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おまえもモブキャラになれ!

作者: 酉真菜
掲載日:2021/04/30

この作品は、長編の一話を試しに書いてみたものです。

要望が多ければ続編を書いてみようと思います。


酉真菜

―――――舞花は目が覚めた。まだ真っ暗な部屋の中、ベッドの上で横になっていた。


「え......」


夢、だったの?


「ん......?あれ、私......なんで...?」


舞花の頬に一筋の涙が流れた。

舞花は、ベッドに仰向けになっていた。自分の右手首を見る。そこには、黒いアザのようなものがある。


「私......悪い夢......見てたのかな?」


舞花の頭に再びあの痛みが走った。


「あーあ、私って......あーあ、私って......!」


そう言いながら彼女は、ゆっくりと上体を起こした。そして、ベッドのわきに置かれた鏡に映る自分の顔―――


「舞花!」


舞花の父、玄史は苦しむ舞花の様子に気が付き、駆け寄る。

舞花の肩をつかむと、ぎゅっと抱きしめた。


「痛いよ......お父さん......苦しい......」


舞花の中の苦しみは徐々に薄れていき、ただ玄史の力強い抱擁の感覚だけが残っていった。

舞花は力をこめて抱きしめ返す。

玄史は目からあふれようとする涙をぐっとこらえた。


「舞花......舞花......。ごめんな、父さん......」


舞花の母はすでに他界し、舞花と玄史は古い小屋で2人暮らしをしていた。

5年前、舞花と玄史は大規模な異世界召喚に巻き込まれた。

100人ぐらいは大きな広間で立っていた。

真ん中には、体が大きく、いかにも強そうな人が立っていた。

黒いローブを被った男は杖をその男に向ける。

杖の先が光ったと思うと、かすかににやりと笑ったように見えた。

ローブを被った男は大男を別の部屋に連れて行った。

すると、広間の柱の陰から、紫色のローブを被った男たちが現れた。


「……今から、測定を行う。貴様らの適正に基づき、この教会の下働いてもらう」


まずローブを被った一人が、黄色のTシャツを着た人の前に立ち、杖を向けた。

杖が光る。

その男は舌打ちをすると、杖を振り上げた。

次の瞬間、その人は血しぶきをあげて、肉片に変わり果てた。

玄史と舞花は何が起こっているのかわからず、ただ茫然とすることしかできなかった。

その時、どこからか悲鳴が上がり、広間の奥の方へ走り出す女がいた。

ローブの男が杖を向けると、すぐに肉の塊と化した。

数人の男がそのローブの男に向かっていく。

しかし、彼らも同じ運命をたどるだけだった。

幸い玄史と舞花は、少し離れた場所にいたため、まだ正気を保っていることができた。

しかし、殺された人たちの近くの人は赤い血を全身に浴びていた。

召喚された多くの人たちは、その場でおびえてうずくまっていた。

中には、気が狂ったのか奇声を上げて頭を打ち付ける人たちもいた。もちろんすぐに殺されたが……。

20~30人殺された後、舞花と玄史のところへローブの男がやってきた。

舞花と玄史は手を取り合い、ぎゅっと握り閉めた。

ああ、異世界で死んだとしても、前の世界と同じ冥土に行けるのだろうか。それならば、お母さんに会えるだろうか。舞花に杖が向けられる。玄史は舞花をじっと見つめた。

杖の明かりが消える。ああ、これで人生の終わりだ。

舞花は激しい頭痛に見舞われた。これが最期か……。


「立て」


何か聞こえた気がするが、舞花はぐっとうずくまった。


「立て、小娘!」


舞花は反射的に体が震えあがる。恐る恐る顔を上げると、ローブの男が舞花のことを見ていた。


「立てと言っていることがわからんのか!」


舞花はゆっくりと立ち上がる。玄史は手を伸ばした。


「どうか、どうか。娘にひどいことをしないでください。その分、わたしが、わたしが……」


「うるせえな、おいぼれジジイ。こいつの父親か。役立たずなら、いたぶって殺してやる」


ローブの男は玄史に杖を向けた。杖が光る。

舞花は手を合わせた。どうか、殺さないで……。もしローブの男が杖を振りあげたら、舞花はローブの男を抑え込もうと、身構えた。


「ん?……父親ってことだけあるか、立て!」


玄史は立ち上がる。舞花は身構えたまま待った。


「お前ら二人ついてこい」


玄史と舞花は顔を見合わせる。どういうことだろうか。助かるのだろうか。それとも、いたぶり殺されるのだろうか。

