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ゆ~みっくすちゃれんじ!  作者: M11
Heat-1 début!!
9/25

「くっ、抜けない……」

 さすが葛木さん。全くといっていいほど隙が無い。喰らいついてはいるんだけど、一歩及ばない。

「なかなかやるね」

そう言いながらも、きっちりブロックしてる師匠。そろそろ、バッテリーが心配になる頃。いくら23Tモーターとはいえ、パワーダウンはやってくる。 その時期がいつ来るかで、勝負の行方が変わってくる。しかし、燃費の心配をする以前に、抜きに行けない……。

「余裕がありますね?手ェ抜いてません?」

 皮肉たっぷりに聞いてみる。

「そう聞いてくるということは、だいぶ焦ってるみたいだね」

 うわ、見抜かれてる……心理作戦失敗!このまましがみ付いてるのも私らしくないし、どこかで仕掛ける?どこで?どういう風に?

 とりあえず、一周後ろについて様子を見よう。予選と走りが違うのか、いつもとどこか違うところがあるのか……?

「ん、様子見かい?時間はあまり無いよ?」

「…………」

 葛木さんが何か言っていたが、悪いけど無視。

「……本気の友美ちゃんのお出ましだな。僕はこれを待っていた」

 余裕が無くて、一杯一杯なだけなんですけどね……ってそんなこと気にしている場合じゃない!

 高速セクション、S字、ヘアピン、低速セクション……。

 ん?ちょっと違和感。まさかとは思うけど……。

『残り時間が、15秒を切ったァ!そして、いまトップ二台がコントロールラインを通過!この周回がおそらくラストラップになります!』

 もう一度、第一コーナーを様子見する。そして、違和感が確信に変わる。

 私と葛木さんと、立ち上がりのアクセルオンのポイントが違う?

 タイヤがグリップしてない?もしかして、私よりもアンダーなセット?

 ……これはもしかして、ヘアピンでチャンスが来るかも?しかし、師匠の腕前からして、フェイクという可能性も捨てがたい。

 よし、次のコーナーが短いストレートの入口。ちょっと攻め込んでみよう。

『さて、ストレート手前のコーナー……あっ、篠田選手がインを窺がっている!ノーズを葛木選手の内側に入れようとしているッ!』

「ここで来たかッ!」

 師匠がブロックに来るッ!……これは、読み通り。ここは無理せず、前車のテールにくっつくのみ。

 そして立ち上がり、いつもよりワンテンポ早くアクセルON!

『ストレートの立ち上がり、ほぼ同時だが……葛木選手が前なのは変わらず……な、なんと!篠田選手が並びかけの状態でイン側についたぁ!』

 いょっし!これで次のコーナー、ブレーキで前に出られる!

 母さんのセットで、立ち上がりは絶対にスピンしないから、今みたいなタイミングでアクセルを開ければ……いけるッ!

「おぉ!篠田選手、ブレーキ勝負で前に出るッ!葛木選手、インに入られては引かざるをえない!これで篠田選手がトップに立ちました~ッ!!」

「…………」

 師匠、反応なし。まさか、この展開を読んでいた?

 ……いやいや、さっき少し動揺してたみたいだし、この無言がちょっとブキミかも。


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