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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第一章

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20/137

20ー闇の魔石

 馬車は今日も順調に走る。ルビを保護した森に沿った街道を過ぎて、小さな町をいくつか抜け、丸1日草原を横断する様に街道を走り、また町を抜け朝から湿地帯の真横を走る街道に差し掛かりました。

 この湿地帯を1日かけて抜けると、再び草原が続いて、王都まで後少しです。

 ルビちゃんのアイテムも完成して、額のルビーと同じルビーレッドの首輪にアイテムをつけています。お似合いね。相変わらず眠ってるけど。

 湿地帯に差し掛かった時、モモが反応しました。


「ルル。この湿地帯、リザードマンが巣を作っているわ。マップで確認できないかしら?」

「あー……少し入り込んだ蔦のところね? まだ小規模じゃないかしら?」

「そう。でもこれは……不味いわね」

「モモ、私でも分かるわ。何、この異様な空気は?」

「闇の気配がするわ。しかも自然発生ではないわね」

「学園から領地に戻る時も通ったけど、こんなじゃなかったわよ」

「これは放っておけないわ」

「分かったわ。お父様に相談ね」


 湿地帯なので、霧や靄が出る事も度々ありますが、今日のこの湿地帯の雰囲気は暗く重く霧が立ち込め明らかに異様でした。


 少し開けた処に作ってある街道を通る者達の為の休憩所で、お昼ご飯のサンドイッチとスープを食べています。既に食事を終えたお父様とユリウスがやってきました。


「ルル、分かるか!? この空気はなんだ!?」


 お父様も感じていた様です。


「ルル様、これは……闇ですか?」


 ユリウス凄いわ! 分かるのね。


「お父様、ユリウス、その様です。モモが闇の気配があると。自然発生ではないそうです。それに、この湿地帯にリザードマンが巣を作っています。私はモモと湿地帯に入って調べたいと思います」

「いや、待て! この空気を放っておく訳にはいかない! 此処を通る旅人は危険だろう。我々が何とかしよう。ルル、一人で入るな」


 お父様の差配でメンバーが決められました。

 まず、野営地に残るのがジュード兄様、ガイウス、リアンカ、ディアナ、エポナに領主隊5名。このメンバーで万が一野営地に何かあれば守ってもらいます。ルビもまだ小さいのでお留守番です。

 湿地帯に入るのが、お父様、レオン様、ユリウス、領主隊5名が1チーム。

 ラウ兄様、お母様、私、モモ、領主隊5名が1チームの2チームです。

 レオン様にマップを展開してもらい、問題の場所を確認。

 ラウ兄様率いる私達は正面街道側から、お父様率いるレオン様達男性陣は街道を少し逸れて反対側からリザードマンの巣を挟み撃ちにします。


「いいか! この異様な空気の元を確認する事と、巣を作っているリザードマンを殲滅する。小規模とはいえ、リザードマンの巣に突入するんだ。しかも変異している可能性がある。巣を目視できた時点で停止。魔道具を使って通信し確認してから同時に殲滅行動に移る。各自、気を抜かない様に。呉々も無理をするな! 怪我をするな!」


 お父様の指示がとびます。


「ルル! 全員に強化と防御を!」

「はいっ! ブースト! プロテクト!」

「行くぞ!」


 湿地帯を分け入り進みます。身体に纏わりつく湿気と異様な闇の気配が不快です。

 リザードマンの巣はマップで確認した通りの場所に見えてきました。良かった、本当にまだ小規模です。数頭のリザードマンが見えます。この規模だと10頭はいないでしょう。


「ルル、見て。リザードマンの身体の周りに黒い靄が纏わりついてるわ! ルビが黒いリザードマンて言ってた筈だわ」

「モモ、何あれ!? 気持ち悪い」

「あれは闇よ。こんな闇が自然発生する訳ないわ。何か原因がある筈よ」

「分かったわ。とにかくリザードマンを討伐しないと」

「気をつけて。闇に囚われてる分、力が増長してるかも知れないわ」

「ルル、そっちは確認できたか?」


 魔道具でお父様から通信が入りました。私も魔道具に魔力を流して答えます。


「お父様、確認しました。闇に囚われているので、力が増長しているかも知れません! 気をつけて下さい」

「おう、こっちでも確認できた。同時に突入するぞ!」

「セイバー展開!!」

「「「「「おうっ!!」」」」」


 殲滅行動開始です! セイバーの隊員達が、斬り込んで行きます。

 彼方此方で、ガキーンと言う音が響きます。ラウ兄様も長剣でリザードマンに斬りつけます!


 ――ガキーン!!


