600文字の三話 パラウィーチ!
《Gun , Garuru , Garuru……》
飛び掛かってくるグンガルルを適宜対処し、なんとか攻撃を食らわずに来ている。
聖女は後ろで頬杖をつきながら欠伸をし、つまらなさそうにこちらを眺めている。
座ったままでいいからせめて補助をしてくれたら、戦況は大分違ったのに……じりじりとグンガルルごときに包囲を狭まれる中、「装備さえしっかりしていれば」と思てしまう自分は、全く成長していないのだろう。
「っく。このままじゃジリ貧だ」
勇者が活路を考えあぐねていると不意に、女の子の声が聞こえてくる。
「チニーチニーチニー……アヒッ!」
その声はか細く自信のない声に聞こえた。だが、しっかりと俺の耳に届いたとき、周囲の空気が一気に熱くなった。
燃え盛る無数の炎が空中に突如出現し、轟々と音を立て、あたりの空気を焼き尽くす。
空気がなくなった空間に空気が移動し、周囲は渦巻く炎の熱風へと変わっていった。
「あっつい! あついよ! そこのフードの子っ!」
「あわわわわ、す、すみませんー! ぱ、ぱ、パラウィーチ!」
黒フードの子が両手に抱えたクマのぬいぐるみを振り回しながら呪文を唱えると、炎が一気にグンガルルへ向かっていき、当たる直前で大爆発を起こす。
その爆発の中心にいた俺は、爆圧に押しつぶされ、丸焦げにながらも率直な感想が口からこぼれた。
「すげぇ……」
――ガフッ。




