明晰夢
布団の中で目を覚ました僕は今北朝鮮軍事演習に巻き込まれているという事実を受け止められずにいた。
耳小骨が砕けた。それは耳元で起きた発砲。
反転する世界は再度僕を闇へ落とした。
自身の無意識が共鳴し、高鳴る。
再び布団の中で目を覚ました僕は今平和な世界にいる
という認識ができずにただただ立っているのが
やっとだった。心地の良い鳥のさえずりが
聞こえ、そして眠気を誘い出していた。
意識は新たなる境地へと彷徨う。
再度目覚めた僕は今密林の奥のゲリラ戦に巻き込まれているという事実を受け止められずにいた…?
いつから僕は自我を保った?覚醒した?
永遠に続く輪廻はいつ途切れ暴れた?
それを気にする事無く死に絶え…
四度ベッドの上で目を覚ました僕は今平和な世界にいるのだろうか?それだけで平和と言えるのか?
何事も無ければそれでいいのか?自我は?
自らの思考は、創造は消え果てたのか?
そしてまた「前」のように眠り…
いつしか目覚めた僕は第一次世界大戦の最中にいることを許容した。創り出されたありきたりすぎる
単調だが終焉のない地獄に踊らされる事も
人を見て思考を巡らせることも特に無く
無駄と知り、諦めたようだった…
次に目覚めるのは何処だ?いつの時代のどのような場所だ?制御不可能な精神の巡りが自身に負荷を
掛けて行く、記憶領域に手をかけていく。
整理し叩き落とす様な、慣れた手つきで
さらなる深みへ嵌っていく様に…
この世界はループしている。まるで夢を見ているように。現実世界と仮想世界の狭間に落ちし旅人を
迷い迷わせ踊り狂わせ、記憶を共鳴させる。
本当に。世界が眠って死んでいるのなら、
彼は一体何処へ向かえばいいのか。