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源氏計画成功?…遥

一時間目の授業が終わり、職員室に戻る途中だった。

「高橋先生。今日、時間有りますか?」

突然、俺の腕に絡み付く女教師。

誰だよコイツ。俺に触っていいのは、亜耶だけなんだ。

こんな媚び売るような女は、俺のタイプじゃない。

さっさと放れてくれ。

「亜耶ちゃん。見ちゃダメ!」

って声が聞こえた。

今、亜耶って言ったか・・・。

俺は、声のする方へ目をやると亜耶と同じクラスの河合が立っていた。

河合は、亜耶の目に手をやっているが、少し遅く亜耶と目があった。

くそー。なんで初日からこうも見せたくないものを見せてしまうんだよ。

俺は、自分で後悔しながらもどう言い訳しようかと考えながら、腕に絡む女教諭の腕をほどき、亜耶の傍による。

「亜耶ちゃん、行こう」

河合が、亜耶の腕を掴み歩き出そうとした。

「亜耶。ちょっと待って」

俺は、亜耶の腕を掴み引き留めた。

亜耶の悲しそうな顔を見れば、抱き締めたくなる。腕の中に閉じ込めて、思う存分泣かしてやりたいのだが、ここは学校でそれが出来ないのが歯がゆい。

「高橋先生?」

不思議そうな声が俺の背後から聞こえてくる。

なんだよ。今、お前の相手してらんねえんだよ。

大事な奥さんが泣きそうな顔してるんだ。お前は、さっさと職員室に戻れよ。

俺の苛立ちが伝わったのか。

「龍哉くん。ごめん、先に行っててくれる」

亜耶が、河合にそう言う。

「わかった」

河合は、亜耶の言葉にそう答えて腕を放すと職員室に向かって行った。

俺は、亜耶を腕の中に納めていた。

あー、もう可愛い奴。嫉妬して、俺に涙見せないように我慢するなんて、いじらしいじゃんか。

「ちょ・・・、高橋先生。どういう事ですか?一人の生徒を名前呼びとは・・・抱き合うのも可笑しいですよ」

そいつは、甲高い声で聞いてきた。

はぁ?一人の生徒?何言ってるんだ。亜耶は、俺の大切な奥さんだぞ。

「だって、亜耶は、俺の自慢の奥さんだ。生徒の中でも一部知ってる奴等も居るし、無理して隠す必要はない。まぁ、ばれても俺的には、支障がない。困るのは、理事長である伯父だし・・・。この学校辞めても、働く場所は確保できてるし、な亜耶。元々は、普通に会社に勤めてる俺だったから、亜耶との結婚も直ぐできた。のに、急に伯父に頼まれたから、仕方なく居るだけ。だから、必要以上に近付くのやめてくださいね」

笑顔を付けて、一気に捲し立てた。

俺は、睨み付けるように彼女を見た。

「えっ・・・ちょ・・・それって、問題が。第一、鞠山さんの親だって・・・」

何?親?

「亜耶の親?了承済みだし。言い出したのは、鞠山財閥の元会長直々の言葉だった。それに、俺達九年前から、婚約してたから、今更だし」

そう、九年経つんだよなぁ。会長から許しをもらってから。

「へっ・・・」

変な声を出す奴だな。

「別に他の先生方に行っても構いませんよ。あぁ、生徒にも。亜耶は、優秀な生徒には、変わらないし。俺自体何も痛くない」

亜耶をムギュッて抱き締めながら、堂々と告げる。

「だけど、鞠山さんは、どう思ってるの?」

亜耶に振るなんて・・・。声も目付きも鋭く睨み付けるような視線で問う女教諭。

この女、亜耶が嫌がってると思ってるのか?それは、有り得ないんだ。亜耶の気持ちは、確認済みなんだから。

「どちらにしても、私は政略結婚せざる終えなかったのに、遥さんが一目惚れしてくれた事、セレブの一員だった事から、婚約と言う形が成り立ってたんだと思います。けど、私自身は、遥さんを慕っています。ずっと、傍に居て支えてくれたのが、彼ですから」

亜耶の堂々とした口振りに、俺は正直驚いた。亜耶が、そこまで想ってくれてた事に嬉しさが増す。

少しの間、離れてたかいがあったのかもしれない。

出逢ってから、ずっと傍で亜耶の成長を見てきたんだ。時には、疎まれたり俺から離れようとしたりしたけど、それが、報われたんだと思った。

こんないい女に成長するとは、誰も予想つかないだろうな。あの人以外は。

「そんな事許される筈・・・」

「有るんだよ」

女教諭の言葉を遮るように声が聞こえた。

その方を見れば、伯父が立っていた。

「伯父さん」

「理事長!」

俺とアイツの声が重なる。

「亜耶ちゃん。結婚おめでとう」

伯父が、笑顔で俺の腕に大人しく抱き締められてる亜耶に声をかける。

「あ、ありがとうございます」

亜耶が、恥ずかしそうにでも嬉しそうな顔をして言う。

顔が、真っ赤だ。

うおー。メチャ可愛いだけど。

腕の中に居る亜耶に悶えてると。

「次の授業、全校自習としておいたから、奈津先生も一度職員室に戻って頂きたい」

伯父が、そう言葉を掛けた。

奈津先生って言うのか・・・。まぁ、片隅にでも置いておけばいいか・・・。

「遥も、亜耶ちゃんも行くよ」

伯父に促されて、俺は抱き締めていた手を片方だけ外し、もう片方の手を背中に添えて職員室に並んで向かった。

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