600文字の六話 アルビーナ
「わ、わたし。あまり魔法が得意じゃなくて……」
先ほど、魔物ともども馬車を吹き飛ばしたマホは手押し車の座席で俯きながら聖女に懺悔していた。
マホに破壊された手押し車は、継接ぎだらけの修繕をおこない、絶妙なバランスを保ちながら何とか街道を進んでいた。
「得意じゃないって……そんなことは……」
「確かにコントロールに問題はあったけど……それさえ覚えてしてしまえば、マホはすごい魔法使いになれる。この服の上から熱いと感じさせる熱量だったもの」
「あぅ。ごめんなさい」
「マホは何も悪くないのよ。自身を持っていい……ただ、コントロールが難しいのは、その右目が原因でしょうね」
アルビーナ。
アルビーナは人族ではあるが、その見た目は俺や聖女とは少し異なる。
髪も肌も全身が真っ白で、ほとんどのアルビーナの瞳は赤か灰色と色素が薄い。
その中でもマホにいたっては左右で目の色が違った。右目が薄ピンクになった原因はわからないが、右目は殆ど見えていないようだ。
目の不具合は魔法の質にも影響する。
先天的にしろ後天的にしろあの右目は魔法を扱うには不向きだ。
最初はコントロールが不十分な魔法を扱った女の子に対して説教をしていた聖女も、右目を見た瞬間に不本意な魔法の爆発だったに違いないと、態度を改め、謝罪していた。
腐っても聖女、人としての――。
「きっと、このお兄ちゃんが右目を治してくれるから安心して」
――まて、治療なら勇者より聖女の領分だろうが。俺の扱いっ!




