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見たくないもの…亜耶

一時間目が終わって、龍哉くんと職員室に向かった。

「何の用だろうね?」

私が言うと。

「多分だけど、体育祭と文化祭の事じゃないか?」

隣を歩いてる龍哉くんが言う。

時期的には、そうなんだと思うけど…。

「高橋先生。今日、時間ありますか?」

って、何処からとなく声が聞こえてきて、そっちを向くと男子生徒に人気のある奈津先生が、遥さんの腕に絡み付いている姿が…。

あっ…。

「亜耶ちゃん。見ちゃダメ!」

龍哉くんが、慌てて私の目を隠すが、しっかりと見てしまった。

その声に遥さんが、私の方を向いた。目が合う。

気まずいな…。

本当に見たくないもの見ちゃったし…。

「亜耶ちゃん。行こう」

龍哉くんが、手を引いてくれる。

「亜耶。ちょっと待って」

遥さんが、私の腕を掴む。

「高橋先生?」

奈津先生が、怪訝な顔をして私たちを見る。

「龍哉くん、ごめん。先に行っててくれる?」

私の言葉に龍哉くんは、私の腕から手を放すと。

「わかった」

そう言って、職員室に向かった。

気付けば、遥さんに抱き締められていた。

「ちょっと、高橋先生。どういう事ですか?一人の生徒を名前呼びとは・・・。抱き合うのも可笑しいですよ」

奈津先生が、甲高い声で言う。

「だって、亜耶は俺の自慢の奥さんだ。生徒の中でも一部知ってる奴等も居るし。無理して隠す必要ない。まぁ、バレても俺的には、支障がない。困るのは、理事長である伯父だし…。この学校辞めても働く場所は確保できてるしな、亜耶。元々は、普通に会社に勤めてる俺だったから、亜耶との結婚も直ぐ出来た。急に伯父に頼まれたから、仕方なく居るだけ。だから、必要以上に近付くの止めてくださいね」

遥さんは、私を抱き締めながらにこやかに言う。

私の前では絶対に出さない低い声音で。

今の遥さん、目が笑ってない。怖い。

これが、由華さんやお兄ちゃんが言ってる遥さんなのかな?

「えっ…、ちょ…それって問題が…。第一、鞠山さんの親だって…」

戸惑い出す、奈津先生。

「亜耶の親?了承済みだし。言い出したのは、鞠山財閥の元会長直々のお達しだった。それに俺たち、九年前から婚約してたから、今さらだ」

遥さんが言う。

きゅ…九年前って…そんな前からだったの…。

「へっ…」

奈津先生の変な声。

「別に他の先生方に言っても構いませんよ。あぁ、生徒にも。亜耶は、優秀な生徒なのは変わらないし、俺自体、何も痛くない」

遥さんの動じない声。

「だけど、鞠山さんはどう思ってるの?」

私に話を振るんですか?

「どちらにしても、私は政略結婚せざる終えなかったのに、遥さんが一目惚れ(?)してくれた事とセレブの一員だったことから婚約と言う形が成り立ってたんだっと思います。けど、私自身は、遥さんを慕っています。ずっと傍に居て、支えてくれてたのが彼ですから…」

私は、自然とそう答えていた。

遥さんの顔を見れば、嬉しそうな顔をしている。

その顔、好きだな…。

「そんなこと許されるはず…」

「あるんだよ」

奈津先生の言葉を遮るように理事長先生の声が重なる。

「伯父さん」

「理事長!」

遥さんと奈津先生が、同時に叫ぶ。

「亜耶ちゃん。結婚おめでとう。遥の事宜しく頼むな」

理事長先生が言う。

「あ、ありがとうございます」

私がお礼を言うと、目を細めてにっこりと笑う。

「次の授業、全校自習としておいたから、奈津先生も一度職員室に戻っていただきたい」

「あっはい」

奈津先生が、そう返事をすると職員室に戻って行く。

「遥も亜耶ちゃんも行くよ」

理事長先生に促されて、職員室に行く事になった。


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