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転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様  作者: 撫羽
第一章

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13/137

13ーキングクラブ

 さて、領地の南にあるブリスト港に来ています。国内唯一の港です。

 ラウ兄様、ジュード兄様、レオン様と、モモ、そしてラウ兄様が隊長を務めるセイバー1(ウノ)の隊員達数名と一緒です。

 ここ数日、網が破られる事が立て続けに起こっているらしい。ゴツゴツした大きい何本もの脚を見た漁師さんが何人もいる事から、キングクラブの仕業だろうという事らしいわ。

 海にも魔物はいるけど、船体にしっかり魔物避けを付けていれば、航海は出来るので貿易船も入ってくるし、漁師さん達も漁に出ている。お陰で領地は海の幸も豊富なのよ。

 あら、レオン様が側に来ましたよ。


「ルル嬢、蟹鍋と言ってもさ、鍋はできないだろ?」

「あら、どうして?」

「だってこの世界にあの前世の様な土鍋はないだろ?」


 あ、そうだわ……でも土鍋じゃなくてもいいじゃない。


「そうだったわ。でも土鍋がない位で蟹鍋を諦められないわ!」

「えぇー! そんなに!?」

「土鍋がなくても、蟹鍋はできるわ!」

「お、おう……」

「レオン、ルル。何してる? 行くぞ!」


 ラウ兄様がお呼びです。


「坊ちゃん、嬢ちゃん、今日はよく来て下さった! 最近、キングクラブに網破られちまって、漁がまともに出来なくて困ってたんだ。今日は宜しく頼む!」


 この港を仕切ってる漁師の叔父さんだそうです。


『モモ、キングクラブの気配はある?』

『あるわよ。港の直ぐ側で様子を伺っているみたいね』

『船で出る方がいいのかしら?』

『船はいらないわ。それよりも港にいる人達に離れてもらう方がいいわ』

『て、事は、キングクラブは港に入ってくるのね』

『そうよ。少しずつ移動してるわ。もう少ししたらルルのマップでも確認できるようになるわ』


「ラウ兄様! キングクラブが港に向かって移動しています。港の人達に避難してもらいましょう!」

「何!? では、キングクラブが港に入って来るのか!?」

「兄貴、避難させよう!」

「そうだな! セイバー! 避難誘導を!」

「「「「「はっ!!」」」」」


 皆、慣れてます。誘導するセイバーも非難する領民達も早い早い。魔物の脅威が常にある領地なので、普段から避難訓練をしている成果ね。


「ルル嬢、見えるのか?」

「まだよ。マップにもまだ……あ! マップに表示が出たわ!」

「お兄様! 港の直ぐそこまで来てます!!」

「よし! ルル、全員に強化と防御を! キングクラブは大型だ! 結界も頼む! 停泊している船も守ってくれ!」

「はいッ!! ブースト! プロテクト! シールド!」

「三重掛けかよ。スゲーな……」


 レオン様が、また何か言ってます。そろそろ慣れてね。


「兄貴!! キングクラブの足が見えたぞ!! 先に足切るぞ!!」

「ジュード兄様ダメー!! 足は切らないで!! 足は美味しいの!!」

「ブフッ!!」


 レオン様、笑ったわね。だって蟹の足、美味しいじゃない?


「ルル、じゃあどうするんだ?」

「氷属性魔法使える隊員はいますか?」

「ルル、俺使えるぞ!」


 ジュード兄様、氷と水属性魔法がお得意でしたね。


「俺も使える!」


 レオン様、魔法も使えるのね。


「「「俺も使えます!!」」」


 他にセイバーの隊員も数名使えるみたいです。

「では、ラウ兄様の合図で一斉に蟹の顔面の口の様なところ、目と目の間位を目掛けて矢の様に細く絞ってアイスバレットで狙って下さい! 一気に即死を狙います」

「「「「「おうっ!!」」」」」

『ルル! 来るわよ!!』


 モモちゃんのナビは助かります。


「お兄様! 来ます!!」

「おうっ!! やるぞっ!!」

「いきます! キングクラブが顔を出したら一斉にアイスバレットです!!」


 港の中、直ぐそこにキングクラブが現れました! かなり大きいです!


『ルル! キングクラブを痺れさせて動けなくするわ! その間に狙って!』


 えぇっ!? モモちゃんそんな事できるの!?


『わおぉぉーーーん!!』


 モモの一鳴きの後、キングクラブが海面から顔を出したままの格好でブルブルとして動けなくなってます!

 モモちゃん凄い!!


「今だッ!!」


 ラウ兄様の合図で氷魔法を使える皆で、キングクラブの顔面目掛けて一斉射撃です!


「「「「「アイスバレット!!」」」」」


 ――ドゴーーン!!


 顔面を一気に撃ち抜かれたキングクラブは凄い音をたてて倒れました。


「「「やったぞ!!」」」

「ウォーターボール」


私はそのままキングクラブにウォーターボールを放って、そのまま維持です。で、水球でキングクラブをマゼマゼ、クルクル。


「ルル! まだ息があるのか!?」


 ラウ兄様が聞いてきました。


「いえ、ラウ兄様。キングクラブはもう息はありませんよ」

「では何を?」


 あぁ、私がズッとマゼマゼクルクルしてるからね。


「ラウ兄様、キングクラブの殻を洗っているのです。美味しく食べたいでしょう?」


 ――…………


 あら? 場の空気がおかしくないですか?


「ルル嬢、気持ちは分かる。分かるが……ブフフ」


 またレオン様笑ってる。


「え? なんで? だって美味しく食べたいじゃない?」


 よし、そろそろいいかな? 洗い過ぎると旨味が流れ出しちゃうからね。

 じゃ、少し焼いてみようかしら?


「おじさーん!!」


 さっきの漁師のおじさんを呼びます。


「どうした! 嬢ちゃん!!」


 おじさん、ダッシュで来ましたよ。


「おじさん、少しキングクラブを焼くから焼き網と机とお皿出して!」

「嬢ちゃん! こいつを食べるってか!?」

「そうよ! 美味しいわよ!!」

「そうか! よし、準備は任しときな!」


 さて、一旦キングクラブを無限収納に収納します。そしたら部位毎に分かれてくれるから便利です。


『ルル、美味しいの?』

『モモ、お疲れ様! 有難うね。モモも食べる? 蟹は食べていいのかな?』

『私は何でも食べれるわ。食べてみたい!』

『ふふ、じゃあ一緒に食べましょ』


 足を数本出して、風魔法でスパッと足の表面の殻をカットします。

 網で焼くと、いい匂い! うー! 蟹の匂い、久しぶりだわ!


「おじさん、レモーネある?」

「おう、あるぞ!」


 レモーネを搾ります。レモーネはレモンよ。キングクラブの足が大きいから切り分けます。


「さ、お兄様、レオン様、おじさん達も皆んな食べて! 沢山あるから、食べて!」

「「「うめー!!」」」


 セイバーの隊員達が叫んでるわ。

 うん、美味しいー! モモもワフワフ言いながら美味しそうに食べてます。


「嬢ちゃん、コレは酒に合うな!」


 もうおじさんは呑む事を考えているわ。


「ルル嬢、美味いよ!」


 レオン様も満足気です。

 後はお邸に帰って、夕食の蟹鍋ね。


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