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112ー黄龍

「ルルどうなってるんだ?」


 一緒に崖の上へ移動したレオン様です。私のそばで支えてくれています。

 あー、ビックリした! ビックリしたわー! 心臓がバッコバコよ! 一言言ってよね!


「実はドラゴンが念話で話してきていて、私とレオン様の魂が変わってると。それで呼ばれたんだと思うわ」

「えぇっ!? ドラゴンにかッ!?」

「ええ……ユリウス、聞こえる?」


 魔道具でユリウスに連絡を入れます。みんな絶対に心配してる。早まった事をしない様に言わなきゃ。もし攻撃するとしたら、魔法に秀でたユリウスとマーリソン様だわ。攻撃させちゃダメよ。


「ルル様! どちらに!?」


 ユリウスと魔道具で話します。


「崖の上よ。ドラゴンに呼ばれたみたい。大丈夫よ。心配いらないわ。ドラゴンと話してみる」

「ルル様! 私もそちらに行けませんか!?」

「ユリウス、無理よ」

「大丈夫なの」

「え? ルビ何て?」

「ルビ呼べるの」

「モモそうなの!?」

「みたいね。ルビ、少し待って」

「分かったの」

「ユリウス、少し待ってちょうだい。絶対に攻撃したらダメよ。皆にも言っておいて!」

「ルル様!」


 その時です。突然、目の前に黄色に輝くドラゴンが現れました。天空の王者、ドラゴンです。黄色い鱗が陽の光で金色に光って見えます。圧倒的な大きさ。私達には敵わない強大な力。ドラゴン、凄い!


「カ、カ……カッコいい!!!!」


 思わず両手を胸の前で合わせてお祈りポーズしてしまったわ! きっと今私、目がキラッキラしてるわよ。


「……ルル」


 レオン様引いてるわね。仕方ないじゃない、カッコいいんだもの!


「モモちゃん! 見て見て! 本物よ! 本物のドラゴンよ! しかも黄色よ! 黄金かしら? 凄いカッコいい!!」

「我を恐れぬか。加護を持つ人間よ」


 お腹に響く様な低い声でドラゴンが話し掛けてきました。シブイッ! 声までイケボ!


「カッコいいですッ!! 今迄で見た中で一番カッコいいですッ!!」

「そうか、一番か! グワッハッハッハ!!」


 ドラゴンさんやめて! 笑うと強風が起きる! ビュオーて! ビュオーて風が吹く!

 レオン様が庇って支えてくれます。思わず腕にしがみついちゃったじゃない。


「わううっ!!」

「……と、すまん。こんな人間は初めてだ! 愉快だ!」


 あれ? ドラゴンさん怖くないなぁ。


「ルル、ついて行けない」


 レオン様、どーして?


「ピピー!」

「もう一人呼びたいの」


 ルビちゃんマイペースね。今それ言う?


「其方はカーバンクルか。何故人間といる?」

「助けてくれたの」

「カーバンクルまで保護するか!」

「もう一人呼ぶの」

「好きにするがよい」


『好きにするがよい』ひゃー超イケボ! 好きにしていいんだって。じゃあ……


「ルビお願い」

「分かったの」


 ルビが一瞬キラッと光ると、ユリウスが現れました。


「ルル様!!」


 ユリウスが慌てて駆け寄って来ます。


「ユリウス、大丈夫よ」

「これは一体……」


 ユリウスがドラゴンさんを見てビックリしてます。


「ほう、其方も加護を持つか」


 ドラゴンさんはそんな事も分かるのね。凄いわぁ。


「……フゥ。私はユリウス・ウェールズと申します。一体何用でこの様に突然ルル様達を呼んだのですか?」

「この人間も我を恐れぬか」

「ルル様を突然勝手に瞬間移動させて、理由はなんです? と、聞いています」

「其方の周りは変わった者ばかりか?」


 ん? 私に聞いてる?


「私は普通よ」

「ガハハハ! 普通か!?」

「だから、風が起きるから!」


 ビュオー! て、飛ばされるから!


「ああ、すまん」

「ルル様を呼んだ理由は何ですか?」

「其方はルルと申すか?」

「ええ、ルルーシュアよ。ルルーシュア・ティシュトリア。この地を治める領主の娘よ。ルルでいいわ。私の婚約者のレオン様よ」

「其方も加護持ちか」

「ああ、レオン・ド・ペンドラゴンだ。先にユリウスの質問に答えないと、ユリウスがめっちゃ怒ってるぞ」

「其方も我を恐れぬか! ユリウスとやら、我がルルを呼んだのは我等の赤子を保護しておるか確認の為だ」

「確認とは?」

「もし無理矢理捕らえておる様なら、首を刎ねてやろうと思っておったが。気が失せたわ。其方達は我の攻撃を見事に防いだ上に、此奴は我を恐れるどころかカッコいいと言いよった! しかも一番だとな!」

「……ルル様」


 なによ、ユリウス。カッコいいものは仕方ないじゃない。ドラゴンさんがピアに向かいます。


「其方の母が心配しておる。卵の其方を落としてしまったと気落ちして我に頼んできよった。其方を探してほしいとな。其方の気配を辿って此処まで来たが、まさか人間に保護されておるとは」

「ピアは湖に独りぼっちで寂しがっていたわ。泣きながら私に飛びついてきたのよ。ピアを落とした事を母龍は気付いていたのなら、どうして直ぐに戻らなかったの?」


 モモちゃん怒ってますか?


「母龍が卵を落とした時は手負いで追われておったのだ。逸れドラゴンに追われて里へ逃げ戻る途中であった。本来、白の龍は我等の中でも一番早いのだ。他のドラゴンに追いつかれる筈がない。しかしあの時は逸れドラゴンに傷つけられて必死であったのであろう。なんとか里にたどり着いた。逸れドラゴンは我等で始末したがな!」

「逸れドラゴンですか」

「ああ。どこにでも馬鹿はおる。人間もそうであろう? ピア、母の元に帰るぞ」

「ピ…… 」

「ピア、お前のしたい様にすれば良いんだぞ。俺達に遠慮する事はない。言いたい事があるなら言っていいんだ」


 レオン様……


「そうよピア。思ってる事を言いなさい」

「ピ。ピピ……ピーピピピ」

「其方…… 」

「ピピー! ピピ、ピピュピ!」

「しかしだな」

「ピピー! ピッピピピー!」


 ピアが大きな目から、大粒の涙をポロポロ流して何か訴えています。


「モモ、もしかしてピアは…… 」

「ええ、行きたくないと訴えているわ。ルルとレオン様のそばを離れたくないって。毎日楽しいんだって。助けて貰ったのにまだ何も返せてない、自分が大きくなったら守護するんだって、一生懸命訴えているわ」


 やだ、ピア良い子! 泣きそうよぉ!


「ルル、もう泣いてるよ」


 レオン様が肩を抱き寄せてきました。


「ルル様…… 」


 ユリウスが手巾を貸してくれます。


「ヒグッ…… 」

「ピッ!」


 ピアが私が涙を流しているのを見て、飛びついてきました。


「ピピ、ピー」


 頭を擦りつけてきます。


「……まあ良かろう。どうせ人間の一生は短い。我等にとっては一瞬だ。眷属よ、其方名を何という?」

「モモよ。もちろん真名じゃないけどね」


 ん? モモちゃん何それ? 初めて聞いたわよ?


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