困惑…亜耶
本日二話目です。
前話からお読みください(^-^)/
三人が出て行った後に私は、カーテンを開けた。
保健室の入口から、何らかの気配を感じて振り返れば、遥さんが複雑な顔をして立っていた。
「お疲れさま、遥さん。仕事は、終わらせてきたんだよね」
ニッコリと口許の角を上げて言えば、怯えたような顔をし。
「えっとですね。伯父に、今日は帰れと命令されまして、迎えに来たのですが……」
タジタジになってる遥さん。
そんな言葉が、信じら得ずに睨めつければ。
「"亜耶ちゃんのフォローしろ"と言われたので、今日は、ゆっくり亜耶と話ができるようにしてくれたわけですよ」
理事長先生の口調を真似て言う。
未だ、半分信じられないが許すことにし。
「うん。じゃあ、帰ろう」
そう口から言葉が出ていて、気付けば遥さんが、私の鞄を手にしていた。
そして、空いてる手で私の手を握ってくる。
「遥くん。気を付けて帰りなさいよ」
養護教諭の"遥くん"呼びが気になり、握っている手を強くしてしまった。
遥さんが、それに気付いたのか優しく握り返してきて。
「はい。あ、ありがとうございました。伯父にも言っておいてください」
遥さんが返してる言葉を聞いて、理事長先生の関係者なんだと、ホッとして。
「ありがとうございました」
お礼を陳べたのだけど…。
「ううん。そんなの気にしなくてもいいよ。何かに悩んでるなら、何時でも相談に乗るから何時でも来ていいんだよ」
笑顔で、そう返されて、困ってしまった。
私が、何で悩んでるなんて思われてるの?
今のところ、悩みらしい悩みなんて一つもないのに、何でそんなことを言われなきゃいけないの?
困惑してる私を遥さんは、意図も簡単に連れ出してくれてた。
困惑状態を抜け出したときには、家のソファーに座ってて、横には心配そうに私を見つめている遥さんが居て…。
「…遥…さん」
そう声をかけると。
「やっと戻ってきたか…。取り合えず、飯にしようか。着替えておいで」
ホッとした顔を見せ、優しい口調で頭を撫でてきた。
「私……」
オロオロしだす私に。
「話は、飯を食べてからゆっくり聞いてやるから、な」
遥さんに促されて、ゆっくりと立ち上がると自室に向かった。