広間から出ると、小さな部屋に通された。


「ここで待ってろ」


そういうとローブの男は去っていった。

そこでどれくらい経っただろうか。あの後何人が殺されただろうか。下手に動くと殺されかねない。二人は、部屋の中で足が痛くなるほど立って待ち続けた。


部屋の扉が開く。さっきの紫色のローブの男が、黒いローブの男を連れてきた。

黒いローブの男は二人の目の前に立つと、杖を向ける。

舞花は少しうつむいたあと、少し見上げた。

杖の光によって、ローブに隠れた顔が少しだけ見えた。

黒いローブの先には、長い白いひげとワシのような大きな鼻の先が光に照らされていた。

次の瞬間、頭の中で亀裂の走るような痛みが舞花を襲う。

必死に声が出そうになるのをこらえた。意識が遠のく。

杖の光が消える。すると、舞花の頭痛もスーッと消えていった。


「たしかに、間違いなさそうじゃな……」


二人はこそこそと何か話し合っているようだった。数分話すと、黒いローブの男は部屋から出ていった。

玄史は思わず、舞花の肩に手を置き、引き寄せた。

紫色のローブの男が二人の方へ向く。


「ジジイ、お前は今日から教会の研究所で働いてもらう」


「研究所……?」


玄史は舞花を強く抱き寄せる。


「私はなにか研究でき……」


「うるせぇ、許可するまでしゃべるな」


紫色のローブの男は杖を向ける。玄史は口をつぐんだ。


「ジジイ、お前は暗黒魔術がかなり使えるようだ。それに、お前の娘は不死の呪いがかかっているときた」


「不死の呪い!」


舞花は思わず声を上げてしまう。

男は舞花のことを睨んだ。


「ジジイには、娘を使って、不老不死の魔術研究をやれ」


「でも私、魔術なんて何にも……」


「そんなの俺に聞くな。研究所で聞け」


ローブの男は、二人を連れて、古い小屋に連れてくる。

どうやら、ここに住むらしい。

研究所はこの小屋から歩いて30分の場所にあった。

呪いのせいか、舞花は体の痛みが徐々に強くなっていくという。

舞花は小屋に残り、夜は玄史が呪いについて調べ、昼は研究所で魔術形成に励めとのことだった。

あれから5年。玄史の研究が進むたび、舞花の頭痛は激しさを増した。

玄史は舞花にかかっている呪いの構造解明に至っていた。研究所では、それを魔術として理論を組み立てる段階に入っていた。一方、夜になると、玄史はどうにか呪いを解く方法を模索していた。

舞花の右手首や背中には少しずつ黒いあざが広がっていた。

舞花はもう小屋から外に出られなくなっていた。


玄史は舞花の髪をなでる。


「じゃあ、行ってくるな」


玄史は小屋を出て、研究所に向かった。

舞花の体は動かなくなっていくものの、舞花の意識ははっきりしていた。

日中やることがない。とても暇だ。

外では、小鳥がさえずっている。

ある日、舞花がいつものように、ベットの上で暇にしていると、玄関で呼び鈴が鳴った。


ゆっくりと体を起こす。

「はーい」と大きな声で呼び鈴に答える。

誰だろうか。こんな小屋に5年間誰も訪れなかった。

転びそうになりながらも、やっとの思いで玄関にたどり着いた。

玄関の扉の取っ手に手をかける。

もし、教会の連中だったらどうしようか。

お父さんの魔術が全然できないことに腹を立てて、殺しに来たのだったらどうしよう……。

ゆっくりと舞花は取っ手を回す。

少し開けてみた。


「すいません、お届け物です」


郵便か……。舞花はほっと胸をなでおろした。

ああ、お父さん以外声を5年も聞いていなかったせいか、郵便屋さんの声でも懐かしく感じた。


「あのー」


「すいません」


舞花は扉を全部開けた。目の前には、茶色いベレー帽をかぶった少年が立っていた。舞花と同い年に見える。


「小包が届いて……m舞花……」


舞花は顔を上げた。そこに立っていた少年に言葉を失った。


「舞花……まさか舞花がこっちにいたなんて……」


「た、高木くん?t高木くんだよね?」


そこにいた少年は、前の世界の同級生、高木正宗だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 父と娘の異世界転生という設定、娘が不老不死っぽいという設定は面白そうだと思いました。タイトルの回収も楽しみです。 [気になる点] 全体的に読みづらかったです。 地の文を主人公主観にする方が…
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