「やはり普通じゃない!! 恐ろしく硬いぞ!!」

「全員、離れて! 麻痺させるわ! うわぉぉぉーーーん!!」


 モモが魔法で麻痺させます。


「今だ!! 全員総攻撃だ!!」


 全員、ガンガン斬りつけてます。お母様とユリウスは風魔法で、斬りつけてます。


「ルル、全然切れないわ! 闇を先に浄化しなさい!」

「はい! お母様!」


 やはり闇のせいで力が増長しているのか、モモの麻痺が直ぐに破られちゃう。


「モモ! もう1度! 麻痺かけて!!」

「行くわよ! 離れて!! うわぉぉぉーーーん!!」

「そのまま離れていて下さい! ホーリークロス!!」


 途端に白く光る十字架が降りてきて、聖属性魔法で闇を消滅させて行きます!

 リザードマンに掛かっている黒い靄が薄くなったところに、ユリウスが……


「ウィンドブレス!!」


 エグいです! 風魔法の風圧でグチャグチャに押し潰していきます!


「レオンッ!!」

「おぅッ!!」


 おや、ラウ兄様とレオン様、上手く連携して斬り倒しています。レベル上げの成果かしら?


「最後だー!!」


 ――ガキーン!! ズシャッ!!


 ラウ兄様とレオン様が最後の1頭を倒して終わりです。


「うわー、グチャグチャね」

「ルル、浄化するわよ」

「はい、お母様。モモ」

「「ピュリフィケーション!」」

「わふぉぉーーーん!!」


 辺り一面に光のヴェールが降り、直ぐに地面へと消えていきます。途端に闇の暗い重苦しい空気が晴れて行きます。


「うわ、すげー……」


 レオン様、最近呟きが大きいわよ。


「ルル、モモ! 終わりか!?」

「まだよ! まだ闇の発生元が残ってるわ。ルル、そこよ分かる?」


 え? と言われても……んー、あ! アレね!


「モモ、あそこ! 蔦に隠れた中ね……」


 巣の中心にある蔦が繁っている所に行きます。


「エアースラッシュ」


 風属性魔法で蔦を切り払うと……


「モモ、何これ!? お父様!!」

「なんだ!?」

「ルル、コレが闇の元ね。やっぱり人の手が入っていた」


 え? どういう事? 人の手? 誰かが持って来たって事?


「これは……魔石ですね。しかも大きい」


 蔦を切り払った場所に、真っ黒の角ばった宝石の様な魔石が出てきました。


「ユリウス 説明してくれ」

「はい。これは……魔石に闇の効果を付与した人工の物ですね。しかし、この大きさで、この容量の魔石を一度で作れる魔導士はそういません。ルル様位でしょう」

「では、どうやって?」

「単純ですよ。何人もの魔導士が何日もかけて、魔石に付与し続けたのでしょう。なんてバカな事に力を使うのか。いや若しくは、私が知り得ない魔導士でもいるのか……?」

「これを、どうする? 我々が触っても平気な物なのか?」

「いえ、闇の力をレジストできる者でなければ、触れば闇に取り込まれます。リザードマンの様に」


 うわー、最悪だー。と、ユリウスが当然の様に言った。


「奥様、お願いします。魔石を壊さない様に浄化してしまって下さい。魔石は証拠になりますからね、残して持って行きましょう」


 さて、我が家の秘密兵器、お母様の登場です。

 何を隠そう、お母様は聖属性魔法、光属性魔法がお得意です。何より針の穴に糸を通す様な精細な魔力操作がピカイチなのよ。私が浄化を使えるのも、お母様に教わったからです。


「ユリウス、面倒な事を言わないでちょうだい。魔石の闇だけ浄化して、魔石そのものを残すなんてホント面倒な。やりますけどね」


 面倒なんだ……やりますけどね……(笑)


「ピュリフィケーション」


 お母様が詠唱した途端にキラキラした光が真っ黒だった魔石を透明に変えていきます。

 この状況を想定して、お父様は態々お母様をメンバーに入れたのね。凄いなぁー。脳筋なのに。


「モモ、もう気になる所はない?」


 最後にモモへ確認です。


「ルル、もう平気みたいよ。空気が違うわ」

「お父様、戻りましょう。もう大丈夫みたいです」


 あ……と、その前に。湿地帯で討伐したからみんなグジョグジョね。全員に行き渡る様に……


「クリーン」


 シュルルン……と、一気に皆んな綺麗になりました。


「ルル様、今のは?」


 真っ先にユリウスが聞いてきます。


「えっと、皆汚れてるしなーと思って。一人一人するより一気に皆んなすれば早いかと思ってね。テヘッ」

「グフッ、やっちまったな」


 レオン様、またこっそり突っ込まないで!


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