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600文字の七話 祈りだけでは

 聖女が行使する癒やしの力は、瀕死の重傷者を一瞬で治すことができるほどに強力で、その力を見た者は、神の恩寵かと錯覚する。

 聖女の力は悪しきモノを浄化し、彼女の振るう不殺の暴力は多くの民を救ってきた。


 そんな聖女は、教会において最重要人物と言っても過言ではない。

 そして、聖女の力は先天的な神の恩恵などではなく、彼女自身が幼少期より努力して得たものだ。


 そんな聖女がなぜ、俺の旅――魔王討伐の任務――に同行して、寝食を共にしているのか。

 いや、宿部屋はいつも別で、共にするのは食事だけなのだが……。

 睨まれるかもしれないが、聞いてみよう。


「聖女様はなぜ、この魔王討伐の旅に……?」


 聖女の本日の夕食はハンバーグセット。

 それに添えられているニンジンを口に運ぼうとしていたフォークがピタリと止まると、思った通りギロリと上目で睨まれる。

 怖い……。


「教皇と国王の命令よ……きっと、その方が体面的にいいからじゃない? ビジュアルよ、ビジュアル」


 食事を再開しながら、聖女はさらに言葉を続けた。

 いつもは一言、二言で会話が終わるのに、なんだか今日は口数が多い……ワインのせいか?

 

「それに、教会はね、基本的に貧乏なのよ……お布施だけで組織が……いえ、この話はいいわ」


 聖女はワインをおしとやかに飲みながら、さらに言葉を続けた。


「……祈りだけでは生活は、できないのよ」


 聖女も色々あるんだろう……でも、うん、お金って大切だもんな……。

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