600文字の十二話 眠くなったら寝るに限る
勇者へちょっかいを出しに行ったはずの初日は、温泉で体の疲れを癒して終わった。
魔王はメーイドの転送魔法で帰城し、自室のベットで横になって考えていた。
「どうしたら……」
勇者が来ないまま平穏が続くのならそれが一番。でも、勇者が来ないなんて事はない。断言できる。
そもそもどうしてヒュマーン国は我が領地を攻め立てるのか……他の国とは外交も順調で、友好関係が気づけているというのに……。
先代がデンモーン国を統治していた時は、ヒュマーン国とは大きな戦争をしたことも過去にはあったけど、戦争の傷が癒えない今はまだ互いに戦える状態ではない。
そんな中、人族の勇者が現れ、魔王城まで私を直接倒しにやってくるようになった。
軍ではなく、青年一人を送りつけてきたヒュマーン国は私を直接叩いてどうするつもりだろうか……暗殺ではない。正面から堂々と。
私が倒れても、誰かが次の魔王に座するだけなのに。
私は争いを好まない。そもそも私は戦いの作法をしらない。戦いに関しては殆どが部下任せだ。
幸い勇者が、バカなおかげで私の所へ来ても追い返せてはいるのだけれど……。
「うーん……」
出来れば、平和の続く道を模索して行きたい。
勇者を恐れず、ヒュマーンとも仲良く出来るのなら、それが一番いい。
「うぅーん……寝よ」
やわらかいベットの寝心地には抗えない。
眠くなったら寝るに限るわ……。




