表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

未来から来た自分

作者: すう

受験勉強をしている皆さん。または、受験勉強を乗り切った皆さん。永遠の愛を誓える人はいますか?いるのであれば、努力を忘れてはいけません。

高3の夏休みが明けた。僕は勉強ができないどうしようもない人だった。こんな僕にも、同い年の律美という彼女がいる。夏休み明けからいきなり模試があった。模試の結果はいつもひどいので毎回返却日は萎えている。しかし今回は違う緊張がある。律美は学校一勉強ができる女の子。大学はアメリカへ留学したいらしい。もし律美がアメリカへいったら、、、僕は毎日こんな事を考えている。『よし!今日から勉強頑張るぞ!』と決意して今日も嫌いな数学の授業の時間、僕は寝た。

律美はアメリカの大学に行くために、必死に勉強している。次第に口数は減っていった。律美の頑張る姿は僕には悩みの種でしかなかった。

数ヶ月後、律美は早々合格を決めてしまった。受験勉強で、地獄を見ているクラスメイトが今日はお祭り騒ぎだ。朝の朝会では、前に連れ出され、校長先生のお経も今日は1オクターブ高かった。僕も数ヶ月後には、同じように、、、と、僕は想像していた。『律美と同じ大学へ行くんだ!』気合は人一倍あった。僕は2歳から6歳までをイギリスで暮らしていたため、なぜか英語には自信があった。

年も変わり僕の受験もみんなの受験も、もうそろそろ、という時期、律美が何かの病気になったようで…。僕にもなんの病気かは教えてくれなかった。次第に欠席が多くなる律美。でも今はそれどころじゃなかった。『アメリカでの律美との生活が待っている。』不安はどこにもなかった。

ついに受験の日が来た。病気で苦しんでいる律美なんか、もう、頭の中にはない。大好きな律美…。律美を一人でアメリカへ行かせまいと必死に勉強したこのたった2ヶ月は律美の顔を見ていない。ただ理想を追う僕の性格。

受験は終わり数週間すれば合格発表だ。心臓は破裂しかけていた…かもしれない。自分のベストは尽くした。あとは待つだけ。なのにこの辛さはなんなんだ。さらに悪いことに、律美は病気がひどくなり、入院することになった。この合格発表までの数週間は病院が自分の家になっていた。

合格発表。この4文字は鬼畜でしかなかった。僕の名前はどこにもない。僕は1時間探した。この1時間は無駄でしかなかった。雨が降りしきる帰り道。僕は後悔し尽くせなかった。今思えば2ヶ月なんか…。なんであの夏休みに必死に勉強しなかったのか。この事を律美に伝えたのは次の日だった。律美は薄々気付いていたようだが、笑顔で待っていてくれた。僕が不合格だった事を話しても笑顔は崩れなかった。今日気まずいので家に帰って寝た。次の日、起きて何もすることがなかったのでまた病院に向かった。こうやって顔を合わせて話せるのも数ヶ月しかない。僕は残りの数ヶ月を楽しく過ごしたいと思って笑顔で病室に入った。病室にいるみんなが真顔でこちらを見つめていた。ベットには律美がいない。律美の親と医者が数人いた。『律美はどこにいますか。』帰ってきた答えは、ため息と一言。『自殺。』僕はどのように自殺したのか聞きたかったがとてもそんな空気ではない。しかし、なぜ自殺したのかという理由ははっきりわかる。こんなに辛いとは思っていなかった。一人で新しい世界へいった律美を追いかけるのは簡単だ。しかし、僕はまたこの世界で一歩踏み出すことにした。

数週間か1ヶ月が経つくらい。社会人として活躍したいと思って。就職活動をした。髭を生やし、顔が痩せた僕は、何社も回った。しかし誰も僕を認めてくれないようだ。最後の一社も落ち、僕は帰ることにした。帰りの電車。頭痛がひどく、立っていられなかった。すると、大きな音がしてつり革をしっかり持っていたはずだったが、僕、いや、みんなが宙を舞っている姿が見えた。気付いたら周りは暗く、床がどこにあるかわからなかった。


いつの間にか、僕は夏の暑い机の上べ数学の授業を受けていた。眠たい。寝たい。『夢をみていたのか。』僕は安心した。律美も元気そうだ。でも、僕は見た夢が現実になったら、の事を考えてしまって。いつもの僕ではない気がした。夢ははっきり覚えていた。けれども、就職活動が終わってからのことは全く思い出せない。僕は、勉強が無性にしたくなってきた。本能のように僕は教科書をにらみつけ、問題をひたすら解きまくっていたらしい。律美は夢と同じ時期に早々合格して、クラスはお祭り騒ぎ。夢が本当になっていく。同じ時期に律美は病気になった。しかし、僕の学力は夢の通りではない。確かに力はついている。勉強ができなくてどうしようもないあの時が嘘みたいだ。そして受験。僕は合格した。律美の病気もほとんど治り、退院した。

二人はアメリカへ行くまでの間、同居することにした。毎日が最高だった。今日も朝起きて新聞を開く。ある記事が僕には引っかかる。電車事故で、278人が負傷し、そのうちの23人は亡くなってしまったらしい。夜の仕事終わりの人が多く、電車の先頭車両はつぶれ、痛々しい写真の下に亡くなった方の名前が書いてある。不思議だった。僕の名前がある。昨日の夜は律美と、テレビを見ていて、一切外出はしていないはずだ。同姓同名だと疑ったが、その横にある顔写真はどう見ても僕だ。もしかしたら…。隣にいた律美が新聞を見て驚く。僕が見ていた夢は、夢ではなくて…。

だとしたら今いる僕は誰だ。もしあの夢が現実にあった話なら、僕はここにはいないはずだ。じゃあ僕は1年前に死んだ僕。僕は気づいてしまった。昔おじいちゃんが言っていた。『人は知らないで良いことがある。人は自分が死んでしまったことに気付かないものじゃ。でもふとしたきっかけで気づくことはある。その時に初めて本当の死がくるのじゃよ。』自分の体が軽って行くのがわかった。『これが”死”かぁ』律美は泣き叫んで夜はねむれなかった。


よくわからないあの日から1年。私は大学2年生になった。あの男がいなくなってから、1年。今でもあの男が忘れなくて…心の中で片思いしている私は、顔に見覚えがある1年の男の子に恋をしてしまった。1年も彼氏がいない私は勇気を出して、食事に誘った。その男の子は1年前に消えてしまったあの男だった。

最後までありがとうございました。特に私は受験生に言いたいことがあります。『今いる自分は未来から来た自分だ』自分は一度受験に失敗して後悔して、また受験勉強をやり直そうとして過去に戻ってきたのです。同じミスは繰り返してはダメです。しっかり勉強して2度目の受験は成功させましょう! という気持ちで頑張ってください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