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126ー対決

 翌朝、張り詰めた空気が冷たく感じます。ぶっちゃけ寒いです。

 朝食後はズッと馬車です。走ってます。武装のお陰で身体は寒くはないけど、顔がね。頬が引き攣るわ。馬だともっとだろうなー。て、ピアまた口開けてるわ。懲りないわね。学習したんじゃなかったの?


「わふっ!」

「来たの!」


 魔道具で先頭のお父様、そして全員に知らせます。暫く走ると隊列が、馬車が止まりました。

 止まった馬車の外を見ると、ユリウスとマーリソン様がもう馬車を降りて前に走って行ってます。


「モモ、私達も行くわよ」

「わふっ!」


 馬車を降りて、モモやルビと前に移動します。いつの間にか両脇にレオン様とケイがいます。前後にセイバーもいます。ケイもセイバーも既に手に武器を持っています。

 ピアは何故かピッピピ言いながら私達の真上を飛んでいます。何か喋ってんのかしら?


「ケイ、油断するな。ルルから離れるな」

「殿下、分かっております。殿下こそ油断は禁物です」


 ケイがシュンッと双剣を抜きました。しまったわ! ケイにもミスリルの剣を作っておけば良かったー!


「ルルーシュア様、お気遣い有難うございます。これはレオン殿下の双剣をお借りしているので、ミスリルですよ。早く使いたくてウズウズしますね」


 ケイ、カッコいいー!

 呑気な事を考えながら私達が先頭に行くと、もうセイバー隊員達がシャーロット一行を取り囲んでいました。

 シャーロットは私達に気付きました。そしてレオン様に向かって……


「あぁ、レオン様! やはり来て下さったのですねぇ! 私達は運命なんですよぉ! レオン様ぁ! どうか私を帝国へ略奪して下さいぃ!」


 シャーロットが両手を広げています。うわっ、第一声がそれなの!? キモッ!


「ルル、その顔やめろ」

「だってレオン様、超キモイ……!」

「マジでな、キモ過ぎだろ」

「殿下、なんですかあれは? 馬鹿ですか? 殿下に声を掛けるなど!」

「ケイ、大馬鹿なんだよ」

「ううぅーーふわぅおんッ!!」


 モモが威嚇します。


「キャッ! やだぁ! 何あれ! 近寄らないでぇ! レオン様、助けて下さいぃ!」


 その時私は気付いた……

 コラッ! ちょっと待てぃ! コラコラコラッ!! 此れはスルーできないわ。ちょっとそこのピンク! 頭おかしいでしょ! なんなのよ!

 シャーロットを庇う様にいるサクソン・モルドレッドや修道女も護衛兵までボロボロなのよ! 汚ったないのよ! この寒いのに防寒してないのよ! 死んじゃうわよ!

 なんで? なんで、あんただけピカピカのピンクのドレスなのよ! フワッフワの暖かそうなピンクのコート着てるのよ! 艶々なのよ! そのピンクのリボンのツインテール、ブった切ってやろうか!

 ダメだ! こいつは本当にダメだ! 超ムカついてきたッ!!


「わふ、ルル冷静になりなさい」

「だってモモ! 何よあれ! なんで一人ピンクのドレスなんか着てんのよ! 平気なの? 他の4人の服装見て! ボロボロじゃない! よくあの格好で北から移動してきたわよ。死ぬわよ? 狂ってるわ!!」


 シャーロットが一歩前に出ました。


「ルル、来るわよ!」

「ブースト、プロテクト、シールド」


 私は静かに全員に補助魔法を掛けます。


「おぉ……!」


 ん? ケイがビックリしてる?


「フフフ、直ぐに楽にしてあげるわ。みーんな、私の下僕になりなさーいぃ!」


 シャーロットが両手を広げながら言いました。


 ――キラランキラキラ……


「お前、馬鹿か……? マジで頭クッソおかしいんじゃないか?」


 ジュード兄様、肩にロングソードを担いでキレてるわ。


「よくも王国を散々弄んでくれたな!」


 あ、剣を抜いた。ラウ兄様までキレてるわ。


「あれぇ? どうしてぇ? えぇーい! もう一回よ。跪きなさぁいぃー!」


 またシャーロットが両手を広げながら言いました。


 ――キララン……キララン……


「セイバー! 警備兵を捕縛しろ!」

「「「「はッ!」」」」


 お父様が淡々と指示します。


「ルル、モモちゃん、先に解呪するわよ!」

「はい! お母様!」

「「ディスエンチャント!」」

「ワウオオォォォーーン!」

「えっ! 何? 何してんのぉ!?」


 シャーロットは慌てるだけで、修道女と警備兵が直ぐに正気に戻りました。


「俺達、なんで?」

「やだ、私ボロボロじゃない!」


 そして直ぐにセイバーに捕縛され離れます。


「クリーンして、上着を着せてあげて!」


 余りにも寒そうなんですもの、叫んでしまったわ。ただ、サクソン・モルドレッドが……


「うっ……! うぅ! 何だこれは……!」


 頭を抱えて蹲ります。


「魅了がかなり深い様ですね」

「ユリウス、どうするの?」


 その時です、マーリソン様が前に出ました!


「アースバインド!」


 サクソン・モルドレッドにアースバインドを掛けます。


「マーリソンではないか! お前、父に何を!」


 そしてマーリソン様は、身動きの取れないサクソン・モルドレッドへ……


「……いい加減に戻ってきなさい! ディスエンチャント!」

「うぅわぁぁーー!!」


 マーリソン様に二度目の解呪魔法を掛けられたサクソン・モルドレッドは大きな叫び声をあげて気を失いました。セイバーが瞬時に抱えて戻ってきます。


「解呪薬を飲ませて! 魅了が深いのよ!」


 隊員が直ぐに無理矢理解呪薬を飲ませてくれています。


「なによ! なによ、なによ! どうして私の邪魔をするのよぉ! 私とレオン様の邪魔をしないでぇ!」


 ――キラキラキララン……


 シャーロットは悲劇のヒロインとばかりに叫んでいます。そして魅了も掛け続けていますが、誰も掛かりません。魔道具、マジ優秀!

 それにしてもこいつは……! 許せない!


「ジャッジメントレイ」

「ルル!」


 天から白く光る光線が降り、シャーロットを包み込み浄化していきます。


「ギィャアァァァー!!」


 黒い霧を身体から出し、人の物とは思えない叫び声をあげながら崩れ膝をつきました。


「ルル、眷属を浄化したの!? あなたそんな上位魔法使ったら……」

「……グホッ! まさか此処までやるなんてね。あんた加護持ちね。厄介な加護を持ってるじゃない」


 何? これは誰? 口調が違うわよ? 身体に黒い霧を纏わせながらシャーロットが立ち上がり顔を上げました。

 目が……! 白目がドス黒い赤へと変わっています。


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