104ードワーフ
「ルルーシュアさまー! お戻りですかー!」
はい、このテンションはマーリソン様です。片手を挙げて振りながら走って来られます。後ろからユリウスもゆっくり歩いて来ます。
「マーリソン様、どうかしましたか?」
「以前話していたドワーフの職人達が来られたのです!」
「ドワーフ!!」
「ピー!」
レオン様、反応しましたね。ドワーフ見た事ない、て言ってたものね。
「そうなの? 今はどちらに?」
「ルル様、裏庭の何処に建てるか地層を見てもらってます。地下水脈も近い方が良いですからね」
「ユリウス、そうなのね。顔を出して来ようかしら?」
「俺も行く!」
「わふ」
「ルビもー」
「ピー!」
「皆で向かいましょうか?」
「ええ、ユリウスもマーリソン様も行きましょう。ディアナもね」
ゾロゾロと皆で、ドワーフの職人達がいる裏に向かいます。
「おう! ルル嬢久しぶりだなっ! ッてなんだ!?」
ドワーフの親方さんがびっくりしてます。
「おお! 本物のドワーフだ」
レオン様、感動してる?
「親方、どうしたの?」
「いや、その……噂のモモちゃんだよな? それと、その……」
「ああ、親方初めてだったわね。フェンリルのモモよ」
「わふっ」
「カーバンクルのルビ」
「ルビなのー」
「ドラゴンのピアよ」
「ピ」
「しゃ、喋った! カーバンクル……ド、ドラゴン!?」
――ドサッ……!
「「「親方!!」」」
ドワーフの親方さんが気を失って倒れてしまいました。そんなに驚かなくてもねぇ、いいじゃないよねぇ。
「いや、すまねぇ。ルル嬢は相変わらずとんでもねえな!」
「親方、私は普通よ」
「ブフッ!」
レオン様また吹き出してる。
「あ、親方、私の婚約者のレオン様。帝国の第3皇子よ」
「帝国! 皇子……!!」
「親方! 倒れないでね!」
「親方、それでどうでした?」
「ああ、ユリウスさん。裏庭の畑近くが良いんじゃないかと思うんだ。あそこならもう近くまで水路を引いてあるしな」
「そうですか。で、工事はいつから取り掛かれますか?」
「直ぐにでも……と言いたいんだがな、今は木材も鉱石も手元にないんだ」
ん? 木材?
「親方、温室なのに木材もいるの?」
「ああ、骨組やなんやにな」
「鉱石は? 何を使うの? 鉄鉱石?」
「普通の鉱石で大丈夫だぞ。ただな、ガラスにするなら珪石も欲しいとこだな」
成る程……私、無限収納に沢山持ってるわね……。
「温室てさ、木材じゃなくて……何だっけ……そう、H鉱だったかな。先にさ、柱と梁はこの型、間柱とかはこれ、桁とかはこれて感じで作っておいて組み上げてくんじゃないのか? ああ、天窓もいるな。換気口もな。組み上げた枠組にガラスを嵌め込むんじゃなかったっけ? ガラスの大きさを決めといてさ。真ん中に池作るんだから広さもそこそこいるよな」
「「「???」」」
「パームガーデンみたいな……て、あれ? もしかして俺、やらかした?」
「レオン様……もしかしなくても充分に」
「ルル、マジか…… 」
ティシュトリア領は今日も平和です。
翌日、朝食食べてます。昨日のお魚をフライにしてフィッシュバーガーになって出てきました。
「ルル、ルル! これ、フィッシュバーガー!」
レオン様、目がキラキラしてますよ。
「ええ、昨日の夕食もお魚フライだったのに、イワカム気に入ったのかしら?」
「タルタルが美味いッ!」
お父様、お兄様方はもう2つ目ですね。
「あ、そうだ! ルル、バロールが武器が出来たと言ってたぞ! 作業場に行くか?」
「ジュード兄様! 勿論です! 行きます!」
「え、え? ジュード、俺のは?」
「ああ、全員のが出来たそうだ」
「やった!」
「食事の後に行くか?」
「「行く!」」
「もう、貴方達、お口が悪いですよ! やんちゃな末っ子が一人増えた気分だわ」
フフフ、お母様御尤もです。
さてさて、ジュード兄様と従者のノトスにレオン様、モモ、ルビ、ピアと一緒にバロールの作業場に来ています。
「…………!」
「あれ? バロールどうしたの?」
もう驚く事はない筈だけど?
「ルル嬢様、その……モモちゃんに乗ってる……?」
「あら? バロール初めてだったかしら? カーバンクルのルビよ」
「ルビなのー」
「ルル嬢様、喋りましたよ?」
「ええ、ルビは喋れるのよ。モモも喋れるわよ」
「モモちゃんもですか!?」
「わふっ、喋れるわよ。」
「マジですか……!?」
「でもバロール。これはね、極秘事項よ」
「ルル嬢様! 厳守します!」
「ハハハ、バロール。剣を見せてくれるか?」
「あ、ジュード様すみません。こちらです」
作業場の奥に通されました。そこには見事なミスリル製の剣が並んでいた。
「凄い……!」
「ああ、スゲーな……!」
「バロール、見事だ!」
お父様の、大剣
お母様の、ショートソード
ラウ兄様の、ロングソードと槍
ジュード兄様の、ロングソード
私の、双剣
リルの、ロングソードと双剣
ノトスの、ロングソードと槍
そして……
レオン様の、ロングソードと双剣
「俺の双剣……!?」
「ああ、レオン。まあまあマトモに使える様になってきたからな。頼んでおいた」
「ジュード!」
「気に入って頂けましたか?」
「ああ、ああ! バロール有難う!」
レオン様、涙目だわ。
「剣に合わせて剣帯と武装も作っておきました」
「バロールて武装も作るのか?」
「はい、殿下。ただ、この後ユリウスさんに効果を追加付与してもらいますがね。それと殿下のサイズを測ってなかったので、測らせてもらえますか? 直ぐに作成しますので」
「レオン、バロールは武装作りも一流だぞ。軽くて動きやすいんだ」
「バロール、頼む」
「はい、殿下。ではこちらに」
「バロール、私からもお礼を言うわ。こんな凄い武器と武装を有難う!」
「ルル嬢様、勿体ないお言葉です。ご家族の分は出来ましたが、セイバー隊員達の分はまだもう少し掛かります。ジュード様、もう暫くお時間を下さい。」
「ああ、バロール構わない。有難う」
「試して頂いて不具合があれば直ぐに調整しますので」
「分かった。頼むな」
「ルル、全部収納してくれるか?」
「はい、ジュード兄様。」
「武装はまだユリウスにまわしますので、お待ち下さい」
「バロール、分かったわ。有難う」