朝は辛いです…亜耶
翌日の朝。
ここ最近慣れた時間に目が覚めた。
「ファアアアーア」
大きな欠伸を一つして、身支度を整える。
本当は、昨日の今日で学校には行きたくない。どんな顔して校内を歩けばいいのかわからない。
だけど、それをすると辞めていった三人に申し訳なくて、辛いかもしれないけど、行くしかないんだよね。
何言われても、毅然とした態度で望めばいいんだと自分に言い聞かせながら、朝食&お弁当を作り始めた。
少ししてから、後ろから抱きすくめられビクと肩が揺れる。
「亜耶、おはよう」
如何にも今起きましたって、掠れた声で挨拶してくる遥さん。
「ん、おはよう、ファアアアーア」
私も挨拶を返したが、欠伸も一緒に出ちゃって、慌てて手で口を覆い隠す。
「やっぱり、眠たいか。今日ぐらい手をぬいもよかったんだぞ」
遥さんが、クスクスと笑いながら言う。
結局、昨日寝たの日付変わってからだったし……。眠くないっていったら嘘になる。
でも、今日は、どうしても作りたかった。
「だって、学食で食べるの嫌だったんだもん。見世物のパンダみたいになりそうで……」
それに、誹謗、中傷もありそうで、足が向きそうにない。
お昼を我慢するよりも、寝不足でも作った方がいいと思ったし、梨花ちゃんたちとのおかずの交換も楽しみの一つだったりするんだよね。
「そうだな。…でここで委員長にお願いがあるんだが」
と、突然口調が変わった遥さんを横目で見る。
「なんでしょう?」
私も、それに併せた口調で返すと。
「体育祭のメンバーの穴埋めを決めてもらいたいんだが」
ほぇ。
遥さんの言葉に目が点になった。
今、言うこと?って、でも私言われなかったら、気付いてなかったかも。龍哉くんにも相談しないと……。
「それは、今日中で宜しいでしょうか、高橋先生」
って、聞き返すと。
「うん。なるべく早目にお願いします」
遥さんが、ニコニコと笑いながら言う。
まだ、遥さんの腕の拘束は外れていない。
けど、チラリと見えた時計の針が、朝食を食べないと間に合わない時間になっていた。
これは、遥さんにお願いしないと。
「遥さん。お願いがあります」
「亜耶からのお願いって、珍しいなぁ。いいよ、言ってみな」
「時間がないので、おかずをお皿に盛ってもらってもいいですか?私は、お弁当の方を仕上げますから」
私が言えば、遥さんも時計に目をやって。
「任せて」
そう言うと、てきぱきとお皿に盛り付けていく遥さん。
それを見ながら、お弁当の仕上げに入った。




