結果…雅斗
「突然で申し訳ないが、簡単な自己紹介だけする。俺は、鞠山雅斗。ここに居る亜耶の兄で、遥の親友だ。そして、鞠山財閥次期社長でもある」
淡々と言葉を吐き出す。
「ここから本題だ。今回の噂を広めた奴、出て来い!」
俺は語尾を強めた。
俺は、そいつらに責任をとらそうと思ったのだ。
中々出てこない。
まぁ、素直に出てくるわけ無いか。
「1Eの中に居るんだろ。早く出て来い!」
思わず、感情的になってしまった。
落ち着け、俺。
すると、三人の男女が出てきた。
「お前ら、即刻自主退学しろ!そして、この学校に一切関わるな」
俺の言葉に不満げな顔をする三人。
「お前らのせいで、この学校がなくなるかもしれないんだぞ!」
脅しではない、本当の事だ。
受け入れられないのか、まだ不満顔だ。
致し方ないか。
「お前らが、情報を漏らしたせいで、この学校に通う上流企業のご子息・ご令嬢の親たちが、こぞってこの学校を辞めさせようとしてるんだ。この意味がわかるか?」
生徒の4分の1が、上流と言われるご子息・ご令嬢だ。
その4分の1が抜ければ、有意義な学校生活なんて送れる筈もない。
「それが、どうかしたんですか?」
危機を感じない三人。
どうしたら伝わるんだ?
「この年から三年間の卒業生の就職率が低下するってことだ。秘密裏の話を他社に話してしまう恐れが伴うような学校から、わざわざ採用するわけないだろ」
情報漏洩するような輩が居る学校の生徒を何処もとらないだろう。
今なら、まだ間に合うんだ。
「俺たち、そんなの知りませんよ」
しれっとして言う。
何が、知りませんよだ。
「そっか。じゃあ、お前らがここの生徒の生活をみるんだな。お前ら自身も職に就くこともできないのにどうやって、この全校生徒の生活をみるんだ?親の脛をかじるのか?親なんて、何時いなくなるかわからないんだよ!親を安心させるのではなく、心配させたままにするのかよ!それ、違うだろ。それにだ、お前らがした行為によって、一つの企業がなくなる可能性も社会に出たらあるんだ。自分達は、そんなつもり無かっただろうが、社会出れば、大なり小なりあるんだ。今ならまだ間に合う。お前ら三人が、責任をとって自主退学をすれば、他の生徒達には、害は最小限に押さえることができるんだ」
俺は、一気に言った。
俺や遥かが居ることで、ある程度納まるだろう、が一番的面なのが、亜耶の存在だ。
亜耶が、この学校を親たちに"辞めない"って言えばさらに落ち着く筈だ。
「私……、退学…します。これ以上、迷惑かけられません!」
女子生徒が、自分がおかした過ちを受け入れた。
「別に辞める必要ないじゃん。こいつらが、禁断の恋(?)してたからって、そこまで大事になるわけないだろ」
女生徒の横に居た、少しやんちゃそうな奴がそう口にした。
こいつ、事の重大さにまだ気付いてないのか?
「ほう、なら言うが。お前らが責任もとらず残る事で、4分の1の生徒が居なくなり、充実している整備もなくなる。就職も出来ない。後に残るのは、ホームレスにでもなるのか?あの時、ああしてればよかったって、後悔するだけの毎日を送るのかよ」
俺は、そう言い返した。
「何故、俺がここに来たのかわかるか?妹や親友のためだけに来たわけではないんだ。卒業生の代表として、来てるんだよ!自分が学んだ学校が、突如廃校になるのだけは、避けたいんだよ。お前ら二人が決断したことで、この学校の存続まで変わるんだよ」
場内が、静かになる。
自分が、三年間通ってきた学校を無くしたくないんだ。
会場をゆっくりと見渡し。
「こいつらが出した決断がどちらにしても、恨むんじゃないぞ」
俺は、それしか言えなかった。
三人の退学と他の生徒の就職先の低下、どっちがいいか何て誰にでもわかる。
「ついでに言っておくが、これに関しての一番の犠牲者は、湯川透だからな」
奴の婚約者は、この学校の理事の娘だからな。
「そうかもしれませんが、俺はアイツと別れるつもりありませんから!!」
と、力強い声が聞こえてきた。
それを聞いて、どちらにしても彼女を手放す事はないんだと安心した。
「ソロソロ決めてもらおうか?ご子息・ご令嬢の親たちが着く頃だ」
外が、バタついてきてる。
タイムリミットだ。
「俺は…辞めます」
大人しくしていた男子生徒が口にした。
「ああ。俺も辞めるは、こんな学校」
もう一人も、悪態をついてそう告げた。
だが、その声は震えていた。
目標があって入ったんだろうが、自業自得としか俺は言えない。
三人は、先生に連れられて出ていく。
入れ替わるように親たちが雪崩れ込んできた。
そして自分の子供を見つけると、連れ出そうとしてる。
騒然とする場内に。
「待ってください!事は、全て終わりました。言いふらした者達は、本日付で辞めます。これ以上、大事にしないでください!」
俺は、そう言葉をかけた。
一斉にこちらに目線が向けられた。
そして、聞こえてきた声は。
『王子が居る』
『ナイトに姫までもいるぞ』
との声だった。
大袈裟すぎましたかねぇ。
まぁ、ストーリー上致し方ないと思ってください。




