118ー受けて立つ!
「わふ……この世界はレオン様の言うゲームの世界と同じ名の人達がいて、同じ様な流れになっているのかも知れないけれど、確実に同じではないわ。実際に、私やルビ、ピアは出てこないそうだし。ルルやレオン様の様な転生者は数百年に一人いるかいないかと言う程度なの。今の様に、転生者が同じ世代に2人なんてあり得ない事なのよ。そんな全ての転生者を神は把握されています。でも、シャーロットの事はご存知なかったわ。加護から推測すると、邪神が悪さをして神の目を掻い潜りこの世界に連れてきたのではないかと言う事よ」
「そのシナリオを信じているから、シャーロットはレオン殿下に執着していると言う事ですか。そしてルル様を逆恨みしていると」
「わふん。ユリウスそうなるわね」
「あなた、そう言えばマリー様とリングソン様がその様な話をされていたと言ってましたわね」
「そうだ。あの時はルルが関係ある訳ないと思っていたが」
「公爵、公爵夫人、ラウ、ジュード。私のせいでルルを危険な目に合わせてしまうかも知れません。申し訳ありません」
レオン様が頭を下げられます。
「レオンが謝る事ではないだろう」
「そうですよ、殿下」
「そうだよ。頭のおかしい奴が勝手に思い込んでいるだけだろ」
「公爵、公爵夫人、ジュード有難うございます。しかし、私は……私も一緒にルルを守りたいのです。ルルを諦めたくないのです。このままそばにいる事をお許し頂けませんか?」
「レオン」
「殿下…… 」
「あの…… 」
私はおずおずと片手を少し上げた。空気を壊して申し訳ないわね。
「ルル、どうした?」
「お忘れかも知れませんが……お父様、お兄様、レオン様、私は守られるだけの令嬢ではありませんよ。少なくともレオン様より私は強いです」
「ルル、今それ言う?」
「レオン様、でも本当でしょう? お話を聞いていると、私が何かとてもか弱い令嬢の様な話の流れになってますが、違いますよ。私に向かってくるのなら受けて立ちます。当然、負けませんよ」
「ブフ、そうだったな。ルルが負ける訳ないな」
「そうですよ、ジュード兄様」
「ああ、そうだった。ルルは普通じゃないからな」
「ラウ兄様、その言い方は語弊がありますわ」
「ハハハッ! ルルの言う通りだな。受けて立とうじゃないか!」
「もう、あなたまで。やるなら負けませんよ。必ず勝ちます」
「お母様、当たり前です。何だったらオヴィオさんを呼んじゃいます!」
「ルル、ドラゴンは呼ぶな。レオン、レオンもやるだろ?」
「ラウ…… 」
「そうだな、レオンはもう弟みたいなもんだしな」
「私も最近は、私の息子は3人だったかしら? と、思う時があるわ」
「夫人、皆様有難うございます」
「まあ、公式な発表はまだだが。レオン、もう義父上、義母上でいいだろう。なあ、テレス?」
「そうですわね。では、私もこれからはレオンと呼ばせて頂きますわ」
「義父上、義母上! 有難うございます」
やっぱりね。レオン様の事もアッサリすんなり受け入れられるだろうと思ってたわ。私の家族だからね。それよりも……
「あの…… 」
盛り上がってるところ、度々すみませんね。
「ルルなんだ?」
「お父様、シャーロットが此方に来る迄待っているのは性に合わないのです。それに道中また魅了を掛けながら移動するでしょうし。それを阻止する為にも此方も打って出ませんか?」
「ルル、お前は本当に…… 」
「ラウ兄様なんですか?」
「ルルって、淡々としている様でかなり勝気だよな」
「ジュード兄様、私は普通です」
「しかし、ルル様の仰る通りですね」
「ユリウス、どう言う事だ?」
「アーデス様、手っ取り早く味方にするには魅了を使う事です。ですのでルル様の言う通り、待っていれば魅了に掛かる者がそれだけまた増えると言う事でしょう」
「せっかく解呪したのに」
「ジュード兄様、だから此方からも打って出ましょう!」
「ルル、もしかしてめっちゃ怒ってる?」
「レオン様、当たり前です! 私はレオン様を誰からも奪ってなんかいません!」
「えっ? そこ!?」
「だってレオン様が来られるまで婚約者がいるなんて知らなかったんですよ! どうやって奪うんですか!」
「えっ! 知らなかったのか? マジで!?」
「ならとにかく足取りを掴まないとな」
「ラウ様、北の修道院からティシュトリアまでの道のりを考えてみましょう。出来るだけ目立たない様に来るはずです。騒ぎが起きたら不利なのは彼方ですから」
「ユリウス、予測できるか?」
「アーデス様、やってみましょう」
「ルビ分かるの」
「「「えっ!?」」」
「ルビ分かるの。邪神の気配ならルビは分かるの」
「「「「「ええーッ!」」」」」
そう言えば前にもルビは言ってたわ。本当だったのね。
「ルビもルル好きなの」
「ルビちゃん! 私もルビちゃん好きよ!」
「だからルル守るの」
「わふっ、勿論私もね」
「ピピー!」
「ルルには凄い味方がついてるな」
「はい、お父様。やっぱりオヴィオさん呼びますか?」
呼んじゃう? 呼んじゃう? 呼びたいのよね。実はオヴィオさんに乗ってみたいのよ! 北だろうが、何処だろうが、ひとっ飛びよ!
「いや、それは辞めておけ。では、打って出るか!?」
ええー。お父様それだけ!? 軽すぎない?
「「「はいッ!」」」
「ラウ、ジュード明日1日で準備できるか?」
「はい、やりますよ」
「勿論です」
ラウ兄様、ジュード兄様頼もしい。
「お母様も行くわよ」
お母様、有難うございます。
「勿論、俺もだ!」
レオン様、項垂れていたのにもう復活したのね。
「私も参りますよ」
ユリウスがいると心強いわ。
「私も! ルルーシュア様の為なら何処までも!!」
あー、はいはい。嬉しいわ。
「ルビちゃん、どう分かるのか話を聞かせて下さい。それでどのルートで来るのか擦り合わせてみましょう」
「分かったの」
「ピ?」
「ピアは気にしなくていいのよ」
「ピ…… 」
「そう言えばルル、オヴィオさんの攻撃をピアは魔法で防いでたな?」
「レオン様、忘れてました。そんな事もありましたね。あのシールドは凄かったです」
「ピア、また危なくなったら守ってくれな」
「ピー!」
『ルル、ルビとピアは鑑定しておく方がいいかも。成長しているみたいだわ』
『モモ、そう? でもなぁ』
『どうしたの?』
『ルビやピアの力にばかり頼りたくないのよ。私達人間の事だから。モモは巻き込んでしまって悪いけど』
『ルル、何言ってるの! 私はルルの守護者よ! 当たり前じゃない!』
『モモ、有難う。それより、レオン様に念話を取得してほしい』
『ま、いいんじゃない? そのうち出来る様になるでしょ』
『モモちゃん、そう言う所はホント適当よね』
「わふっ」