128ー龍皇登場！
「お前が前世でルルを殺したんだな!?」
「レオン様！ こんな奴死んで当然でしょ？ 少し食べ物を与えなかったらどんどん衰弱していって、アッという間だったわ。アハハハ！ さぁ！ レオン様、こっちに来て！」
歪な姿のシャーロットが、レオン様に手を出します。
「お前……許せない！」
「やだわ、レオン様は私を愛する事になってるのよ。シナリオで決まってるの！ だって私はヒロインだから！」
「自分の姿を見てから言えよ！」
そう言いながらレオン様が思いきり袈裟斬りに斬り付けました。
「ギャァー！ レオン様！ 何するのー!?」
「レオン様！」
私も間髪を入れず、双剣に聖属性魔法を纏わせて、思いっきりシャーロットだったものに斬り付けます。
「ギャアアー!!」
そしてレオン様がもう１度……
――ズザンッ！！
「レオン様！」
「グフッ！」
シャーロットだったものは、斬り付けて直ぐ退避しようとしたレオン様の身体を一瞬の内に片手で掴みました。
「ピピピュピピーー!!」
その時、ピアが突然高く浮き上がり身体が強く光りました。すると……
「何故もっと早く我を呼ばん！」
ズザッ!! と、とんでもない威圧感と一緒に一瞬でオヴィオさんが現れました。
何この登場の仕方！ 何あの台詞！ 超カッコいいー！
「オヴィオさん！ お願い！ レオン様を助けて！」
「ルル、分かっておる」
オヴィオさんが、軽くヒョイッと鋭い爪を動かすとシャーロットであったものの腕が宙を舞い、レオン様を助け出してくれました。
――ズチャッ!!
「ギャァーー！」
「レオン様！」
「ルル、大丈夫だ。オヴィオさんサンキュー」
「お主達は、馬鹿か？」
えっ？ 何でよ？ 頑張っていたわよ？
「邪神相手に人間が敵う訳がなかろう」
「邪神そのものだと思わなかったの。眷属だと思っていたのよ」
「あぁ、眷属を隠れ蓑にしておったのであろう。ピアよ、よく我を呼んだ。偉いぞ」
「ピー！」
ピアが擦り寄って行きます。ピア、もしかしてさっきからオヴィオさんを呼んでくれてたの？
「ほうほう、赤子は可愛いのぉ」
いや、オヴィオさん。今其れどころじゃないんだけど。もしもし？ 子煩悩なのね？
「ああ、もう暫し待て。創造神が回収に来よるわ」
へっ？ 創造神……？
「ルル、俺の耳がおかしいのか？ 今、創造神てオヴィオさんが言った？」
「ええ、レオン様。私にもそう聞こえたわ」
「我に早く相談しておれば、サッサと回収してやったものを」
「そうなの？」
「ああ、お前達の様な魂の者は狙われやすいのだ。だから態々我の加護を与えてやったのに。ほんに、お前達は世話のやける」
「えぇーー！ そうなの!?」
シャーロットであったものはまだ立ち上がります。
「な、な、何よ！ ドラゴンまで出てきて！」
「あー、煩いヤツだな。黙れ耳障りだ。小物が」
ピッとオヴィオさんがまた爪を動かしただけで、シャーロットだったものは固まり動けなくなってしまいました。
「「えぇーーッ！」」
オヴィオさん、強っ！ 最強!!
