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500文字の十二話 リスタート
ニバーン町
モンスターから守るための城壁が存在するこの町は、ハージ・マリノ村より人口も多く、商業流通もある。
綿が主な産業で、衣服類には事欠かない町、名物はエッグケーキ。
ニバーン町についた俺たちは一息を入れる事もなく、武器屋へと足を運んでいた。
聖女は、壊れた偽の聖剣を処分し俺の為に新しい武器を選んでくれるのだという。
なぜだろうか、この間から財布の紐を握られている気がする。
「コレにしましょう」
武器屋に入り、聖女は店内をぐるりと見渡すと一本の棒を手に取り、なにやら満足げな顔をする。
その表情は普段は滅多に見せない笑顔で、俺としては不安でしかない。
「頑丈な棒ですね。棒術でも始めるんですか?」
「何をいっているのよ。コレがあなたの武器よ」
「え?……いや、これ剣じゃないですよっ?」
俺が、そう言うと聖女は眉根を寄せて、鋭い眼光でこちらを見てくる。
「勇者がもつ最初の武器はね……『ただの棒』と相場が決まっているの」
「えぇ……」
「それにね、勇者が初めて手にもつ『ただの棒』という武器は、破壊付加属性が付いているから壊れることはないわ。あなたにピッタリね」
「……えぇ」
聖女はいったい何処でそのような情報を得るのだろうか。
こうして、俺の再スタートとなる最初の武器が『ただの棒』と決まった。




