バレタ…遥
翌日。
何時もの様に玄関先で、亜耶を抱き締めていた。
今日一日の充電をするために。
あ~、癒される。
「じゃあ、先に行くけど、気を付けて来るんだぞ」
過保護だとは思うが、心配でなら無い。
「うん」
亜耶の笑顔を見て、頭を軽くポンと叩いてから、玄関を出た。
職員室に入り、今日の連絡事項を聞く。
これと言って、変わった連絡事項はないな。
「高橋先生。すみませんが、ホールルームお願いできますか?俺、これから研修なんで…」
宮原先生が、鞄を手にして言う。
「わかりました」
「では、お願いしますね」
そう言って、宮原先生は職員室を出て行く。
さーて、俺は教室に行きますか。
俺は、職員室を出た。
亜耶、ちゃんと着いてるよな。
何て、心配しながら…。
教室に付けば、やたらと騒がしい。
今日は、一段と煩くないか?
俺は、そう思いながら、教室の入り口を潜る。
目に飛び込んできたのは、女子生徒が亜耶を囲んでるとこ。
何があった。
って言うか、俺の亜耶に何するんだ!
頭の中で、そう叫びながらも冷静に。
「こら、ホールルーム始めるぞ。席に着け」
そう声をかけた。
一斉に俺の方を振り返ってきた。
お、おー。一体なんだ?
俺が怯んでいると。
「高橋先生。亜耶との関係はなんなんですか?」
って、相沢が聞いてきた。
亜耶、話す時間無かったんだな。
俺は、そう思った。
話す前に大事になったってとこか…。
亜耶も龍哉も、申し訳なさそうな顔をして、こっちを見てくる。
亜耶なんか、泣きそうな顔をして、手を合わせて"ごめんなさい"って、口を動かしてる。
そんな顔して、可愛い。
って、そうじゃなくて。
謝罪は、ちゃんと受け止めた。
まぁ、仕方ないかな。
俺に大樹な姫が泣くのは、見たくもないし…。
「わかった。取り敢えず座れ」
俺は、そう言って自分の席に着かせた。
「亜耶、おいで」
俺は手招きして、亜耶を呼び出す。
亜耶は、少し恥ずかしそうにして、ゆっくりとこっちにくる。
どうせ、そのうち知れ渡るんだったら、今ここで真実を告げればいいか。
俺は、そう判断した。亜耶が、孤立しないためにも…。
口止めは、しっかりさせてもらうがな。
亜耶が、俺の隣に並ぶ。
亜耶を安心させるために、手を握った。
そして、クラスの一人一人を見てから。
「俺と亜耶は、夫婦だ」
と言い切った。




