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133ー王都へ

「で、帰りなんだがな」


 お父様、何でしょう? その片手に持ったお肉はこれから食べるのですね? 何個目ですか?


「王都の父上の邸へ寄る事になった」


 ええー、早く領地に帰りたいー!


「ルル、顔」


 あら、レオン様。ごめんなさい。


「このまま西に向かえば王都だからな。陛下の話をしに行かなければならない」


 あー、忘れてたわ。


「それに、サクソン・モルドレッドだ」


 マーリソン様が2度の解呪魔法を掛け、解呪薬を飲ませたマーリソン様のお父上。あれからまだ目を覚ましておられません。

 お父様はこのまま目を覚まされなかったら、領地迄お連れするつもりみたいだけど。ディアナに見せるつもりなんだろうな。


「父上、お祖父様にはもう話を?」

「ラウ、ああ。兄上に魔道具を渡してあるからな。兄上に大まかな話はした。それで王都に寄れと言う事だ」


 超面倒じゃない。ま、仕方ないか。


「そうだルル、仕方ないんだ」


 あら、読まれてるわ。お父様にまで。


「では父上、セイバーが戻り次第出発ですか」

「そうだな」

「明日の夜にはセイバーが戻ります」

「では、明後日出発だ」

「分かりました」


 ……て、事で王都に向かってます。馬車ですが、来る時同様に早く進みます。街中ではこんなに早くは進めないので、今のうちに距離を稼ぐらしいです。

 どっちにしろ、面倒だわ。早く領地に帰りたいわ。ね、モモちゃん。


「わふぅ」

「ルビもなのー」

「ピ……」


 あら、この子達分かっているのね。


「ピア、レオン様の馬に乗らないの?」


 ピアがお向かいに座っているリアンカの横に大人しく座ってます。


「ピ」


 あら、片手を上げたわ。そうなの? おネムかしら?


「ピア、こっち来る? 横になっても良いわよ」

「ピピ」


 フワフワとピアがやってきました。私の膝に乗り横になって抱きついてきます。

 あら、いつものお腹に両手を置いて寝るのじゃないのね。


「ピ……ピピ……」

「どうしたの?」


 ピアをナデナデします。


「わふ、ピアはピアで、ルルとレオン様を危険な目に合わせたと思っているのよ」

「なんだ、ピアそんな事ないわ。ピアがオヴィオさんを呼んでくれたから助かったのよ。お手柄よ」 

「ピ……?」

「ピア、有難う」

「ピー」


 あら、起きて抱き着いてきたわ。ピアが少し泣きました。大きな瞳に大粒の涙を溜めて。

 ピアが責任を感じる事なんてないのよ。ピアはまだ赤ちゃんなんだから、甘えていれば良いのよ。泣かないで。

 背中を優しくトントンしていたら、ピアは寝てしまいました。本当に赤ちゃんを抱っこしている様です。


 ピーヒュルヒュル……ピーヒュルヒュル……


「ピア、まだまだ馬鹿なの」

「ルビちゃん、そんな事ないわよ」

「でも少し賢くなったの」

「そうね。少しね……」


 ルビちゃん厳しいわね。皆んな充分、お利口さんよ。



「なんだとっ! あの馬鹿が! 正に愚王がッ!!」


 すっ飛ばして、王都のお祖父様のお邸です。お父様が説明されました。その後のお祖父様の反応です。


「父上、第1王子殿下には話しておかれる方が」

「ああ、アーデス。城へ行くぞ」

「はい、父上」


 お祖父様、お伺いも立てずに直ぐに行かれました。怒り心頭て感じですね。


「ルル、あれから陛下の奇行が目に付く様になってきてしまってね。父上も早い方が良いと判断されたんだろう」

「伯父様、そうだったんですか」

「ああ、陛下だけでなく王妃様もなんだ。ディーユ殿下と宰相殿が困っておられた」

「王妃様まで……伯父上、どうなるのですか?」

「ラウ、父上が動いたからね。もう早急に譲位されるだろう。そして王太后様も表に出て来れない様に、干渉できない様になるだろうね。王太后様も表には出てこられないが、裏でディーユ殿下の邪魔をされていたらしいから。バッカス王子は真面目にされているそうだよ」

「しかし伯父上、ディーユ殿下にとって陛下は実の父親です」

「ああ、ジュードそうだね。複雑な気持ちはお有りだろうが、ディーユ殿下は割り切られると思うよ。殿下は小さな頃から少し不憫だったからね」

「伯父様、もしかして王妃様が第2王子殿下を可愛がっておられた事とか……?」

「ルル、何か知っているのかい?」

「いえ、以前ディーユ殿下とお話した時にそう感じた事があったのです」


 お城でお話した時のディーユ殿下のお言葉が……


『第2王子バッカスとの婚約話が出た時に、私が先に見つけた子なのに! と両親に言い寄った事があります。まあ、弟に甘い両親に却下されましたが。それ以来、私の細やかな反抗心で婚約者を決めずにきました』


 どんな、幼少期を送って来られたのでしょう? お祖父様の事が好きだと仰ってらした。


「それに伯父様、第1王子殿下が今迄婚約者が居られないのは異例ではないですか?」

「ルルその通りだね。お可哀想なお方でもあるんだ。小さい頃から父上にとても懐かれていて、ディーユ殿下にとって父上は親代わりだったのかも知れないな。ルルの事も大好きだった様だしね」


 伯父様、余計な一言を付けないで。


「小さい頃、ルルに会いによくティシュトリア迄来られていたよな?」

「ジュード兄様、そうなんですか?」

「ルル、お前覚えてないのか?」

「ラウ兄様、全く覚えていません」

「ルル、それはディーユ殿下がお可哀想だ」


 伯父様……だから余計な一言言わないで。


「第2王子殿下とルルの婚約の話が出た時に初めて反抗されたんだ。僕が先に見つけた子だ! てね。あの子は絶対にバッカスには渡さない! て、凄い剣幕だったね」


 知らないし……


「でも母上が、その頃にはルルはレオンとの婚約が決まっていたと」

「ラウ、よく知っているねー。そうなんだよ。偶然にね。まあ、それがなくても君達の母上は王家にルルはやらないだろう。絶対にね。陛下と王妃様も最初からおかしかった訳じゃないんだよ。君達の両親が結婚する事にとても嫉妬したそうだ。嫉妬する意味が分からないけど。それからだよ。その頃に陛下は邪神に喰われていたんだろう? お二人の王子殿下はある意味被害者だね」


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