「オヴィオさん！ 超カッコいい!!」
私はまた、超必殺お目々キラキラお祈りポーズよ！
「グハハハ！ そうだろ、そうだろ！ 我は超カッコいいだろうが！ ルルはやはり趣味が良いのお！ 見る目があるぞ！」
「あーー、遅くなってごめんよ〜」
何処からかフラフラーと現れました。あ、このパツキンのイケショタ、見覚えがあるぞ。
そしてイケショタ神様が、パチンと指を鳴らすと景色が変わりました。以前、このイケショタに呼ばれた一面のお花畑です。
「やあ、ルル。久しぶりだねぇ」
「久しぶりじゃないわよ！ どーしてくれんのよ!!」
飛び蹴りしたいッ。このイケショタ神様にすっごく飛び蹴りしたいぃッ！
「ひゃあ〜！ そんな怒んないでよー!?」
「ルル、もしかしてこのフワフワ浮いてるイケショタが……？」
「レオン様、そうよ。創造神よ」
「お前、滅殺!!」
レオン様が剣を構えます！ そーだそーだ！ イケー！
「ええ〜！ やめてぇ〜！ 僕、これでも神だよー！」
「オヴィオさんの方がずっと頼りになるし、カッコいいわ！」
「ルル、酷い！」
「ガハハハッ！ ルルは良く分かっておるな！ 神より我か！」
「おい、どうなってるんだよ！ そいつ、前世のルルを殺したらしいぞ？」
レオン様がイケショタ神様の胸倉を掴んで詰め寄ります。
「そ、そうなんだよねぇ。地球の神が見落としていたみたいでね。前世の頃からもう既に邪神に取り込まれていたらしいんだ。で、勝手にこっちの世界に渡ってきたみたいなんだよ。本当、迷惑な話だよ。いやぁ、調べるのに苦労したよ。アハハハ……」
「やっぱお前、滅殺！」
「待って、待ってー！ 前世の君にも関係あるんだよ！」
「あー、なんか俺のバイト先に来てたってアレか？」
「そう、それで君を自分のものにしたかったらしいんだよ。君のあの事故も邪神の仕業だったんだ」
「「はぁっ!?」」
「何なんだ其れは!?」
「本当だよねぇー。地球の神はもう耄碌しちゃったのかなぁ？ 調べるのに苦労したよ。アハハハ〜」
「ギッタンギッタンにしてやろうか？」
レオン様が剣を突き立て、睨み付けます。
「やめてー！ もう、ルルといい、君といい。頼むよぉ」
「「どっちがだよ!!」」
「あーもう、サッサと回収して行くね。龍皇、有難う。助かったよ〜」
「主、遅いわ」
「ああ、すまないね。地球の神に泣きつかれちゃってさぁ。本当、自分のミス位自分で何とかして欲しいよね〜。龍皇、また何かあったら頼むよ〜」
軽っ！ やっぱ、オヴィオさん最強だわ！
「ルル、僕はこれでも神だからね」
ほぉーん。
「今後、こんなイレギュラーな事はもう二度とないから。後は二人で幸せになりなさい。あー、そうだ。もう1個だけ」
「なんだよ、まだあんのかよ？」
「ルルのとこの王様さ、あれもうダメだからね。邪神に半分魂を喰われてしまってるんだよ」
「「はぁっ!?」」
「お前さぁ……！」
レオン様がまた剣をイケショタ神に向けます。
「レオン、レオン！ 落ち着いてぇー！」
「どーすんだよ!?」
「だからさぁ、早々に僕が回収と言うか病死させるから第1王子にサッサと譲位させちゃってよ」
「軽すぎんだろ!! それいつからなんだよ？ まさか、もしかして……」
「そうなんだよぉ。ルルの両親への嫉妬と執着しすぎちゃって、それが邪神に付け入られる事になっちゃったんだよ。あの王は馬鹿だからね。まいっちゃうよぉ」
「邪神が好き勝手やってたのって、あの王のせいなのか？」
「まぁ、ね〜。呼んじゃった？ みたいな〜、つけ込まれちゃったってねッ」
ショタ神様は、あざとくウインクして見せます。空気を読んでよねー。
「「なんだってー!!」」
「なんで今迄分からなかったのよ！ 職務怠慢じゃない!?」
「ルル、また酷いよぉ！ もうそんな事はないからさ。ねッ」
「ね、じゃねーよ！ あー、俺、創造神に会わなきゃ良かった」
「レオン迄酷い！」
「二人共、そう言ってやるな。邪神が人間に紛れてしまったら見つけられんのだ」
えー、神様なのにぃ？
「ルル、口に出さなくても分かるからね」
前回も言われたから知ってるわよ、態とよ。
「ルル、ホント酷いよ？ いや、でもルル、レオン。君達には迷惑を掛けたね。加護を与えておいて良かったよぉ。しかし、君達の家系は本当に凄いね！ これからも頼むよ。じゃ、僕は回収して行くね、有難う。君達の家族も心配してるから、早く帰りなよ〜」
そう言って神はフッと手を上げると邪神と一緒に消えた。
