一人の男の死
初投稿です。
未熟者ですので、至らない点があるかと思いますがどうぞ温かい目で拝見してください。ではどうぞ。
ーーーあれ?体の感覚がない。何故だろう、と思い自分の体を見てみると足や腕が変な方向に捻じ曲がっていた。
体のいたるところから出血していて腹部の出血が特に酷く、血が止まる様子も無くドバドバと流れていく。
ゴバッという効果音とともに口から吐血した。
こんな今にも死にそうな状況なのに心はいたって平常だった。血が出ている部分は熱いのに体の端から冷たくなっていくのがわかる。
ああ、これが死んでいく感覚か。案外、呆気ないものだな。走馬灯でも見るのかと思ったがそういうこともないらしい。
ああなんで俺の人生はこんな呆気ない幕引きになったんだっけ?
そう思いながら俺はここまでの経緯について思い出していた。
俺の名前は葛城響也。なんてことはない普通のサラリーマンだ。
ただ、俺が働いているのは世間一般で言うところのブラック企業というところに勤めていた。
さらにそこのブラック企業はその名に恥じないような超どきつい残業があった。
その日もいつものようにきつい残業をやり終え、電車で帰るための駅まで向かう途中に腕時計で時間を確認してみるととっくに0時を回った後だった。
今日もほとんど寝れないなと思いながら横断歩道を歩いていた。
このときの俺は日頃のブラックな会社勤めが祟ったんだろうか。
横断歩道の信号が赤なのに気づかなかった。
そしてふと横から差し込んでくる強い光にそちらを向くと顔面目前まで迫ってきていた大型トラックにと気づかなかった。
それを見た瞬間これは死んだなとどこか他人事のように俺は思っていた。
そこで俺の意識は一旦途絶えた。
体を駆け巡る激痛と段々と薄れていく意識に、強制的に今までの経緯を思い出していたことから現実に引き戻された。
いよいよもって俺は死んでしまうらしい。
もう体の感覚は完全に消え、瞼も重くなってきた。
あっちでかなり動揺してよく聞こえないが多分救急車を呼んでいるトラックの運転手を横目で見やり、俺はここまでの人生を思い浮かべた。
そしてこう思った。
あぁ、つまらない人生だったなとーーー。
俺の人生は一言で表すなら平凡だ。勉強もそこそこしかできないし、運動神経も悪くはないけど決して良いという程でもない。
今まで友達と呼べるものは数えるほどしかおらず、その全てとは会社に入る前から連絡を取っていない。
恋人もできたことがなく、もうすぐ三十路だってのに未だに童貞。結局死ぬまでにこのマグナムを使うことはなかったな。
すまない、息子よ。不甲斐ない俺を恨んでくれ。
そしてブラック企業に勤めて最後は真夜中にトラックに撥ねられて事故死って、ホントロクでもない人生を過ごしてきたな。
そろそろ本格的に意識を保つのが難しくなってきたな。
ちくしょう、こんな味気ない人生で終われるかよ。
怒りとも悲しみともとれる感情を抱いて意味のない人生への怒りを込めてこう言った。
「ちぐ•••しょうがっ••••っ!」
あぁ、やり直したいな。次こそはいい人生を送ってやる。もし神様がいるのなら、この俺の願いを叶えてほしい。
そう思いながら、俺の人生は幕を閉じた。
二話目はでき次第投稿するつもりですので気長に待ってください。なるべく早く投稿するのでよろしくお願いします。