125ー髪色
「お父様、過保護すぎます」
「ああ、すまん」
「しかし、ルルはよく気づいたなー」
「ジュード兄様、だって全然似てないじゃないですか」
「そうだな。ピンクだしな」
「レオン、そのピンクの髪もだな」
「お父様、まだあるんですか?」
「いや、そうではなくてだな。ピンクの髪は珍しいだろ?」
そう言えば、そうね。
「そうですね。余り見た事がありませんね」
「それも王家に相応しいからこそ、珍しいピンクなんだそうだ」
ん?
「ピンクがですか?」
「ああ、そうだ。ピンクの髪がだ。シナリオで決まっているそうだ」
は? 意味わかんないわ。
「ほらな、皆引くだろ?」
「あなた、だって頭が悪いのを通り越してますから」
「王国王家の髪色はシルバーか、若しくはシルバーの入った金が多いな」
お父様も髪はシルバーですね。
「お父様、バッカス王子殿下はアッシュが入っていたと思いますが?」
「ルル、王妃の色が出たんだろ」
ああ、成る程。王妃様はアッシュの髪だったわ。
「ご自分の髪色が出たから余計に可愛かったのだろうと言う話だ」
「髪色位で……馬鹿らしい」
「全くだ」
「ルルもレオンもそう思うのか?」
「お父様、どうしてですか?」
「いや、この国は何故か髪色や瞳の色に拘るところがあってだな。それで、お前達の様な考えの者は少数派だ。目印にする分には構わないと思うがな」
「馬鹿らしいですわ。髪色や瞳の色でその人の能力が測れる訳ではありませんもの」
「ルル、よく言った!」
「お父様?」
「ルル、父上も髪色や瞳の色、それに身分よりもその人自身の能力を重要視する人だ。だからうちの領地は全て実力主義なんだ」
「ラウ兄様、実力主義なのは知っていましたが。そうだったんですか」
「本当にこの国は馬鹿な事が多いのですよ」
「お母様」
「全くです。帝国では笑い者になります」
「レオン、その通りだわ」
ふーん、そうなのか……
「わふっ」
「モモ、どうした?」
「ラウ様、近いです。明日には接触するかと」
「そうか。いよいよだな」
「ラウ、どうした? 怖気付いたか?」
「父上、まさか! 早く終わらせたいんですよ」
「兄貴、そうだな。サッサと終わらせて、一狩りやってティシュトリアに帰ろう」
「ラウ兄様、ジュード兄様、そうですね!」
「何が起こるか分からないのよ。用心しなさい」
「母上、分かってますよ。しかし、負けません!」
「ジュード、当たり前だ! 勝つしかないだろう!」
「王国を、王国民を弄んでくれた礼をしないとな」
「あなたまで。本当に気をつけて下さい。私も出ますよ」
お母様もイケイケじゃない! そして、ユリウスが立ち上がりました。
「皆様、セイバー隊員も少しだけ念の為の確認です。まず魅了を使ってくるでしょうが、それは魔道具で防げます。攻撃を仕掛けてきたら、私達がシールドを展開します。いつもの様にルル様に、ブースト、プロテクトそれに今回はシールドも重ね掛けして頂きます。物理攻撃、魔法攻撃半減の魔道具もあります。且つ、防御とシールドも魔道具に付与してます。それでも攻撃を受けた場合は早めにポーションです。出し惜しみせず使って下さい。ディアナが大量に作りルル様が無限収納にお持ちです。相手は女性2人男性3人、たった5名ですが絶対に油断せず確実に仕留めましょう」
「俺からも。ルルとレオンは狙われている可能性がある。絶対に守るぞ。シャーロットは特に要注意だ」
「お父様、私も出ますよ!」
「ピ?」
「ピア、お前も頼りにしてるからな」
「ピー!」
レオン様、ピアといいコンビだわ。
「ルビも守るのー」
「私もよ。ルルのそばを離れないわ」
ルビ、モモちゃん! 思わずガシッと抱き付きます。
「わふん」
「ルル、大丈夫よ。これでお終いにしましょう。神も見て居られるわ」
そうなの?
「当然よ。ルルだけでなく、皆、神の愛しい子供達ですもの」
「そう、心強いわ……マーリソン様、大丈夫ですか?」
「ルルーシュア様! 私もやりますよ! ガンガン魔法を打ち込んでやります!」
あれっ? 違う方向にいっちゃったかしら?
「もう割り切れた様ですよ」
「ユリウス」
「シャーロットを捕まえる事に集中した様です」
「そうなの? マーリソン様の中で折り合いがついているのならそれで良いけど」
「捕まえないと終わりませんからね」
「そうね……本当にいい加減終わりにしたいわ」
「ルル、これが終わったら婚約披露パーティーだ」
「レオン様」
「本当はもう婚姻したい位だけどな」
「レオン様、帝国へはご連絡は?」
「ああ、してあるぞ。父上や母上と1番上の兄上が来られるそうだ」
「私ばかりティシュトリアに居てと責められました。来る気満々ですね」
「ケイ、そんな感じ? え……!?」
「なんだ?」
「お母様ッ!」
「どうしたの? ルル。急に大きな声出して」
「お母様は知ってました? て、て、帝国から……」
「ああ、来られるんでしょ? 私の両親と兄も来るそうよ」
「……!!」
「だからね、早く問題を片付けなさい、て煩いのよ。もしかして婚姻まで居座るつもりかしら?」
「…………!!!!」
「お父様! お兄様!!」
「なんだ?」
「どうした?」
「なんだなんだ?」
「知ってましたか? 帝国から……」
「ああ、来られるんだろ? 楽しみだなッ!」
もう、やだ。この家族……やだ……!肝心な事を本人に言わないなんて! 緊張するじゃない!