緊急招集…亜耶
急遽、全校生徒が体育館に集められた。
クラス毎に整列していたのだが。
「亜耶」
と声をかけられ、その方を向けば遥さんが居て、手招きしていた。
そっちに足を向ける。
「ゴメンな、亜耶。迷惑かけて。一応、噂の真相を話すから、それから後の事をどうするかきめるから…。後、雅斗とお義父さんには、伝えてあるから」
遥さんが、声を潜めて言う。
そっか…。
全部話すことにしたんだね。
その後の判断を全校生徒に任せようとしてるのかな?
それとも違う目的があるの?
「そんな不安そうな顔をするな。俺の大事な姫の不安は、全部取り除いてやる」
遥さんが、少し屈みながら私の目線に合わせて笑みを見せる。
あっ、この笑顔好き。
"俺に任せておけ"って、自信のある時の顔だ。
何時もこの笑顔に助けられてきたんだよ。この笑顔が、私を安心させてくれる。
「やっと笑ったな。亜耶は、笑ってないとダメだよ。悲しい顔は、似合わない。何かあったら、俺に全て話して。全部、俺が引き受けるから」
そう言って、抱き締めてくる遥さん。
だけど、遥さん一人の責任にしたくない。
もとはといえば、うちの事情に巻き込んだのだから…。
私は、どうしたらいいの?
どうしたら、遥さんを守れる?
考えなきゃ…。
全校生徒が体育館に集まり、理事長先生が壇上に上がった。
そして。
『急遽集まってもらったのは、噂について、高橋先生が自ら話をしたいとの事だ。高橋先生』
マイクを通して、理事長先生が遥さんを呼ぶ。
「ん、じゃあ、行くな。亜耶は此処に居て」
遥さんが、私の頭にポンって手をやって舞台に向かっていった。
その背中を私は見つめた。
自信ありげな、その背中を……。




