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123ー出発

「皆調子はどうだ!? 準備はいいか!? いいか、心の準備もしっかりしておけ! 勝利は準備された心の者が勝ち取れる! これ以上、王国を好きにはさせないぞ! 勝利をティシュトリアに持ち帰るぞ! 北に向けて出発だー!」

「「「「「おーーッ!!」」」」」


 お父様の号令で、さぁ、出発です。

 ……て、速いッ! これ大丈夫? 馬車が壊れたりしない? 私達は大丈夫だけど。馬車もお馬さんも大丈夫!?

 馬車がめっちゃ速く進みます。今迄は何だったの? て、感じです。


「ルル様、大丈夫ですよ。馬も御者も訓練されてますから。それに、ルル様がアイデアを出されたティシュトリアの馬車は特別製ですから!」


「リアンカ、そ、そうなのね」


 あら? 私また何かやらかしてたのかしら? 最近はこの手の話も聞かなくなったと思っていたのに。

 領地内はいつも通り、パッパカゆっくり走っていたのよ。なのに、領地を出た途端にスピードアップです。

 速い速い! 気持ちいいー! しかもこの速さなのに、セイバー隊員は魔物が出たらしっかり討伐しているし! まあ、考えてみれば森に討伐に出る時はもっと速く移動してるか。


 1番先頭はラウ兄様のセイバー4人。

 次にお父様とガイウス。ラウ兄様とリルが続きます。次にお母様の馬車。そしてレオン様……て、あれっ!? レオン様の横をケイが走ってるわ! いつの間に来たの!? 本当にケイは不思議だわー。

 その次に私の馬車、ユリウスとマーリソン様の乗ってる馬車。その後ろにジュード兄様とノトス。

 後半はジュード兄様のセイバー。其々の間にもセイバーが入ります。

 馬車が速く移動していようが、モモさんとルビさんは安定のお昼寝タイムです。

 ピアは上手にレオン様の前にちょこんと座ってます。本当にレオン様に懐いてるわね。でも寝る時は私のそばに来るのね。

 道中、私も馬車の中で魔道具を作ってます。状態異常を無効化するブレスレットです。

 以前は魅了だけを無効化する物だったので、今回は状態異常全てを無効化する物を作ってます。何があるか分かりませんからね。魅了だけじゃなくて毒とか呪いとか掛けられたら、たまったもんじゃないわ!

 今回ばかりは私も真剣に作ってます。魔道具作りが嫌いとか言ってらんないもの。

 魔道具作りを終わらせないと、馬に乗れないし。私も馬で走りたいのよ。

 道程も半分位に差し掛かった頃にやっと完成しました。魅了だけの時と違って、全状態異常無効化だと時間が掛かってしまったわ。数もあるしね。

 状態異常無効化のブレスレット。それに持っていない隊員達の分の通話できる魔道具と位置が分かる魔道具。

 頑張って作りましたよ。魔道具も作り終えたし、私も馬で走るかなーなんて思っていると……

 ユリウスとマーリソン様は更に作っていました。

 セイバーにはセイバー隊員のみが着ける事を許された、セイバーの頭文字をモチーフにした隊章があります。ハットピンになっているので、皆隊服の上着の襟の所につけています。

 それに着けられた小さな装飾チェーン。物理攻撃半減、魔法攻撃半減それに、防御とシールドを其々に付与した小さな4個の魔石を取付けた、ピンに付ける短い装飾チェーン。

 隊員達は剣を扱います。ブレスレットを何本も着けると邪魔になってはいけないと言う配慮から装飾チェーンになったらしい。

 私達は単純に両手にブレスレットを1本ずつ又は片手に2本重ね付けする事になった。

 それに全員マジックバッグにポーションを数本持っている。これで多少攻撃をされても命を落とす事はないだろう。即死さえしなければ……どれだけ備えても、完璧はない。

 ユリウスとマーリソン様はいつの間に作っていたのか……


「ユリウス、マーリソン様」

「ルル様」

「ルルーシュア様」

「大丈夫ですよ。ちゃんと寝てます」

「ええ、ご心配なく」

「本当ですか? 倒れたりしないで下さい。いざと言う時に動けなかったらどうするの? お願いだから無理はしないで」

「ちょっと思い付いて、ユリウス殿と勢いで作ったのですよ。それに今回はルル様もかなり作って下さいましたからね。余裕があったのですよ」


 でも二人共、目の下にクマができているもの。


「今日はこれから馬車の中で何もしないで休んで! これは私からのお願いです!」

「フフ……命令と言わないところがルル様らしいですね」


 ユリウス、お願い。


「分かりました。今日はこれから休みます」

「はい、ルルーシュア様」

「二人共、絶対よ。約束よ。もし夕食の時にもまだクマを作っていたら、無理矢理ディアナのつくった不味い薬湯を飲ませるわよ!」


 そんな事もありながら、周りの風景がかなり変わってきました。緑や樹々が少なくなってきて、空気や風も冷たく感じられる様になってきました。

 帝国との境の山脈がかなり近くに見えます。今は北上しています。もう町と言うより村しかありません。

 山に沿ってある樹林の側を走っています。私達はマジックバッグがあるから何ともないけど、普通はここを進むのは大変だわ。だって食料を補充する町がないのだから。

 それに寒い。冬の武装に加えて、ユリウスやマーリソン様が温度調節を付与してくれているから平気だけど、この寒い中を幌馬車で移動するのは大変だろう。それでもシャーロット達は移動しているの? どうやって? 平気なの?

 ふと馬車の外を見ると、レオン様の馬に乗っているピアが寒そうに顔をプルプルさせています。

 楽しそうに大きな口を開けているのは何故かしら? 窓を少し開けてみるとピアの声が聞こえてきます。


「あ゛あ゛ー、あ゛あ゛あ゛ーーー」


 えっ? ピア何してるの? 遊んでるの? レオン様を見ると馬を走らせながら爆笑してません? 隣のケイも、周りのセイバー達もすっごい笑ってるじゃない。


「あ゛、あ゛あ゛ー、ピ、あ゛ー、あ゛あ゛ーーー」


 大きな口を開けて、顔をプルプルさせながら、大声で……あれは歌ってるつもりなのかしら?


「ピアは馬鹿なのー」

「わふっ」


 そうね、ルビ。今日は私もルビの意見に賛成よ。意味が分からないわ。あの遊びを思い付くとこが、逆に凄いわ。

 あと1日程で、ユリウスが予想した遭遇地点と言うところ迄来ました。


「ルル、近いの」

「ルビ、分かるの?」

「そうね、今日はまだだけど早くて明日。明後日位かしら」

「モモ、分かったわ」


 お父様に魔道具で知らせます。ユリウス凄いわね、予想がドンピシャじゃない。


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