600文字の三話 聖女の服装
聖女。
それは、黙っていれば文句なしの佳麗さと佇まい。
レッドゴールドのロングヘア―に青い瞳。鼻立ちは高く、口は小さく。それはもう女神を彷彿とさせる美しさ。
常に清潔な白色のレース生地のローブは、その容姿を引き立て、顔を隠しているフードをめくりあげる姿は息を呑む。
ローブの下に着ている服は教会から支給されている最高ランクの聖女服。
白を基調とした服で、アクセントに施されている紅赤の意匠は煩くなく、とてもお洒落だ。
さらに、魔法の効果で耐火、耐熱、耐風、耐寒、耐斬、耐突、耐打に優れ、見た目どおりに高性能。
その聖女服を着こなし使いこなす様は、美しく、さすが聖女様といったところ。
「なにジロジロみてんのよ。殴り埋めるわよ?」
ただし、この言動と両手に持った盾とメイス。そして、突き刺さるような眼光とこの性格さえなければ……であるが。
「あんた、その鎧、脱いで売りなさいよ。特訓よ」
「ぇ……いや、敵がきたらどうするんだ……ですか」
「その腰にぶら下げた剣だけで十分でしょ? 私は鎧なんて付けていないわ」
聖女の目が怖くて「お前の服は特別モノがいいんだよっ」とは言い返せないのが情けない。
そんなことを思っていると、聖女がスッと建物に指をさしてこちらを見てくる。
「さ、あの防具屋で防具を売りましょう」
思わず「コイツぅッ!」と口に出てしまい、一拍置いて大盾が顔面に飛んできた。