました」


 魔力なの? 私自身じゃなくて、私の魔力なの? なんだ? この人。


「私は王宮魔導士団の副士団長をしておりますマーリソン・モルドレッドと申します。失礼ですが、ルルーシュア嬢でいらっしゃいますか?」


 ビックリしたわ!! フリーズしたわ!! 噂の黒幕の嫡男じゃない!! しかも私を知っているの!?


「あの……私の顔に何か?」


 ああ、ビックリして私もガン見してしまったわ。


「いえ、失礼致しました。仰る通り、ティシュトリア公爵の娘でルルーシュアです」

「やはり!! あぁ、感動です!! 私は以前から是非一度あなたにお会いしてみたいと思っていたのですよ! お目にかかれて光栄です!!」


 あら? キラキラお目々だわ。どうしたのかしら?


「学園で何度かお見かけした事があって、なんて素晴らしい魔力の持ち主なんだ! と、密かに感激していたのです。ですが卒業式前に領地へ戻られたと聞いて、もうお目に掛かる事もないだろうと諦めていたのです! 今日こんな所でお目に掛かるなんて! 運命ですッ!!」


 両手を掴まれちゃったわ。なんかテンションおかしいわ。この人本当に黒幕の嫡男? なんか違うなぁ……。


「失礼、私の婚約者の手をお離し下さい」


 レオン様、婚約者発言2回目です。あれですか、牽制的な?


「ああー! 私とした事が何と畏れ多い!! 本当に失礼しました! 感動してしまってついー!! お許し下さいー!!」


 ズザーッ! と音がする様な土下座しちゃった……。この人大丈夫?


「あの、お立ち下さい」

「失礼をしましたのに、なんて寛大な! 有難うございますー!!」


 神様仏様ー! て、ノリなんですが。引いちゃうわ。


「ルル様、参りましょう」

「ユリウス、お買い物は済んだの?」


 私、全然見れてないじゃない。


「ええ、終わりましたよ」

「また今度ゆっくりおいで」


 ヒラヒラ手を振りながら、魔女のおばあさんが声かけてくれました。


「あの! あの!! ルルーシュア嬢は王都にご滞在で?」


 黒幕の嫡男さんめげずに聞いてきましたよ。言っていいのかなぁ? ユリウスとレオン様を見ると、頷いてるからいいよね?


「はい、第2王子殿下の誕生日パーティーにご招待頂いておりますので、其れ迄は祖父のお邸に滞在しております」


 めっちゃ正直に言ったけど、いいのかな? 本当に言って良かったのかしら?


「そうですか!! そうですか!! それは良かった!!」


 何がいいのかしら? さっさと失礼しましょ。

 お邸に戻ってきて、また魔道具作りをしてます。


「ビックリしたな。まさかマーリソン・モルドレッドに会うとはな」

「私も驚きました。ルル様の事をご存知だったのも驚きですね」


 私が1番ビックリしてるわよ。しかも土下座よ、土下座! リアル土下座なんて初めて見たわ。


「なんか想像してた感じとは、全然違う人物だったなぁ。なんと言うか……なぁ?」


 本当よね。生い立ちを聞いて勝手に暗い人をイメージしていたわ。でも、あの人が闇の魔石を作ったのよね。イメージ合わないなぁ。


「ルル様がお相手されている間に魔力を探ってみましたが、闇に特化されている訳ではなかったですね」


 ユリウス凄いなぁ。私、まったく分からないわ。じゃあ、ユリウスに私はどんな風に見えてるんだろ……?


「そんなにジッと見なくても、ルル様の魔力は清々しいですよ」


 まぁ! 清々しいですって。ちょっと嬉しいわ。


「清々しい程に、膨大で強力です。それはもう、力任せですね」

「ブフッ!!」


 いや、表現が違うから。また、レオン様吹きださないでよ。横でレオン様が、バリバリボリボリ……

 モモちゃんとルビちゃんまで、ボリボリ……


「レオン様……」

「ふあ?」


 いや、お口いっぱいじゃん。


「いやぁ、やっぱ煎餅は美味いわ!」


 バリバリ……ボリボリ……

 バリボリ……バリバリ……

 えぇーい! うざったい!!


「ユリウス! 私達も休憩しましょう!」

「お? ルルも食べる?」


 て、私が無限収納から出したのよ。私のお煎餅よ。分かってる?


「それで、ルル様。仰ってた映像と音声も保存する魔道具ですが」


 はいはい、なんでしょう。バリバリ……ボリボリ……。


「もし、作成出来てもどうやってモルドレッド邸に設置するのですか?」


………………。


「考えてないと……?」


 はい、全く考えていませんでした。


「わふっ……」


 モモちゃん冷めた目で見るのやめて!


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